08 July 2007

ロンドン日記その2: スパマロットにしひがし

◇ 右コラムにココログ検索機能をつけたしました。管理人ですらときどき「あの記事はいつのどれだっただろうか」と迷うラビリンスブログのともしびとしてお役立てください。


◇ ロンドン話題ついでに、ちょっと前の写真ですがあげ忘れていたのでひとつ。去年末書き入れどきのヴァージン・メガストア、オックスフォード・ストリート店さんの盛大なディスプレイです。

左の茶色ポスターはクリスマスに合わせて新装発売されたホリグレ3枚組DVD箱。確かフィルムのコマがおまけについてたりとかしたはずです。そして6月26日記事でも触れたスパマロットスパムが散りばめられています。クリスマス前にパイソンばっかり積み上げて売らんかなコーナーを作ってくれるCD・DVD屋さんは多いですが、ロンドンど真ん中でのこの扱いはかなり感動しました。やはり、ここにもポスターがありますが、歩いて5分ほどの近所パレス・シアターで上演されているスパマロットの影響が大きいようです。

◇ そういえば映画「スパイダーマン3」を見ていたら、スパマロットの看板が一瞬ですが識別可能な大きさでばーんと映ったのでわたしはかなりびびりました。MJがミュージカル女優デビューした劇場の外見が映ったとき、隣くらいの近場で上演されているのがはっきり見えました。おかげでこちとらはココロが千々に乱れその後しばらく話が頭に入らず困ったのですが、要するにMJはブロードウェイ沿いの一流劇場に出演していてこんな人気芝居も近くで上演されているんだよという記号みたいな扱いで、よく見たら「ウィッキド」等の劇場もMJの劇場の近くにあるようで看板が見えます。一応実際のシューバート・シアター近辺の地理を知るいちスパマファンとしては「違」と言いかけたもののそれはやはり野暮というもので。ちなみに映画「ザ・プロデューサーズ」に出てきたシューバート・シアターは本建物だけではなく道や向かいの店々の感じもかなり正確でびっくりしました。


◇ で、おとといロンドンではスパマロットポスターのデザインが変わっていることを発見。明るすぎる面を見ていて皆サングラス着用になったようです。これは地下鉄トテナム・コート・ロード駅の通路のものですが、ロンドンの地下鉄じゅうに他のミュージカルや映画のポスターにまじりぺたぺた貼られています。楽しいです。

下のMonty Python’s SPAMALOTのロゴはふつうの印刷なのですが、よくできていて打ち出しみたいに見えるので、思わず近寄って触ってしまいました。スパマロットにだまされるのはたいへん楽しいです。スパマロットには今後もずっといろんなことでだまされていたいです。


◇ それにしても。
2004-05年度のトニー賞をつらつら思い出します。
あのときのスパマロットは、ノミネートが14部門に対し、実際の受賞はベストミュージカル部門を含むも結局3部門にとどまり、だからちと「なんだフタ開けりゃそんなもんかよ」みたいな空気が(特に英国の厳しいメディア上では)ありました。しかしそのときスパマロットを蹴落とし主要な賞を取っていった「ライト・イン・ザ・ピアッツァ」や「ペテン師とサギ師」や「第25回パトナム郡スペリング・ビー」は、結局なんだかだ言ってロンドンには来ていないのです。スパマロットだけがラスベガスを始め全米に出回りかつロンドンに(逆)輸入されていて繁盛しています。これはどう解釈したらいいのか。「ガンジー」や「炎のランナー」や「愛と哀しみの果て」がオスカーを取るかたわらで、「レイダース」や「E.T.」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が人々の記憶に残るようなものでしょうか。いやたとえが古くて申し訳ありませんが。けれど04-05年度トニー賞一覧を見るにつけ、この中でいまだ生き残ってしかも海外に拡大までしているのはスパマロットだけという事実の前に、英語圏におけるパイソンの底力とはなかなかあなどれないものだと改めて思います。なんなんだこの強さは。

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26 June 2007

おフランススパムとパイソンサボテンその後

◇ 地元スーパーで発見、「臭いフランスのニンニク風味」のスパマロットバージョンスパム。川端康成的に、「臭い」が「フランス」と「ニンニク」の両方にかかっているのが微妙です。

おもて


うら


うらアップ。左中央の暗いシミはひっついてた変なシールをはがした跡です。



これが缶詰棚にふつうに置かれていました。ロンドン近郊で限定発売されていたということは聞いていましたが、首都から100マイル離れたラトランドにも及んでいたとは。ちなみにこれは棚の最後の1個だったので、いまだもったいなくて開けられずその素敵なかぐわしさは味わっておりません。加熱したらけっこう、「毒をもって毒を制す」の法則でいけるんじゃないでしょうか臭スパム。


6月7日で触れたパイソンサボテンオークション、20日にセールが行なわれましたが、ボナムズさんの結果報告によると、ロットナンバー246のサボテンにはどうやら買い手がつかずに終わった模様。→結果頁。全部表示されるのに少し時間がかかります。

貴重品とはいえ、全長3メートルのトゲつきサボを購入して人はいったい何をするのか、という疑問の残る物件ではありました。
(今、その用途に関し非常にアレな考えがよぎりましたが黙っています。)
これからこのトゲサボはどこに行くのでしょう。ボナムズさんの倉庫でふたたび数十年の眠りにつくのでしょうか。それとも。うーん。わたしは中古屋の片隅とか1本1ポンドの投売り籠に雑に取り残されている古いパイソンビデオを見ると、なんだか胸がいっぱいになり、塔に幽閉されている王女(または王子)を救い出す騎士の気分で家に連れて帰ってくることにしていますが(その結果何種類もの同一タイトルパイソンビデオがずらりと棚に並んでいる)、さすがに3メートルトゲサボには二の足を踏みました。このサボが、仮にボナムズ倉庫の片隅ででも幸せな余生を送ることを祈るばかりです。

ちなみにブラジルポスター(ロット133)も未売でしたが、ブライアン自殺部隊かぶりもの(240)は税手数料込みで780ポンドで売却されています。ほぼ予想落札価格どおりです。わたしはこれを落とした人と小一時間ほど膝と膝をつめてじっくりとお話をしてみたいです。

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17 November 2006

17NOV : さらばハーバート王子、そして女王陛下の007

昨年春からずっと個人的によいしょしつづけていた、ブロードウェイスパマロットのオリジナルキャストのひとりであるクリスチャン・「無駄美」・ボールさんが、今週いっぱいで契約を終了しついに舞台を去るようです。かれが次に出る新作舞台 Legally Blonde(「キューティ・ブロンド」)に関するニュースの中にその旨触れられています

*注:「無駄美」 - ボールさんはハーバート王子/まだ死んでない死体/著名な歴史家を演じるにはほとんど無駄なまでに美形であるということ。

スパマロット舞台においていかにボールさんが素晴らしいか、ということについてはこのへんですでに力説ずみですのでくり返しませんが、あの美形でありながらふり切れて壊れてはじけるハーバートが、本家ブロードウェイスパマロットから去るというのはかえすがえすも残念です。リーガリー・ブロンドもいいけれど、どうかいつかティム・カリーのようにロンドンに出張してきてほしいものです。

ちなみに、先日のロンドンスパマロットに関するエントリのときにはエリックちょんちょんショックでつい言及しそこねてしまいましたが、ロンドンには現在、ブロードウェイオリジナルキャストから、ティム・カリーの他にクリストファー・シーバーさんが長金髪を風になびかせるナルシストガラハッドとして遠征してきています。

思わず「ティモテ!」と口ずさんでしまう


シーバーさんのナルナルなデニス/ガラハッドもまたびしりとはまり役で、湖の淑女とのデュエット持ち歌 The Song That Goes Like This は何度聞いても本当に面白い。ロンドンにカリーさんが来るというのはあらかじめ知っていましたが、シーバーさんのことは実は知らず、だから芝居を見ている最中、どうもデニス/ガラハッド役はブロードウェイのシーバーさんに妙に似ているなあわざと選んだのかなあ、などと思っていました。そしたら本人だったわけです。すみませんシーバーさん(読んでないとは思いますが一応)。おわびがわりに、ボール&シーバー2ショットを再掲します。



夢の無駄美ペア


そういえば今思い出したこと。ロンドンの幕間で、隣に座っていた初老の夫婦が「あのガラハッドは地毛かしら」「いやあれはカツラだよ」と真剣な口調で話していました。わたしはノドのこのへんまで「いやあれはティモテなカツラなんで」出かかりほとんどそう口をはさみそうになりましたが、英人的討論の楽しみを奪ってはいけないと自制し、「いーやあのツヤは本物ですよ」「何を馬鹿な、大人の男が普通あんな長髪でいられるもんか」と次第に白熱してくる夫妻の会話を黙って片耳で聞いていました。

さて、
年末ですね。
クリスマスですね。
というわけで007映画ですね。
(わたしはひそかに、007映画とは「英人にとっての寅さん的、季節の縁起もん映画である。最近では釣りバカ日誌でも可」という説をあたためています。ただ、007と寅さんとのいちばん大きな違いは、007映画にはお子づれのお父さんたちがいっぱい来ていてそして連れたお子に向かって「いいかあジェームズ・ボンドとは、アストン・マーチンとはなあ」と力強く解説して聞かせているところです。こうして受けつがれていくのでしょうボンド文化。)

新作「カジノ・ロワイヤル」は女王様とその旦那様を招いてのロイヤルプレミアを経て本日公開です。おひざもとでの英国ではちょっとした騒ぎになっています。しかし、あれほどぎりぎりまでボンドもボンドガールも決まらなかったので、こら絶対来年に持ち越されるなと予想していたら、なんとびっくりクリスマスに間に合っちゃいました。なんだやればできるんじゃないですか英人。ウェンブリーアリーナ再建工事なんかもこうできないもんでしょうか。
(ウェンブリーの工事は、当初の予定より、完成が約2年間遅れています。というか、2年遅れれば完成するのかも実は定かではありません。ヨーロッパではわりとよくあることとはいえ、どうしてあれほどメジャーな工事にこういうそら恐ろしい単位で遅れが出るのか、日本人的感覚ではちょっと理解しにくいというのが正直なところです。)

もっとも当頁で何度か宣言したとおり、ジョンQが出ないと決定した時点でわたしとジェームズの関係はすでに終了しております。だからもう関係ないのです。しかしあらゆるメディアでこれでもかというほどCMが打ちまくられているのでいやでも目に入ってくるのです。なにしろ縁起もんだから。

そういったCMを目にするたびに、ブロンド・ボンドことダニエル・クレイグはやはりボンドというよりは悪役顔だなあと感じるのですが、しかし映画そのものは、評論家間ではどえらく評判がよいようです。どうやら突貫工事で撮ったにしてはたいへん渋くてよいらしい。よってクレイグブロンドボンドの将来はとりあえず安泰でしょう。なので来週見に行きます。いや関係は終了しているんですが、もしクレイグボンドが続投するなら、そのときのQとのケミカリーな相性が気になりますし。とわたしの目はすでに次のボンド映画に向いているのです。それにやはり関係は終了したとはいえ、やはり前作にはまり倒して13回見た以上、今でも昔の男が気になる程度には気になるわけでしてボンドさん。

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14 November 2006

14NOV : ロンドンスパマロットとテリJ先生のライフ・アンド・ハウ・トゥ・サヴァイヴ・イット

ちょっと間があいてしまいましたが皆様におかれましてはいかがおすごしでしょうか。
間があいた理由はと言いますと。まず、ロンドンスパマロットの一般開演日10月17日にパイソンズのみなさん(マイナス映画の撮影で来られなかったジョン(といつものように来られなかったグレアム))が集合したというまったくもってコトホぐべきおめでたいニュースがありました。しかしそういうめでたいことがあったというのに、その集合の瞬間を見逃したというごく私的な理由でもって、いつか書いたように覚悟はしていたものの、わたしはかなりのダメージを受けてしまったのです。ああめでたいなんてめでたいんだ。もうこれから何度あるのかパイソン集合、全力でコトホぐべしめでたいめでたい。しかし、ううう、めでたいめでたいんだが現場主義キリギリス者としてはそこにいたかったなあがっくりがっくり。と、嬉し苦しく複雑にヤラレておりました。

嬉しくるしんでいるうちに知恵熱のような熱がぼっと出ました。いい大人なのにパイソン知恵熱か面白いなあ、とノンキにかまえていたら、それはさまざまな諸症状をともないはじめてあれよあれよといううちに悪化。その素早い展開をひとごとのように傍観しているうちに、だんだん事態はシャレにならなくなってきて、どうやらこれは、セキ悪寒、くしゃみ鼻水関節痛、高熱朦朧これぞ究極インフルエンザ、ともうその邪悪な進行ぶりを立派なお手本として飾っておきたいほどのフル(とこっちの人間は略してかわいく呼ぶ)であることが医師の診断により判明。その後もどんどん進行する立派なフルさんのおかげで結局、40℃の高熱脳で一週間生きるという、人間的に貴重な状態におかれておりました。思わず柳田邦男が取材に来るかと思いました。一週間40℃が続き、わたしの脳は温泉卵になりました。やがてそのうち卵脳の底が白くなり、光のトンネルを抜けるとお花畑であった、はるか彼方では死んだはずのグレアムが「おいでおいでこっちの甘露はジントニ味」とか手招きをしていたりしているのであり、ああジントニ甘露いいねえ、グレアムのシャクならなおさらだよ、とふらふら気弱な温泉脳でさ迷いでようとしたまさにその瞬間、わたしの耳にはエリック声でしゃべるパイソンの神様が



「まだラスベガスがあるよーん」



その瞬間16トンの氷の御足が降臨し、その冷足で踏みつけられたかのように高熱は一気に冷めて引いていきました。そして思わず、「え、そうなんですか、やはりラスベガスに行かねばならんのですか」と叫び、叫んだ自分の声でわたしは平熱の清浄な世界につと引き戻されてまいりました。

どうしたものかラスベガススパマロット。いや、エリックの声でしゃべるパイソンの神様に命を救われた人間はつべこべ言ってはいけないのかもしれない。それにラスベガススパマロットのヴェニューは、かのショウビズの権化のような街で今いちばんナウい(死語)ウィンラスベガスだ。あそこならエリックんちもジョンちも近所だろうし。いやだからどうだというのだ動機が不純だ自分。と、これから当分うるさく悩み続けることになりそうです。

それとニュースがもうひとつ。もうご存知の方も多いと思われますが、テリJ先生が腸癌を患ったという報道、さらにこのとき暴露された、先生には実は現在23歳のスウェーデン人の彼女がいるという衝撃の事実。しかし手術の結果どうやら現在は回復の途上、しかしでもやはりかの女の子がかたわらに

奥さんはどうしていらっしゃるのかなあ、という心騒ぐ疑問はぬぐえないものの、その一方でなんとなく、ノーベル賞のノーベルは晩年に花売り娘に惚れてたいへんなことになっていたなあとか、マルクスもうら若いメイドさんに惚れてたいへんなことになってエンゲルスの世話になっていたよなあとか、なんとなくそういう学者的世界の先人たちのことを思い出してしまうのです。とりあえずどうか、お達者でいてくださいみなさま。

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01 October 2006

01OCT : アーサー王の帰還

9月30日でした。
ロンドンウェストエンドのスパマロットのプレビュー初日でした。
まだスパマロットという文字もぜんぜん存在しなかったころから「なんかこういうミュージカル話があるらしいぞ」とああだこうださわいできたので、その後その芝居がちゃんとできてきて、その上ブロードウェイで大ヒット、さらに全米拡大ツアー、来年からはラスベガスにも定着、そして今回ロンドンに逆輸入されることになりついにその初日、というこの事態がにわかには信じがたいです。

でも信じられなくてもいい、信じられなくても嘘でも幻覚でもお花畑でもとにかくキリギリスはそこに行かなければ、とチケットを買って見に行きました。

まず、残念ながらこの初日にはニューヨークで起こったような生き残りパ組全員集合はありませんでした。オフィシャルの一般開演日である10月16日にひょっとしたらあるのかもしれませんが、どこにどう問い合わせても今のところはっきりわかりません。それに16日、あるいはほかの日に仮にナニカがあったところで、おそらくわたしはそれを見ることができないでしょう。いや自分が見られないからといって別にどうでもいいというわけでは決してなく、そういうことになったらそれはご縁がなかったということでいいのですが、しかしもしそれが本当に起こりしかも目撃できなかったら、いまだにはげしく残っている「ジョージ・ハリソン追悼ライブパイソンズ尻見逃しの件の傷」に塩をざりざり塗りこまれ熱湯注がれることは間違いありません。ううう。とまだぜんぜん起こっていない、というか起こるかどうかすらわからないことですでにダメージを受けています。


とりあえず初日にはそこにいようとキリギリス的に気を取り直し、一路ロンドンをめざして南下しました。
★の画像はクリックで拡大します。


午後5時ごろ、夕暮れのパレス・シアターはこんなふうでした。

ああなんてステキなながめであることか。小道の奥にあるブロードウェイのシューバート・シアターとは異なり、この劇場はこんなふうにシャフツベリー・アベニューとチャリング・クロスとの広い交差点の角に建っているので、ステキなスパマロット空間が外に向かって優雅にひらかれているかのようです。それからこの交差点が、「ケンブリッジ・サーカス」であることに今さら気がつきました。(画像右上に表示が見えるでしょうか。ちなみに例の1963年フットライツレビューの「ケンブリッジ・サーカス」の劇場は、ここではなく、この角からシャフツベリー・アベニューをもう少し奥に入ったリリック・シアターです。まぎらわしいので若干の混乱を招いたそうです。)


周囲はすごいことだかなんだかよくわからないあおりポスターだらけです。


そりゃそうだろう



それはじまんできることなのか



「ふうん女の子かあ」「よしてくださいよあなた」
ちとわかりにくいですが、一番下のWitch Burnings が赤線で消されています。実はスパマロットからは魔女裁判のシーンがまるごと落ちており、よってかわいそうなことにサー・ベデヴィアの出番がほとんどありません。なんでも初期の脚本にはあったものの、予算の都合で削られたという記事をどこかで読みました。



ボックスオフィスのとこ。


本日のチケットはオフィシャルには完売ですが、「リターン券待ちはここんとこに並べ」と言っている看板もパイソンです。これを撮ってからまもなく、看板の後ろにはずらりと列がつらなり始めました。開演ぎりぎりになってもまだ人はたくさん並んでいました。


ところで、開演は8時なのになぜこんな時間から自分はここにいるのかなあ、おかしいなあどうしてかなあと素知らぬ顔しつつわたしは裏にまわりました。

すると、ステージドア近辺にどうも同類くさい人々が人待ち顔でたむろしているのを発見。

(同類の見分け方: 片手にカメラもう片手に油性ペンを握りしめ、肩からはいろいろなブツが入っているので観劇客にしては妙に大きなカバンが下がっている)

おお同類だ、やはり来てしまうのだね同類たちよ。実は自分もしっかりそのタグイの人間であるわけです。そのうちのひとりとすばやく「誰か見た?」「いや、まだ誰も」と短い会話を交わしました。

でももうすぐなにかあるよ、とキリギリス触覚にデンパを感じ、日が落ちて次第に冷えこんでくるロンドンの空気のなか待つことしばし。



やがて不意に「お」と空気が動いたと思ったら、





あっエリックだっ。




「やあ君たち、いつから待ってた?開演まであと2時間もあるよ?」とか言いつつ、同類がさしだすヲタ物件にさらさらサインをしたり写真を撮られたりしています。

で、

すみませんごめんなさい。

はずかしい告白をします。

わたしはそこで、

「正伝」を出したのです。


(すみませんもうしわけありませんわたくしはこういう展開を若干期待して1キロ本を妙に大きなカバンに詰めて持っていってたのです。)


「えええエリックさん、実はこういう本がじゃぱんにありまして、でこの本はこれこれシカジカでして」
「えー?これが?これどの本?え、オートバイオグラフィって、あの厚いやつ?あれを日本語の本に?うひゃー信じられん、よくやったもんだ」


そこでさらにはずかしげもなく「すいませんここにサインをください」とお願いしてしまい、すると「もちろん」とさらさらさら。








家 宝 決 定 。



「きみ、今夜の見るんだよね?楽しんでいくといいよ」
「そうです、けど楽しいのはもう知ってます」
「え?」
「いや実はニューヨークですでに3回見てるんです。でもロンドン版はどうなってるか知りたくて」
「…えー、それはなんというか、どうもありがとう。びっくりした。じゃ、ロンドンでもよい時間をすごしてほしい」

その後しばらくその他の同類たちを交えて立ち話をした後、エリックはグリーク・ストリートをソーホーに向かって歩いて去っていきました。



ちなみにこちらはその後、大人気のティム・カリーさんです。






さて、開演時間も近づいてきたので、スパマロット土産物物件をあれこれ物色した後劇場内に入りました。そしてえーとわたしの席はどこかしらと券を片手にうろうろしていたときふと、客に同化した変哲もないセーター姿のエリックが、客席後方の通路に立ち、まだ幕が下りている舞台をじっと眺めているのに気がつきました。まわりのロンドンびとはときどきふりかえり、「あ、あれはあいつじゃん」というささやきが聞こえたりもしましたが、みな礼儀正しくさりげなく距離を置いていました。

そして芝居。アーサー王のティム・カリーがココナツの蹄音高らかに現れると観客から大歓声が起こりました。どうもロンドンの観客はすごくリラックスしていて最初からよくあったまっているようです。

スパマロットはホリグレをベースにしているとはいえ、ブロードウェイ仕様ゆえアメリカナイズされているネタも多くなっています。そのへんはロンドンの舞台ではどうするんだろうと思っていたら、アメリカ的ネタもほぼそのままやっちゃっていました。そしてロンドンの人々は平気で笑っていました。なかなか強靭な消化能力を持つ人々だと思いました。ただ、さすがにサー・ロビンの持ち歌 You Won’t Succeed on Broadway は You Won’t Succeed on Shaftesbury になっていて、その他の歌やセリフも「ブロードウェイ」の部分が適宜「ロンドン」や「ウェストエンド」に置き換えられていました。しかしいずれにせよ、ロビンのかの「芝居を成功させるにはユダヤ人を味方に取り込め」という大胆な主張は変わっておらず、そしてロビンがこう口にした瞬間、客席は「うわーう!」とかなりざわめきました。

しかし英人のみなさんにとり、自分とこの文化(と言ってしまおう)が、アメリカっぽく化粧をほどこされてアメリカで大いに受けて、そして受けたからってそのまま自分のとこに戻されてきて今それを見ている、ってのはどんな気分かなと少し考えもします。「エビータ」を見ているアルゼンチンの人々のようなもんでしょうか。いやあまり役立つたとえではないですが。ちょっとその感覚は想像がつかないです。

でもそんなことはおかまいなしに、人々は新しいギャグによく反応しつつ、一方でなじみのキャラクターやセリフが出てくると「イエーイ!」と嬉しそうに拍手、知っているセリフは口々に同調(「(ちーん)ぶりんがーうちゃでーっど!」「ふぇっちらばーしゃ!」「ニッ!」「ニッ!」「しゅらべりー!」「ティム!」)、歌も一緒に歌っていて、「今われわれはとても面白い芝居を見ているんだよ楽しいなあ」と感じている観客が示す反応を全部示していました。これはかなりすてきな時間と空間でした。なんか泣けてきました。だってなにしろこの21世紀に、ロンドンのウェストエンドの劇場満杯の人々が、フィナーレで総立ちになり拍手に続いて「オールウェイズ」を楽しそうに身体動かしながら歌ってるんです、これに感動せずにいられようか。そしてフィナーレとアンコールが終了し出演者が去ると、舞台のスクリーンには例の「PISS OFF!」の文字が。でも人々はすっかりその失礼さも平気なあたまになっているらしく、かまわずげらげら笑っていました。

これはいいぞおー、これから面白いことになるぞー、と考えつつ人波にまざって劇場出口に向かっているとき、うしろからちょんちょんとつつく人がいます。ふり返るとそれはエリックでした。どうやら客席でふつうに通して見ていたようです。そして、「どうだった?面白かった?」とたずねてきました。わあエリック・アイドルにちょんちょんされてしまった、もうこれ超ウルトラロイヤル家宝経験決定だあ、と思いつつ、「いやロンドンのほうが面白かったです観客の感じがよくて最高でした」と答えると、エリックはひとつウィンクをして、楽屋方面に去っていきました。

春はあけぼの、夏はよる、パイソンはロンドン、やはり野に置けパイソン草。アメリカのスパマロットは時とともに次第に深く静かに浸透していきましたが、故郷ロンドンに帰ってきてそこにまかれた21世紀のパイソ種はどうはびこって、もとい、育っていくのか。仮にこの土壌では育たずいきなり終わってしまったとしてもそれはそれでまたパイソンらしくていいと思うんですが、とりあえずしばらく定点観測です。

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24 July 2006

24JUL : ザ・ケース・アゲインスト・パイソン続きとロンドンスパマのきざし

前回の Friday Night Saturday Morning の件の続きをちょっと。

「フライデイ」を見ていると、60年代に大学生だったパイソンズの皆さんは、精神がデフォルトで「反体制」なのだ、そして自分たちが何にどう疑問を持っているのかということ、それをどう表現すれば人に伝えられるかということを把握している、と強く感じました。
そのメッセージがナンセンスな笑いを通じてそれでも非常にクリヤーに伝わってくるという点が、21世紀になっても思わず人々がフライング・サーカスやパイソン映画を見てしまう、という理由のひとつではないかと思った次第です。

しかしあれです。
普段はあまりぺらぺらしゃべる方ではないジョンが、この「フライデイ」では体制の権化のようなお年寄りにボコボコやられて燃えたのか、言われることに非常に明晰な口調で突っ込みを入れたり切り返したりするところが物凄くカッコイイ。
とは前回書きましたが、
実は、その鮮やかな切り返しに観客が思わず拍手をすると、ちょっと「ふん、どんなもんだ」という得意そうな顔をするんですねジョンが。ジョン専ゴコロ一撃。イイ。

ところでこの討論を企画したのは、かのイアン・ジョンストン氏です。ジョンストン氏は、ホリグレ、ブライアン、そしてワンダの好ましいメイキング・オブものを作ったり(それぞれのDVDに収録されているあれです)、それから確か007シリーズにジョンが出るように取り計らったのもこの人だったはずです。
で、
ワンダのメイキングでジョンストン氏は、やはり言葉を選んで慎重にしゃべっているジョンを、ちと意地悪ともとれる質問でちくちくつついてちょっと怒らせてみる、その結果インタビューがとても面白くなった、という腕を発揮しています。そう考えると、この「フライデイ」も、案外こういう展開を期待しつつ仕掛けたのではないのかなこの人は。という気が少しするのですがどうでしょう。


さてお話変わりまして。
BFIに行くために上ロンしたので、その夜は芝居見物に行きました。
そしたらチケット売場にこういう物件発見。★印はクリックで拡大します。


ロンドンスパマロットの豪華なフライヤー(というのかな)です。
一番上に「ミュージカル劇場を1000年退化させる!」とあります。

三つ折になっていて、


一回開いたところ。
上のマイケル・ペイリンさんは思い切りスペリング間違えてますが(正しくはTerrific)、縁故関係はないそうです。
それから右頁の「3番目に背の高いパイソン」というエリックの肩書きと、右下の「黒死病より面白い」という「週刊修道士」のメイナード神父のコメントにかなり笑いました。誰ですか週刊修道士のメイナード神父って。




全部開いたところ。
ウシが落下してきました。
写真はNYブロードウェイのオリジナルキャストです。


あと、裏面の一番下に小さく注意書きが。


Spamalotflyer4_1

「『スパム』はホーメル・フーズ社の登録商標です」、これはまあ当然として。
次の「この芝居の最中、役者に負傷者はほんのちょっとしか出ません」。続けてアスタリスクにあるのは「プロとして当然の範囲を除く」。という意味か。
出るのか、負傷者。スパマ役者は夢の遊眠社なみにカラダ張っているのか。パイソンのためなら命を捨てても惜しくはないのかスパマ役者たちよ(←そこまでは言ってない)。早く来いこい9月の初日。

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08 July 2006

08JUL : パイソニアン、北へ

◆ 前回ぶんは今読み返すと妙に調子が暗いです。これは話題が重いという理由がまずありますが、同時にどうやら下り坂にあった管理人の機運をも反映していたようです。というのは前回以来わたくしは、ヤマイと負傷とに同時にみまわれ、その間隙を縫って車が3回、パソが2回故障し、メールを含むHDの中身がすべて消失、とどめに傷口を泥靴で踏みつけるがごとくラットランド州役所から来た住民税の請求が300ポンド間違っていて(もちろん多く請求されている。どうせ間違えるのなら少なくしてほしいのだが、そういう間違いはかれらは決して犯さない)、かなりヤラレておりました。思わず軽く気絶していたりしている間にワールドカップもどんどん日程が消化され、わずかに記憶にあるのは、初期の試合にドイツ対ポーランドというあまりにあんまりな組合せがあったので固唾をのんで見守り、その間中ずっと「戦争の話はするな絶対にしてはいかんぞBBCアナウンサー」とつぶやいていたことくらいです。もっともそう感じた人はほかにもいたようで、この試合をめぐりこのワン・ライナーが使われるのを、TV・ラジオ・新聞などで何度も見聞きしました。

◆ TFJC内の「ジョン・クリーズに関するあなたの知らない10の真実」のページに誤りがあることをR.C.さんからご指摘を頂きました。早速訂正しました。→★★★

× 『ジョン』は母方の祖父、ミドルネームの『マーウッド』は父方の祖父にちなんでいる

○ 『ジョン』は父方の祖父、ミドルネームの『マーウッド』は母方の祖父にちなんでいる

R.C.さんどうもありがとうございました。そして基本的な事実を誤認していたことをお詫びいたします。
全宇宙13人のTFJCersのみなさまにおかれましても、今後もどうぞご意見ご指摘ごツッコミのほどよろしくお願いいたします。

◆ 今年2月にエリックが小雨の路上に出張してきて、トニー賞受賞作家みずからカラダ張ってスパマロットロンドン公演のチケットを売っていました。もっともわたしはそのカラダ張りぶりを見逃しましたが。くくくくく。このへんこのへんにそのいきさつがありますが今でも思い出すと泣けるううううう、でもそれはともかく。
先日別件でチケットマスターを流している際ふと
「そういえば売れているのかロンドンスパマロット」
と都会に出て行った我が子を案じる母親のような心境になり、ちらりと様子を見てみました。

(余談ですが、ファンとチケットとの関係は愛憎半ばする微妙なものだと思います。発売前は「なんぴとたりともあたしの前には買わせん、売り切れたら許さんええいそこをどけ道をあけろ一番いい席はあたしのための席なのだ」とリダイヤルボタンを連打しつつ(あるいはボックスオフィス前の列の最後尾でじたばたしつつ)考えていますが、争奪戦の末いざ目当てのチケットを入手すると、「ところでちゃんと自分以外のほかの人もあの券を買っているのだろうな、売れていなかったら困るなあ」とちょっと心配にもなったりして。)

そしたら、
2月の時点では、ロンドンスパマロットの初日は「10月2日」だったのですが、いつの間にかそれが「9月30日」にくり上がっているのを発見。→★★★
通常、芝居の日程が増えるときには後ろにのびるものだと思うのです。
ロックやポップの方での「急遽追加公演決定!」というあれも、たいがい本公演の後や間に入るものです。
初日が早められる、という事態は初めて見ました。
しかもあんなに派手に売り出した券なのに。
もちろん何らかの理由があるのでしょう。
で、その理由に関してわたしは、たぶんああいうことじゃないかな、ああいうことだったらいいな、個人的にはそういうこと希望、と予想というか幻想を抱いてはいますが、とりあえずきちんと調べがつくまでは妄想は個人脳花畑内にとどめておこうと思います。といって、どこの誰に訊けば調べがつくのかよくわかりませんが。誰かエリックに電話して訊いてくれませんか。

◆ それにしても、来年のラスベガス拡大が気になる(まだスパマロットの話です)。ティム・カリーのアーサー王がロンドン公演で復活するのなら、ハンク・アザリアのランスロットとデイヴィッド・ハイド・ピアースのロビンというすてきな騎士カップルがラスベガスで再出現しないだろうか。しかもハコは今ラスベガスで一番ナウい(死語)トレンディな(死語)ヴェニューであるウィン・ラスベガスだ。もしハンク・ランスロットとDHPロビンが揃うのなら、行っちゃうかもしれない、わたし。とか意識のすみで考えている自分にふと気づく。誰か止めろ。

◆ 夏です。
夏といえばエディンバラ・フリンジです。
いや夏のフリンジでコメディ快楽にふける数日間を楽しみに残りの1年をがしごし働いている人間としては、夏とはフリンジ断定なのです。
だから今年は何をどう見に行こうかなあ、とうきうきしながら計画をたてる段階からもう法悦、さあ楽しませてくれ今年のフリンジちゃんへへへへへとにやにや笑いつつプログラムをめくっていて、
びっくり。

なんとザ・グディーズがエディンバラで復活します。→★★★

しかも会場は、フリンジで一番ステイタスが高い、ここに出るには相当面白くて集客力がなければならないはずのジ・アッセンブリーです。

なにげでじわじわやるなザ・グディーズ!!

2003年のDVD全集1枚目発売、およびロンドンでのぷち再結成イベント

去年頭のDVD全集2枚目発売

去年クリスマスのBBC再結成特番

今年夏エディンバラのアッセンブリーで復活

素ん晴らしい。

しかしどうもビル・オディは参加しないようで、そうするとグディーズ3分の2であるわけですが、別にいいです。こういう経過を逐一目撃できているだけでわたしは幸せですし、それに、ちまたには「フレディ・マーキュリーなしでクイーンを名乗る人々」とか「リック・オケイセック抜きでカーズをやってる人々」だっているくらいですし。いやもちろんビルさんが来ればそれにこしたことはないわけで。来ないんだろうけど、別にいいんだけど、でも来ないかな。来たらいいな。いや来ないんだろうけどな。と、当日開演直前までやきもきさせられ続けることになるのでしょう。まだまだ油断できませんザ・グディーズ。

◆ その一方。
エディンバラの西北、ドゥーンの杜に、そびゆるヲタクの聖なる城壁ことかのドゥーン城にて、毎年9月初めに「ホリグレを上映してついでにパイソンであそぼう」というイベントがあります。今年は9月3日日曜日です。→★★★

毎年8月にフリンジに行くたびにこの城を訪れ、そして売店で借りたココナツをぱかぱかやっては並ぶパイソン物件をチェックし、とかそんな行動をしているから店の人に見抜かれ、「もしもしそこな日本人、9月になれば映画会あるよ、来ない?」と誘いを受けます。このイベントは数年前からやっているそうですが、初年は適当に宣伝しておいたら当日人が2000人くらい来てしまい大混乱になったので、翌年から限定500枚の前売チケット制にしているそうです。

しかしフリンジとはいつも微妙に日程が合わず(フリンジはたいがい8月最終週の頭に終わり、映画会は9月第1週の日曜日である)、数年間見送るばかりでした。

今年もフリンジと日程は合いません。
が、
行きます。


つまりフリンジ後にスコットランドまでもいちど出直すことになるわけで、そうするだけの都合がつくかどうか現時点ではまったく不明です。しかし、このままではわたしは「ドゥーン城のホリグレ上映パイソン大会に行きたいと思いつつ結局行かなかった人間」として死んでゆくことになり、そしてわたしは「あの人は最後までホリグレ現場上映会に行きたがっていたのに決断できずにホリグレを現場で見られなかった人でした」なんて言われながらのうのうと死んでいたくはないのです。しかしこんなふうに人生について感じるとは、死期でも近いんでしょうか自分。もう加齢臭ふんぷんですか。

気をとり直して、チケットに同封されてきたすてきな招待状を。クリックで拡大します。


チケット・招待状ともに、「お城の中庭でやるんでスコットランドの気候にそなえた格好しておいで」というところが重要そうです。あそこらへんは9月でも夜はかなり冷えるのでしょう。それから敷物や椅子持っといで、よかったら貸し出しクッションあるよ、というのがなんかほのぼのとしています。ちなみに中庭とは、ハーバート王子の結婚式の日、無駄に走ってきたランスロットが門番を刺し殺した後になだれこみ、楽隊や女の子たちを大量殺戮するあの血まみれの空間です。ほのぼの。ちなみに上にリンクをつけたヒストリック・スコットランドの頁ではこのイベントはちょっとオサレに「パイソンフェスト」と称されていますが、とりあえず当頁ではこれを「こころのヲタク祭り」と呼ぶことに今決定しました。ヒストリック・スコットランドの中の人たちにはないしょです。

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18 June 2006

18JUN : ザ・マネー・プログラム

経済誌「フォーブス」が収入や知名度などをベースとして毎年発表している有名人のパワー番付、「セレブリティ100」が今年も発表されました。
で、
エリックとマイク・ニコルズのスパマロット仕掛人組が98位にランクインしています。→★★★

ふたり専門の頁もあります。この写真はとてもすてきだ。→★★★


しかしえーと9ミリオン(900万)ドルの出来高ということは。
とりあえず今新聞を見たら1ドルは115.190円なので

いち、
じゅう、
ひゃく、
せん、
まん、
じゅうまん、ひゃくまん、せんまん、いちおく…




1,036,710,000円(じゅうおくさんぜんろっぴゃくななじゅういちまんえん)。




1位はトム・クルーズの6700万ドルであり、その差は一見大きいようですが、今年のトムさんはよくも悪くも大量に映画などのメディアに露出しています。それを考えると、ぎりぎり98位とはいえこのペアはスパマロットのみでこの位置につけているわけで(だからふたりは「監督/プロデューサー」のカテゴリに入れられている)、すなわちスパマロットひとつはトム・クルーズ総合活動値の7.44分の1に相当することになります。これはけっこうすごいのではないかと思います。


ちなみにフォーブスに関しては、実はジョンの方が先に到達しています。記事につけられたプロフィールによると「ジョン・マーウッド・クリーズ、俳優、脚本家、ビデオ・アーツ社代表取締役」であるところのジョンがまじめなビジネス論を語る特集が、1989年のある号に収録されています。当時のフォーブスもこのような有名人パワー番付をやっていたのかどうか、仮にあったとしてワンダとビデオ・アーツでぶいぶい言わせていたころのジョンは含まれていたのかどうか。そのへんは不勉強にしてあいにく知りませんが、いずれにせよ、なにしろエリックとジョンは「パイソンズの良く言って経済的観念が発達している方、悪く言えば営利主義の方、というかはっきり言って金の亡者である方」、だから今回このエリック&ニコルズ98位の件を小耳にはさんだときわたしがまっさきに考えたことは


「さぞジョンがくやしがってるだろうなあ」


だったんですが、それはエリックとジョンには内緒にしておいてください。


でもよかったねエリック(&ニコルズさん)。有名人稼ぎ高番付なんていつも「けっ」という気分で聞き流していたのに、なんか妙に嬉しい。これからもぜひ、ブルックリン橋をぽんと買っちゃえるほどドル札束を荒稼ぎしてください。

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07 May 2006

07MAY : スパマ役者、007、英国テレビのそこぢから

● ブロードウェイのスパマロットでは、4月頭にランスロット役のハンク・アザリアとロビン役のデイヴィッド・ハイド・ピアースが契約を終了して舞台を去ったそうで、これで開始時の主役連はほぼ全員入れ替わったことになります。かつて「ザ・プロデューサーズ」では、オリジナルキャストのネイサン・レインとマシュー・ブロデリックが降りたとたんにチケットの売上が減ったらしく、その事実を示しながら「だからこれからが勝負だよスパマロット」とちくちくつついているレビューをどこかで読みました。もっとも、スモークの川の小船で堂々とアンドリュー・ロイド・ウェーバー的歌い上げを聞かせるガラハッドのクリストファー・シーバー(美形)、パッツィのマイケル・マグラース(非常にテリGに似ている)と、そしてわたしがしつこくよいしょしている著名な歴史家/まだ死んでない死体/ハーバート王子のクリスチャン・ボール(役のわりには無駄なまでに美形)は続投しています。しつこいようですが、ボールさんのハーバート王子の何かを超えたはじけぶりは本当にすばらしい。パイソン的クォリティのひとつに「外見と、きわめてバカバカしいその行動とが激しく食い違うショック」というのがあるのではないかと思いますが、その意味ではこの人が一番パイソンゴコロを汲んでいるかもしれません。


クリスチャン・「無駄美」・ボールさん御近影。この写真掲載3回目。


● 最新007映画カジノ・ロワイヤルは、いろいろありましたが撮影は進んでいるようです。先週予告編の第一弾ができてきたということが話題になり、ずっと普通のニュースでとりあげられ続けていました。ブロンド・ボンドことダニエル・クレイグがかなりシブいボンドになりまじめにスパイ的アクションに徹しているようでけっこうなことですが、しかしわたしはそれを横目で眺めつつ、「いいのもう関係ないの、わたしとジェームズとはすでに終わったのよ」とつぶやき続けています。どうしてMが出てQが出ないんだ!今さらボンドにリアリティを求めようとしてどうするのだあ!その判断により、本来数えられたはずであった観客動員数から、わたしが通ったであろう10とか20とかいう数が減ったと思いねえブロッコリ。もっとも、ブロスナンボンドに比べクレイグボンドはあまり冗談が通じなさそうな雰囲気がするので、ジョンQを横に置いてはたして似合っていたかという疑問は残ります。もう関係ないけど。しく。


● 英国アカデミー協会(BAFTA)のTVアウォーズが今晩発表されます。ノミニーはこんなん出ていますが、ここには確かにひきつけられるようにして見てしまったものばかりが並んでいます。くだらないものも相当多いけれどもそれはそれとしてやはり英国のテレビは力強く面白い。
勝者予想、というよりは個人的な願望をいくつか申し上げますと。

ENTERTAINMENT PERFORMANCE
★ JEREMY CLARKSON - Top Gear (BBC2)
JACK DEE - Jack Dee Live At The Apollo (BBC1)
NOEL EDMONDS - Deal or No Deal (Channel 4)
JONATHAN ROSS - Friday Night With Jonathan Ross (BBC1)

不機嫌なコメディアンジャック・ディーとしたいところ、やはり、単なるくるま番組をかろやかに越えてすごく面白いトップギアに一票。なにしろ、「トリノのスキージャンプ台からミニを飛ばして飛距離を計ろう」とか「『まるでリビングルームのように快適』というウリのスマートの車内で、一歩も車外に出ずに24時間過ごしてみよう」とか、真剣にバカを追求する態度がすばらしい。もっともこの番組を支えているのは、ジェレミー・クラークソンだけではなく司会3人組の残りのふたりジェームズ・メイとリチャード・ハモンドだと思います。


COMEDY PERFORMANCE
★PETER CAPALDI - The Thick Of It (BBC4)
ASHLEY JENSEN - Extras (BBC2)
CHRIS LANGHAM - The Thick Of It (BBC4)
CATHERINE TATE - The Catherine Tate Show (BBC2)

最後のサタイアリスト、アーマンド・イアヌッチの新作ということで今年は The Thick of It がかなり強い予感。しかし、Extras をノミネートしておきながら、ジ・オフィスでもてはやされているリッキー・ジャヴェイスをわざと避けているかのような印象が少し。


DRAMA SERIES
BODIES - Mark Redhead, Sue De Beauvoir, Jed Mecurio (Hat Trick Productions/BBC3)
★DOCTOR WHO - Phil Collinson, Russell T Davies, Julie Gardner (BBC Wales/BBC1)
SHAMELESS - The Production Team (Company Pictures/Channel 4)
SPOOKS - The Production Team (Kudos Film & TV Ltd/BBC1)

デイヴィッド・「普通にしてても目がキレている」・テナントの三白眼ドクターがとてもすてき。子供番組とはいえあなどれない。というか、あまりにリアルなSF描写が子供には怖すぎるというもっぱらの評判。


FACTUAL SERIES
★49UP - Bill Jones, Claire Lewis, Michael Apted (Granada Television/ITV1)
COCAINE - Guillermo Galdos, David Notman-Watt, Angus Macqueen (October Films/Channel 4)
COAST - The Production Team (BBC/BBC2)
JAMIE'S SCHOOL DINNERS - Andrew Conrad, Robert Thirkell, Dominique Walker (Fresh One Productions/Channel 4)

教育庁をも動かしたほどインパクトのあったジェイミー・オリバー学校給食摘発番組もすてがたいのですが、ごく普通の英国の市井の人々を49年間淡々と追い続けた49UP。49年ですよ。普通の人の人生がこんなに感情にせまるとは。英国のテレビはときどきすごいことをします。


FLAHERTY AWARD FOR SINGLE DOCUMENTARY
★CHILDREN OF BESLAN - The Production Team (BBC Current Affairs/BBC2)
MAKE ME NORMAL - Brian Hill, Zac Beattie, Jonathan Smith (Century Films/Channel 4)
THE REAL SEX TRAFFIC - Simcha Jacobovici, Brian Woods, Ric Bienstock (Associated Producers/True Vision Productions/CBC/Canal D/Channel 4)
TAXIDERMY: STUFF THE WORLD - Brian Hill, Elodie Gornall, Morgan Matthew (Century Films/BBC2)

ベスラン事件を生き延びた子供たちが、現在はボロボロの廃墟と化した学校に戻り、カメラの前で「ここでぼくの友達が死んだんです」とか語るChildren of Beslan。英国のテレビはときどき本当にすごいことをします。


FEATURES
THE APPRENTICE - Dan Adamson, Tanya Shaw, Peter Moore (Mark Burnett Productions/Talkback/BBC2)
DRAGON'S DEN - The Production Team (BBC/BBC2)
★RAMSAY'S KITCHEN NIGHTMARES - The Production Team (Optomen Television/Channel 4)
TOP GEAR - The Production Team (BBC/BBC2)

すまないジェレミー・クラークソン、実はわたしは元サッカー選手、現在超一流シェフ、グラスゴー訛りで1分に3回悪態をつくという、非常に個性的な不良おじさんゴードン・ラムジーにとても弱い。この人にファックとかシットとか吐き捨てられつつキッチンでパイを焼かれたりすると、それはあまりにもスェクスィでわたしは見てると気絶しそうになります。


SITUATION COMEDY
EXTRAS - Charlie Hanson, Ricky Gervais, Stephen Merchant (BBC Comedy/BBC2)
PEEP SHOW - Robert Popper, Tristram Shapeero, Sam Bain, Jesse Armstrong (Objective Productions/Channel 4)
★THE THICK OF IT - The Production Team (BBC Comedy/BBC4)
THE WORST WEEK OF MY LIFE - Mario Stylianides, Mark Bussell, Justin Sbresni (Hat Trick Productions/BBC1)

COMEDY PERFORMANCE と同じ理由です。ただ、わたしは現在やっている(そしてここ数年間のうちの)コメディの中では、チャンネル4のGreen Wing が一番面白いと思うんですが。どうしてカゲも形も見えないのか。あれはジ・オフィスよりも民放的にオルタナでいいと思うんですが。


COMEDY PROGRAMME OR SERIES
THE CATHERINE TATE SHOW - The Production Team (Tiger Aspect Productions/BBC2)
CREATURE COMFORTS - Julie Lockhart, Gareth Owen, Richard Goleszowski (Aardman Animation/ITV1)
★ HELP - Paul Whitehouse, Chris Langham, Jane Berthoud, Declan Lowney (BBC Comedy/BBC2)
LITTLE BRITAIN - Matt Lucas, David Walliams, Geoff Posner, Declan Lowney (BBC Comedy/BBC1/BBC3)

というより、リトル・ブリテンはひとつ山を越えた感じがあるし、消去法でいったらこれしか残らない。もっともHELPのポール・ホワイトハウスは、90年代の1、2を争うBBC大ヒット The Fast Show を生んだ天才です。でもここにグリーン・ウィングがあればなあ。



BBCジャパンが終了した今、こういうことを書いてどうなるのかよくわからないままとりあえず。それにしても、グリーン・ウィングは面白いです。なんとかして見てください。

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28 April 2006

28APR : パイソンアルバム

突然引越しをすることになりました。ヲタの引越しはカタギの人々よりもかさばるモノが多くてストレス倍増である、という事実をかみしめながら、凄惨な状態になった居住環境でこれを書いています。だからわたしはもし生まれ変われるのならば、この次は樽の中に住む古代ギリシャの哲学者になろうと固く決意しているのですが、それはさておき。今、「研究入門」のうしろに書いたことを補強すべく、今(ようやく)スパマロット文を、段ボールの山をかきわけながらまとめています。で、スパマ文の文脈上にはおさまらなさそうな、しかしニューヨーク関係の写真を、引越しにつきもののアルバムの整理ということであげちゃいます。


1976年のツアー会場、ニューヨークシティセンターその1。
Nycenter1_2


ニューヨークシティセンターその2。確かキャロルだかエリックだかがこの入口に立っている写真を見たことがあるなあ、と思い出しつつ。


これはなんでしょう。

答え。
「正伝」の中盤、「研究入門」では最初に述べられている、パイソン対ABCの裁判の会場(会場つーか)の裁判所です。この後わたしは、たいへんキビシイ態度の警備の人に「こるぁこんなとこで写真を撮ってはいかん」とすごく怒られました。


これはなんでしょう。

答え。
1964年のケンブリッジ・サーカスが、ブロードウェイのプリマス・シアターからダウンタウン落ちした会場「スクエア・イースト」、があったはずなんですがその跡形もない場所。ニューヨーク市立図書館でコピーを入手した新聞広告(右掲)に記載されている、15 West 4th Street という所在地からいうとここの角なんだけどなあ、と思いながら撮りました。今はこのあたり一帯ニューヨーク大学の学部が並んでいますが、エリアの感じそのものは当時とおそらく変わっていないだろう、という気がします。ブロードウェイのど真ん中のプリマス・シアターに比べると、落ち着いて人々の生活の香りがする場所です。ジョンが「正伝」で確かそんなことを言っていました。

マンハッタンをこんなものが走り回っていました。

これは長距離バスですが、のちに同じくスパマロット仕様の普通のバス発見、用もないのに乗ってしまいました。中は普通でした。


これからスパマロットを見るぞー、と思いつつ撮った夜のタイムズスクエア。


それから、これはぜんぜん別の機会に撮った、しかもロンドンの写真ですが、勢いでついでに。

テムズ川のほとりに建つシェイクスピアゆかりのグローブ座の一角に、スポンサーの名前が刻まれている敷石が一面を埋めているテラスがあるのですが、そこにそうそうたる名前に囲まれて。ISIRTA時代から「シェイクスピアは、もし自分が監督だったら、突っ返して書き直しを命じるであろうコメディの脚本を書く」なんて言っておきながら、さりげなく貢献していらっしゃるようです。


ジョンの隣の敷石。

グローブ座の案内のおばさまいわく、「ジョン・クリーズから後で電話がかかってきて、『マイケル・ペイリンの名前のスペリングをわざと間違えろ』と依頼されたんです」。相変わらず、思わず「子供かいあんたら」と突っこみたくなるジョン&マイケルですが、それに従うグローブ座の人たちもどうかしていると思います。

とりあえず今日はこのへんで荷物整理方面に去ります。ああ、古代ギリシャはよかったなあ(遠い目)。いや生まれてなんかいないですけど。いくらなんでも。ええ。

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