08 July 2007

ロンドン日記その2: スパマロットにしひがし

◇ 右コラムにココログ検索機能をつけたしました。管理人ですらときどき「あの記事はいつのどれだっただろうか」と迷うラビリンスブログのともしびとしてお役立てください。


◇ ロンドン話題ついでに、ちょっと前の写真ですがあげ忘れていたのでひとつ。去年末書き入れどきのヴァージン・メガストア、オックスフォード・ストリート店さんの盛大なディスプレイです。

左の茶色ポスターはクリスマスに合わせて新装発売されたホリグレ3枚組DVD箱。確かフィルムのコマがおまけについてたりとかしたはずです。そして6月26日記事でも触れたスパマロットスパムが散りばめられています。クリスマス前にパイソンばっかり積み上げて売らんかなコーナーを作ってくれるCD・DVD屋さんは多いですが、ロンドンど真ん中でのこの扱いはかなり感動しました。やはり、ここにもポスターがありますが、歩いて5分ほどの近所パレス・シアターで上演されているスパマロットの影響が大きいようです。

◇ そういえば映画「スパイダーマン3」を見ていたら、スパマロットの看板が一瞬ですが識別可能な大きさでばーんと映ったのでわたしはかなりびびりました。MJがミュージカル女優デビューした劇場の外見が映ったとき、隣くらいの近場で上演されているのがはっきり見えました。おかげでこちとらはココロが千々に乱れその後しばらく話が頭に入らず困ったのですが、要するにMJはブロードウェイ沿いの一流劇場に出演していてこんな人気芝居も近くで上演されているんだよという記号みたいな扱いで、よく見たら「ウィッキド」等の劇場もMJの劇場の近くにあるようで看板が見えます。一応実際のシューバート・シアター近辺の地理を知るいちスパマファンとしては「違」と言いかけたもののそれはやはり野暮というもので。ちなみに映画「ザ・プロデューサーズ」に出てきたシューバート・シアターは本建物だけではなく道や向かいの店々の感じもかなり正確でびっくりしました。


◇ で、おとといロンドンではスパマロットポスターのデザインが変わっていることを発見。明るすぎる面を見ていて皆サングラス着用になったようです。これは地下鉄トテナム・コート・ロード駅の通路のものですが、ロンドンの地下鉄じゅうに他のミュージカルや映画のポスターにまじりぺたぺた貼られています。楽しいです。

下のMonty Python’s SPAMALOTのロゴはふつうの印刷なのですが、よくできていて打ち出しみたいに見えるので、思わず近寄って触ってしまいました。スパマロットにだまされるのはたいへん楽しいです。スパマロットには今後もずっといろんなことでだまされていたいです。


◇ それにしても。
2004-05年度のトニー賞をつらつら思い出します。
あのときのスパマロットは、ノミネートが14部門に対し、実際の受賞はベストミュージカル部門を含むも結局3部門にとどまり、だからちと「なんだフタ開けりゃそんなもんかよ」みたいな空気が(特に英国の厳しいメディア上では)ありました。しかしそのときスパマロットを蹴落とし主要な賞を取っていった「ライト・イン・ザ・ピアッツァ」や「ペテン師とサギ師」や「第25回パトナム郡スペリング・ビー」は、結局なんだかだ言ってロンドンには来ていないのです。スパマロットだけがラスベガスを始め全米に出回りかつロンドンに(逆)輸入されていて繁盛しています。これはどう解釈したらいいのか。「ガンジー」や「炎のランナー」や「愛と哀しみの果て」がオスカーを取るかたわらで、「レイダース」や「E.T.」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が人々の記憶に残るようなものでしょうか。いやたとえが古くて申し訳ありませんが。けれど04-05年度トニー賞一覧を見るにつけ、この中でいまだ生き残ってしかも海外に拡大までしているのはスパマロットだけという事実の前に、英語圏におけるパイソンの底力とはなかなかあなどれないものだと改めて思います。なんなんだこの強さは。

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26 June 2007

おフランススパムとパイソンサボテンその後

◇ 地元スーパーで発見、「臭いフランスのニンニク風味」のスパマロットバージョンスパム。川端康成的に、「臭い」が「フランス」と「ニンニク」の両方にかかっているのが微妙です。

おもて


うら


うらアップ。左中央の暗いシミはひっついてた変なシールをはがした跡です。



これが缶詰棚にふつうに置かれていました。ロンドン近郊で限定発売されていたということは聞いていましたが、首都から100マイル離れたラトランドにも及んでいたとは。ちなみにこれは棚の最後の1個だったので、いまだもったいなくて開けられずその素敵なかぐわしさは味わっておりません。加熱したらけっこう、「毒をもって毒を制す」の法則でいけるんじゃないでしょうか臭スパム。


6月7日で触れたパイソンサボテンオークション、20日にセールが行なわれましたが、ボナムズさんの結果報告によると、ロットナンバー246のサボテンにはどうやら買い手がつかずに終わった模様。→結果頁。全部表示されるのに少し時間がかかります。

貴重品とはいえ、全長3メートルのトゲつきサボを購入して人はいったい何をするのか、という疑問の残る物件ではありました。
(今、その用途に関し非常にアレな考えがよぎりましたが黙っています。)
これからこのトゲサボはどこに行くのでしょう。ボナムズさんの倉庫でふたたび数十年の眠りにつくのでしょうか。それとも。うーん。わたしは中古屋の片隅とか1本1ポンドの投売り籠に雑に取り残されている古いパイソンビデオを見ると、なんだか胸がいっぱいになり、塔に幽閉されている王女(または王子)を救い出す騎士の気分で家に連れて帰ってくることにしていますが(その結果何種類もの同一タイトルパイソンビデオがずらりと棚に並んでいる)、さすがに3メートルトゲサボには二の足を踏みました。このサボが、仮にボナムズ倉庫の片隅ででも幸せな余生を送ることを祈るばかりです。

ちなみにブラジルポスター(ロット133)も未売でしたが、ブライアン自殺部隊かぶりもの(240)は税手数料込みで780ポンドで売却されています。ほぼ予想落札価格どおりです。わたしはこれを落とした人と小一時間ほど膝と膝をつめてじっくりとお話をしてみたいです。

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17 November 2006

17NOV : さらばハーバート王子、そして女王陛下の007

昨年春からずっと個人的によいしょしつづけていた、ブロードウェイスパマロットのオリジナルキャストのひとりであるクリスチャン・「無駄美」・ボールさんが、今週いっぱいで契約を終了しついに舞台を去るようです。かれが次に出る新作舞台 Legally Blonde(「キューティ・ブロンド」)に関するニュースの中にその旨触れられています

*注:「無駄美」 - ボールさんはハーバート王子/まだ死んでない死体/著名な歴史家を演じるにはほとんど無駄なまでに美形であるということ。

スパマロット舞台においていかにボールさんが素晴らしいか、ということについてはこのへんですでに力説ずみですのでくり返しませんが、あの美形でありながらふり切れて壊れてはじけるハーバートが、本家ブロードウェイスパマロットから去るというのはかえすがえすも残念です。リーガリー・ブロンドもいいけれど、どうかいつかティム・カリーのようにロンドンに出張してきてほしいものです。

ちなみに、先日のロンドンスパマロットに関するエントリのときにはエリックちょんちょんショックでつい言及しそこねてしまいましたが、ロンドンには現在、ブロードウェイオリジナルキャストから、ティム・カリーの他にクリストファー・シーバーさんが長金髪を風になびかせるナルシストガラハッドとして遠征してきています。

思わず「ティモテ!」と口ずさんでしまう


シーバーさんのナルナルなデニス/ガラハッドもまたびしりとはまり役で、湖の淑女とのデュエット持ち歌 The Song That Goes Like This は何度聞いても本当に面白い。ロンドンにカリーさんが来るというのはあらかじめ知っていましたが、シーバーさんのことは実は知らず、だから芝居を見ている最中、どうもデニス/ガラハッド役はブロードウェイのシーバーさんに妙に似ているなあわざと選んだのかなあ、などと思っていました。そしたら本人だったわけです。すみませんシーバーさん(読んでないとは思いますが一応)。おわびがわりに、ボール&シーバー2ショットを再掲します。



夢の無駄美ペア


そういえば今思い出したこと。ロンドンの幕間で、隣に座っていた初老の夫婦が「あのガラハッドは地毛かしら」「いやあれはカツラだよ」と真剣な口調で話していました。わたしはノドのこのへんまで「いやあれはティモテなカツラなんで」出かかりほとんどそう口をはさみそうになりましたが、英人的討論の楽しみを奪ってはいけないと自制し、「いーやあのツヤは本物ですよ」「何を馬鹿な、大人の男が普通あんな長髪でいられるもんか」と次第に白熱してくる夫妻の会話を黙って片耳で聞いていました。

さて、
年末ですね。
クリスマスですね。
というわけで007映画ですね。
(わたしはひそかに、007映画とは「英人にとっての寅さん的、季節の縁起もん映画である。最近では釣りバカ日誌でも可」という説をあたためています。ただ、007と寅さんとのいちばん大きな違いは、007映画にはお子づれのお父さんたちがいっぱい来ていてそして連れたお子に向かって「いいかあジェームズ・ボンドとは、アストン・マーチンとはなあ」と力強く解説して聞かせているところです。こうして受けつがれていくのでしょうボンド文化。)

新作「カジノ・ロワイヤル」は女王様とその旦那様を招いてのロイヤルプレミアを経て本日公開です。おひざもとでの英国ではちょっとした騒ぎになっています。しかし、あれほどぎりぎりまでボンドもボンドガールも決まらなかったので、こら絶対来年に持ち越されるなと予想していたら、なんとびっくりクリスマスに間に合っちゃいました。なんだやればできるんじゃないですか英人。ウェンブリーアリーナ再建工事なんかもこうできないもんでしょうか。
(ウェンブリーの工事は、当初の予定より、完成が約2年間遅れています。というか、2年遅れれば完成するのかも実は定かではありません。ヨーロッパではわりとよくあることとはいえ、どうしてあれほどメジャーな工事にこういうそら恐ろしい単位で遅れが出るのか、日本人的感覚ではちょっと理解しにくいというのが正直なところです。)

もっとも当頁で何度か宣言したとおり、ジョンQが出ないと決定した時点でわたしとジェームズの関係はすでに終了しております。だからもう関係ないのです。しかしあらゆるメディアでこれでもかというほどCMが打ちまくられているのでいやでも目に入ってくるのです。なにしろ縁起もんだから。

そういったCMを目にするたびに、ブロンド・ボンドことダニエル・クレイグはやはりボンドというよりは悪役顔だなあと感じるのですが、しかし映画そのものは、評論家間ではどえらく評判がよいようです。どうやら突貫工事で撮ったにしてはたいへん渋くてよいらしい。よってクレイグブロンドボンドの将来はとりあえず安泰でしょう。なので来週見に行きます。いや関係は終了しているんですが、もしクレイグボンドが続投するなら、そのときのQとのケミカリーな相性が気になりますし。とわたしの目はすでに次のボンド映画に向いているのです。それにやはり関係は終了したとはいえ、やはり前作にはまり倒して13回見た以上、今でも昔の男が気になる程度には気になるわけでしてボンドさん。

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14 November 2006

14NOV : ロンドンスパマロットとテリJ先生のライフ・アンド・ハウ・トゥ・サヴァイヴ・イット

ちょっと間があいてしまいましたが皆様におかれましてはいかがおすごしでしょうか。
間があいた理由はと言いますと。まず、ロンドンスパマロットの一般開演日10月17日にパイソンズのみなさん(マイナス映画の撮影で来られなかったジョン(といつものように来られなかったグレアム))が集合したというまったくもってコトホぐべきおめでたいニュースがありました。しかしそういうめでたいことがあったというのに、その集合の瞬間を見逃したというごく私的な理由でもって、いつか書いたように覚悟はしていたものの、わたしはかなりのダメージを受けてしまったのです。ああめでたいなんてめでたいんだ。もうこれから何度あるのかパイソン集合、全力でコトホぐべしめでたいめでたい。しかし、ううう、めでたいめでたいんだが現場主義キリギリス者としてはそこにいたかったなあがっくりがっくり。と、嬉し苦しく複雑にヤラレておりました。

嬉しくるしんでいるうちに知恵熱のような熱がぼっと出ました。いい大人なのにパイソン知恵熱か面白いなあ、とノンキにかまえていたら、それはさまざまな諸症状をともないはじめてあれよあれよといううちに悪化。その素早い展開をひとごとのように傍観しているうちに、だんだん事態はシャレにならなくなってきて、どうやらこれは、セキ悪寒、くしゃみ鼻水関節痛、高熱朦朧これぞ究極インフルエンザ、ともうその邪悪な進行ぶりを立派なお手本として飾っておきたいほどのフル(とこっちの人間は略してかわいく呼ぶ)であることが医師の診断により判明。その後もどんどん進行する立派なフルさんのおかげで結局、40℃の高熱脳で一週間生きるという、人間的に貴重な状態におかれておりました。思わず柳田邦男が取材に来るかと思いました。一週間40℃が続き、わたしの脳は温泉卵になりました。やがてそのうち卵脳の底が白くなり、光のトンネルを抜けるとお花畑であった、はるか彼方では死んだはずのグレアムが「おいでおいでこっちの甘露はジントニ味」とか手招きをしていたりしているのであり、ああジントニ甘露いいねえ、グレアムのシャクならなおさらだよ、とふらふら気弱な温泉脳でさ迷いでようとしたまさにその瞬間、わたしの耳にはエリック声でしゃべるパイソンの神様が



「まだラスベガスがあるよーん」



その瞬間16トンの氷の御足が降臨し、その冷足で踏みつけられたかのように高熱は一気に冷めて引いていきました。そして思わず、「え、そうなんですか、やはりラスベガスに行かねばならんのですか」と叫び、叫んだ自分の声でわたしは平熱の清浄な世界につと引き戻されてまいりました。

どうしたものかラスベガススパマロット。いや、エリックの声でしゃべるパイソンの神様に命を救われた人間はつべこべ言ってはいけないのかもしれない。それにラスベガススパマロットのヴェニューは、かのショウビズの権化のような街で今いちばんナウい(死語)ウィンラスベガスだ。あそこならエリックんちもジョンちも近所だろうし。いやだからどうだというのだ動機が不純だ自分。と、これから当分うるさく悩み続けることになりそうです。

それとニュースがもうひとつ。もうご存知の方も多いと思われますが、テリJ先生が腸癌を患ったという報道、さらにこのとき暴露された、先生には実は現在23歳のスウェーデン人の彼女がいるという衝撃の事実。しかし手術の結果どうやら現在は回復の途上、しかしでもやはりかの女の子がかたわらに

奥さんはどうしていらっしゃるのかなあ、という心騒ぐ疑問はぬぐえないものの、その一方でなんとなく、ノーベル賞のノーベルは晩年に花売り娘に惚れてたいへんなことになっていたなあとか、マルクスもうら若いメイドさんに惚れてたいへんなことになってエンゲルスの世話になっていたよなあとか、なんとなくそういう学者的世界の先人たちのことを思い出してしまうのです。とりあえずどうか、お達者でいてくださいみなさま。

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01 October 2006

01OCT : アーサー王の帰還

9月30日でした。
ロンドンウェストエンドのスパマロットのプレビュー初日でした。
まだスパマロットという文字もぜんぜん存在しなかったころから「なんかこういうミュージカル話があるらしいぞ」とああだこうださわいできたので、その後その芝居がちゃんとできてきて、その上ブロードウェイで大ヒット、さらに全米拡大ツアー、来年からはラスベガスにも定着、そして今回ロンドンに逆輸入されることになりついにその初日、というこの事態がにわかには信じがたいです。

でも信じられなくてもいい、信じられなくても嘘でも幻覚でもお花畑でもとにかくキリギリスはそこに行かなければ、とチケットを買って見に行きました。

まず、残念ながらこの初日にはニューヨークで起こったような生き残りパ組全員集合はありませんでした。オフィシャルの一般開演日である10月16日にひょっとしたらあるのかもしれませんが、どこにどう問い合わせても今のところはっきりわかりません。それに16日、あるいはほかの日に仮にナニカがあったところで、おそらくわたしはそれを見ることができないでしょう。いや自分が見られないからといって別にどうでもいいというわけでは決してなく、そういうことになったらそれはご縁がなかったということでいいのですが、しかしもしそれが本当に起こりしかも目撃できなかったら、いまだにはげしく残っている「ジョージ・ハリソン追悼ライブパイソンズ尻見逃しの件の傷」に塩をざりざり塗りこまれ熱湯注がれることは間違いありません。ううう。とまだぜんぜん起こっていない、というか起こるかどうかすらわからないことですでにダメージを受けています。


とりあえず初日にはそこにいようとキリギリス的に気を取り直し、一路ロンドンをめざして南下しました。
★の画像はクリックで拡大します。


午後5時ごろ、夕暮れのパレス・シアターはこんなふうでした。

ああなんてステキなながめであることか。小道の奥にあるブロードウェイのシューバート・シアターとは異なり、この劇場はこんなふうにシャフツベリー・アベニューとチャリング・クロスとの広い交差点の角に建っているので、ステキなスパマロット空間が外に向かって優雅にひらかれているかのようです。それからこの交差点が、「ケンブリッジ・サーカス」であることに今さら気がつきました。(画像右上に表示が見えるでしょうか。ちなみに例の1963年フットライツレビューの「ケンブリッジ・サーカス」の劇場は、ここではなく、この角からシャフツベリー・アベニューをもう少し奥に入ったリリック・シアターです。まぎらわしいので若干の混乱を招いたそうです。)


周囲はすごいことだかなんだかよくわからないあおりポスターだらけです。


そりゃそうだろう



それはじまんできることなのか



「ふうん女の子かあ」「よしてくださいよあなた」
ちとわかりにくいですが、一番下のWitch Burnings が赤線で消されています。実はスパマロットからは魔女裁判のシーンがまるごと落ちており、よってかわいそうなことにサー・ベデヴィアの出番がほとんどありません。なんでも初期の脚本にはあったものの、予算の都合で削られたという記事をどこかで読みました。



ボックスオフィスのとこ。


本日のチケットはオフィシャルには完売ですが、「リターン券待ちはここんとこに並べ」と言っている看板もパイソンです。これを撮ってからまもなく、看板の後ろにはずらりと列がつらなり始めました。開演ぎりぎりになってもまだ人はたくさん並んでいました。


ところで、開演は8時なのになぜこんな時間から自分はここにいるのかなあ、おかしいなあどうしてかなあと素知らぬ顔しつつわたしは裏にまわりました。

すると、ステージドア近辺にどうも同類くさい人々が人待ち顔でたむろしているのを発見。

(同類の見分け方: 片手にカメラもう片手に油性ペンを握りしめ、肩からはいろいろなブツが入っているので観劇客にしては妙に大きなカバンが下がっている)

おお同類だ、やはり来てしまうのだね同類たちよ。実は自分もしっかりそのタグイの人間であるわけです。そのうちのひとりとすばやく「誰か見た?」「いや、まだ誰も」と短い会話を交わしました。

でももうすぐなにかあるよ、とキリギリス触覚にデンパを感じ、日が落ちて次第に冷えこんでくるロンドンの空気のなか待つことしばし。



やがて不意に「お」と空気が動いたと思ったら、





あっエリックだっ。




「やあ君たち、いつから待ってた?開演まであと2時間もあるよ?」とか言いつつ、同類がさしだすヲタ物件にさらさらサインをしたり写真を撮られたりしています。

で、

すみませんごめんなさい。

はずかしい告白をします。

わたしはそこで、

「正伝」を出したのです。


(すみませんもうしわけありませんわたくしはこういう展開を若干期待して1キロ本を妙に大きなカバンに詰めて持っていってたのです。)


「えええエリックさん、実はこういう本がじゃぱんにありまして、でこの本はこれこれシカジカでして」
「えー?これが?これどの本?え、オートバイオグラフィって、あの厚いやつ?あれを日本語の本に?うひゃー信じられん、よくやったもんだ」


そこでさらにはずかしげもなく「すいませんここにサインをください」とお願いしてしまい、すると「もちろん」とさらさらさら。








家 宝 決 定 。



「きみ、今夜の見るんだよね?楽しんでいくといいよ」
「そうです、けど楽しいのはもう知ってます」
「え?」
「いや実はニューヨークですでに3回見てるんです。でもロンドン版はどうなってるか知りたくて」
「…えー、それはなんというか、どうもありがとう。びっくりした。じゃ、ロンドンでもよい時間をすごしてほしい」

その後しばらくその他の同類たちを交えて立ち話をした後、エリックはグリーク・ストリートをソーホーに向かって歩いて去っていきました。



ちなみにこちらはその後、大人気のティム・カリーさんです。






さて、開演時間も近づいてきたので、スパマロット土産物物件をあれこれ物色した後劇場内に入りました。そしてえーとわたしの席はどこかしらと券を片手にうろうろしていたときふと、客に同化した変哲もないセーター姿のエリックが、客席後方の通路に立ち、まだ幕が下りている舞台をじっと眺めているのに気がつきました。まわりのロンドンびとはときどきふりかえり、「あ、あれはあいつじゃん」というささやきが聞こえたりもしましたが、みな礼儀正しくさりげなく距離を置いていました。

そして芝居。アーサー王のティム・カリーがココナツの蹄音高らかに現れると観客から大歓声が起こりました。どうもロンドンの観客はすごくリラックスしていて最初からよくあったまっているようです。

スパマロットはホリグレをベースにしているとはいえ、ブロードウェイ仕様ゆえアメリカナイズされているネタも多くなっています。そのへんはロンドンの舞台ではどうするんだろうと思っていたら、アメリカ的ネタもほぼそのままやっちゃっていました。そしてロンドンの人々は平気で笑っていました。なかなか強靭な消化能力を持つ人々だと思いました。ただ、さすがにサー・ロビンの持ち歌 You Won’t Succeed on Broadway は You Won’t Succeed on Shaftesbury になっていて、その他の歌やセリフも「ブロードウェイ」の部分が適宜「ロンドン」や「ウェストエンド」に置き換えられていました。しかしいずれにせよ、ロビンのかの「芝居を成功させるにはユダヤ人を味方に取り込め」という大胆な主張は変わっておらず、そしてロビンがこう口にした瞬間、客席は「うわーう!」とかなりざわめきました。

しかし英人のみなさんにとり、自分とこの文化(と言ってしまおう)が、アメリカっぽく化粧をほどこされてアメリカで大いに受けて、そして受けたからってそのまま自分のとこに戻されてきて今それを見ている、ってのはどんな気分かなと少し考えもします。「エビータ」を見ているアルゼンチンの人々のようなもんでしょうか。いやあまり役立つたとえではないですが。ちょっとその感覚は想像がつかないです。

でもそんなことはおかまいなしに、人々は新しいギャグによく反応しつつ、一方でなじみのキャラクターやセリフが出てくると「イエーイ!」と嬉しそうに拍手、知っているセリフは口々に同調(「(ちーん)ぶりんがーうちゃでーっど!」「ふぇっちらばーしゃ!」「ニッ!」「ニッ!」「しゅらべりー!」「ティム!」)、歌も一緒に歌っていて、「今われわれはとても面白い芝居を見ているんだよ楽しいなあ」と感じている観客が示す反応を全部示していました。これはかなりすてきな時間と空間でした。なんか泣けてきました。だってなにしろこの21世紀に、ロンドンのウェストエンドの劇場満杯の人々が、フィナーレで総立ちになり拍手に続いて「オールウェイズ」を楽しそうに身体動かしながら歌ってるんです、これに感動せずにいられようか。そしてフィナーレとアンコールが終了し出演者が去ると、舞台のスクリーンには例の「PISS OFF!」の文字が。でも人々はすっかりその失礼さも平気なあたまになっているらしく、かまわずげらげら笑っていました。

これはいいぞおー、これから面白いことになるぞー、と考えつつ人波にまざって劇場出口に向かっているとき、うしろからちょんちょんとつつく人がいます。ふり返るとそれはエリックでした。どうやら客席でふつうに通して見ていたようです。そして、「どうだった?面白かった?」とたずねてきました。わあエリック・アイドルにちょんちょんされてしまった、もうこれ超ウルトラロイヤル家宝経験決定だあ、と思いつつ、「いやロンドンのほうが面白かったです観客の感じがよくて最高でした」と答えると、エリックはひとつウィンクをして、楽屋方面に去っていきました。

春はあけぼの、夏はよる、パイソンはロンドン、やはり野に置けパイソン草。アメリカのスパマロットは時とともに次第に深く静かに浸透していきましたが、故郷ロンドンに帰ってきてそこにまかれた21世紀のパイソ種はどうはびこって、もとい、育っていくのか。仮にこの土壌では育たずいきなり終わってしまったとしてもそれはそれでまたパイソンらしくていいと思うんですが、とりあえずしばらく定点観測です。

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24 July 2006

24JUL : ザ・ケース・アゲインスト・パイソン続きとロンドンスパマのきざし

前回の Friday Night Saturday Morning の件の続きをちょっと。

「フライデイ」を見ていると、60年代に大学生だったパイソンズの皆さんは、精神がデフォルトで「反体制」なのだ、そして自分たちが何にどう疑問を持っているのかということ、それをどう表現すれば人に伝えられるかということを把握している、と強く感じました。
そのメッセージがナンセンスな笑いを通じてそれでも非常にクリヤーに伝わってくるという点が、21世紀になっても思わず人々がフライング・サーカスやパイソン映画を見てしまう、という理由のひとつではないかと思った次第です。

しかしあれです。
普段はあまりぺらぺらしゃべる方ではないジョンが、この「フライデイ」では体制の権化のようなお年寄りにボコボコやられて燃えたのか、言われることに非常に明晰な口調で突っ込みを入れたり切り返したりするところが物凄くカッコイイ。
とは前回書きましたが、
実は、その鮮やかな切り返しに観客が思わず拍手をすると、ちょっと「ふん、どんなもんだ」という得意そうな顔をするんですねジョンが。ジョン専ゴコロ一撃。イイ。

ところでこの討論を企画したのは、かのイアン・ジョンストン氏です。ジョンストン氏は、ホリグレ、ブライアン、そしてワンダの好ましいメイキング・オブものを作ったり(それぞれのDVDに収録されているあれです)、それから確か007シリーズにジョンが出るように取り計らったのもこの人だったはずです。
で、
ワンダのメイキングでジョンストン氏は、やはり言葉を選んで慎重にしゃべっているジョンを、ちと意地悪ともとれる質問でちくちくつついてちょっと怒らせてみる、その結果インタビューがとても面白くなった、という腕を発揮しています。そう考えると、この「フライデイ」も、案外こういう展開を期待しつつ仕掛けたのではないのかなこの人は。という気が少しするのですがどうでしょう。


さてお話変わりまして。
BFIに行くために上ロンしたので、その夜は芝居見物に行きました。
そしたらチケット売場にこういう物件発見。★印はクリックで拡大します。


ロンドンスパマロットの豪華なフライヤー(というのかな)です。
一番上に「ミュージカル劇場を1000年退化させる!」とあります。

三つ折になっていて、


一回開いたところ。
上のマイケル・ペイリンさんは思い切りスペリング間違えてますが(正しくはTerrific)、縁故関係はないそうです。
それから右頁の「3番目に背の高いパイソン」というエリックの肩書きと、右下の「黒死病より面白い」という「週刊修道士」のメイナード神父のコメントにかなり笑いました。誰ですか週刊修道士のメイナード神父って。




全部開いたところ。
ウシが落下してきました。
写真はNYブロードウェイのオリジナルキャストです。


あと、裏面の一番下に小さく注意書きが。


Spamalotflyer4_1

「『スパム』はホーメル・フーズ社の登録商標です」、これはまあ当然として。
次の「この芝居の最中、役者に負傷者はほんのちょっとしか出ません」。続けてアスタリスクにあるのは「プロとして当然の範囲を除く」。という意味か。
出るのか、負傷者。スパマ役者は夢の遊眠社なみにカラダ張っているのか。パイソンのためなら命を捨てても惜しくはないのかスパマ役者たちよ(←そこまでは言ってない)。早く来いこい9月の初日。

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08 July 2006

08JUL : パイソニアン、北へ

◆ 前回ぶんは今読み返すと妙に調子が暗いです。これは話題が重いという理由がまずありますが、同時にどうやら下り坂にあった管理人の機運をも反映していたようです。というのは前回以来わたくしは、ヤマイと負傷とに同時にみまわれ、その間隙を縫って車が3回、パソが2回故障し、メールを含むHDの中身がすべて消失、とどめに傷口を泥靴で踏みつけるがごとくラットランド州役所から来た住民税の請求が300ポンド間違っていて(もちろん多く請求されている。どうせ間違えるのなら少なくしてほしいのだが、そういう間違いはかれらは決して犯さない)、かなりヤラレておりました。思わず軽く気絶していたりしている間にワールドカップもどんどん日程が消化され、わずかに記憶にあるのは、初期の試合にドイツ対ポーランドというあまりにあんまりな組合せがあったので固唾をのんで見守り、その間中ずっと「戦争の話はするな絶対にしてはいかんぞBBCアナウンサー」とつぶやいていたことくらいです。もっともそう感じた人はほかにもいたようで、この試合をめぐりこのワン・ライナーが使われるのを、TV・ラジオ・新聞などで何度も見聞きしました。

◆ TFJC内の「ジョン・クリーズに関するあなたの知らない10の真実」のページに誤りがあることをR.C.さんからご指摘を頂きました。早速訂正しました。→★★★

× 『ジョン』は母方の祖父、ミドルネームの『マーウッド』は父方の祖父にちなんでいる

○ 『ジョン』は父方の祖父、ミドルネームの『マーウッド』は母方の祖父にちなんでいる

R.C.さんどうもありがとうございました。そして基本的な事実を誤認していたことをお詫びいたします。
全宇宙13人のTFJCersのみなさまにおかれましても、今後もどうぞご意見ご指摘ごツッコミのほどよろしくお願いいたします。

◆ 今年2月にエリックが小雨の路上に出張してきて、トニー賞受賞作家みずからカラダ張ってスパマロットロンドン公演のチケットを売っていました。もっともわたしはそのカラダ張りぶりを見逃しましたが。くくくくく。このへんこのへんにそのいきさつがありますが今でも思い出すと泣けるううううう、でもそれはともかく。
先日別件でチケットマスターを流している際ふと
「そういえば売れているのかロンドンスパマロット」
と都会に出て行った我が子を案じる母親のような心境になり、ちらりと様子を見てみました。

(余談ですが、ファンとチケットとの関係は愛憎半ばする微妙なものだと思います。発売前は「なんぴとたりともあたしの前には買わせん、売り切れたら許さんええいそこをどけ道をあけろ一番いい席はあたしのための席なのだ」とリダイヤルボタンを連打しつつ(あるいはボックスオフィス前の列の最後尾でじたばたしつつ)考えていますが、争奪戦の末いざ目当てのチケットを入手すると、「ところでちゃんと自分以外のほかの人もあの券を買っているのだろうな、売れていなかったら困るなあ」とちょっと心配にもなったりして。)

そしたら、
2月の時点では、ロンドンスパマロットの初日は「10月2日」だったのですが、いつの間にかそれが「9月30日」にくり上がっているのを発見。→★★★
通常、芝居の日程が増えるときには後ろにのびるものだと思うのです。
ロックやポップの方での「急遽追加公演決定!」というあれも、たいがい本公演の後や間に入るものです。
初日が早められる、という事態は初めて見ました。
しかもあんなに派手に売り出した券なのに。
もちろん何らかの理由があるのでしょう。
で、その理由に関してわたしは、たぶんああいうことじゃないかな、ああいうことだったらいいな、個人的にはそういうこと希望、と予想というか幻想を抱いてはいますが、とりあえずきちんと調べがつくまでは妄想は個人脳花畑内にとどめておこうと思います。といって、どこの誰に訊けば調べがつくのかよくわかりませんが。誰かエリックに電話して訊いてくれませんか。

◆ それにしても、来年のラスベガス拡大が気になる(まだスパマロットの話です)。ティム・カリーのアーサー王がロンドン公演で復活するのなら、ハンク・アザリアのランスロットとデイヴィッド・ハイド・ピアースのロビンというすてきな騎士カップルがラスベガスで再出現しないだろうか。しかもハコは今ラスベガスで一番ナウい(死語)トレンディな(死語)ヴェニューであるウィン・ラスベガスだ。もしハンク・ランスロットとDHPロビンが揃うのなら、行っちゃうかもしれない、わたし。とか意識のすみで考えている自分にふと気づく。誰か止めろ。

◆ 夏です。
夏といえばエディンバラ・フリンジです。
いや夏のフリンジでコメディ快楽にふける数日間を楽しみに残りの1年をがしごし働いている人間としては、夏とはフリンジ断定なのです。
だから今年は何をどう見に行こうかなあ、とうきうきしながら計画をたてる段階からもう法悦、さあ楽しませてくれ今年のフリンジちゃんへへへへへとにやにや笑いつつプログラムをめくっていて、
びっくり。

なんとザ・グディーズがエディンバラで復活します。→★★★

しかも会場は、フリンジで一番ステイタスが高い、ここに出るには相当面白くて集客力がなければならないはずのジ・アッセンブリーです。

なにげでじわじわやるなザ・グディーズ!!

2003年のDVD全集1枚目発売、およびロンドンでのぷち再結成イベント

去年頭のDVD全集2枚目発売

去年クリスマスのBBC再結成特番

今年夏エディンバラのアッセンブリーで復活

素ん晴らしい。

しかしどうもビル・オディは参加しないようで、そうするとグディーズ3分の2であるわけですが、別にいいです。こういう経過を逐一目撃できているだけでわたしは幸せですし、それに、ちまたには「フレディ・マーキュリーなしでクイーンを名乗る人々」とか「リック・オケイセック抜きでカーズをやってる人々」だっているくらいですし。いやもちろんビルさんが来ればそれにこしたことはないわけで。来ないんだろうけど、別にいいんだけど、でも来ないかな。来たらいいな。いや来ないんだろうけどな。と、当日開演直前までやきもきさせられ続けることになるのでしょう。まだまだ油断できませんザ・グディーズ。

◆ その一方。
エディンバラの西北、ドゥーンの杜に、そびゆるヲタクの聖なる城壁ことかのドゥーン城にて、毎年9月初めに「ホリグレを上映してついでにパイソンであそぼう」というイベントがあります。今年は9月3日日曜日です。→★★★

毎年8月にフリンジに行くたびにこの城を訪れ、そして売店で借りたココナツをぱかぱかやっては並ぶパイソン物件をチェックし、とかそんな行動をしているから店の人に見抜かれ、「もしもしそこな日本人、9月になれば映画会あるよ、来ない?」と誘いを受けます。このイベントは数年前からやっているそうですが、初年は適当に宣伝しておいたら当日人が2000人くらい来てしまい大混乱になったので、翌年から限定500枚の前売チケット制にしているそうです。

しかしフリンジとはいつも微妙に日程が合わず(フリンジはたいがい8月最終週の頭に終わり、映画会は9月第1週の日曜日である)、数年間見送るばかりでした。

今年もフリンジと日程は合いません。
が、
行きます。


つまりフリンジ後にスコットランドまでもいちど出直すことになるわけで、そうするだけの都合がつくかどうか現時点ではまったく不明です。しかし、このままではわたしは「ドゥーン城のホリグレ上映パイソン大会に行きたいと思いつつ結局行かなかった人間」として死んでゆくことになり、そしてわたしは「あの人は最後までホリグレ現場上映会に行きたがっていたのに決断できずにホリグレを現場で見られなかった人でした」なんて言われながらのうのうと死んでいたくはないのです。しかしこんなふうに人生について感じるとは、死期でも近いんでしょうか自分。もう加齢臭ふんぷんですか。

気をとり直して、チケットに同封されてきたすてきな招待状を。クリックで拡大します。


チケット・招待状ともに、「お城の中庭でやるんでスコットランドの気候にそなえた格好しておいで」というところが重要そうです。あそこらへんは9月でも夜はかなり冷えるのでしょう。それから敷物や椅子持っといで、よかったら貸し出しクッションあるよ、というのがなんかほのぼのとしています。ちなみに中庭とは、ハーバート王子の結婚式の日、無駄に走ってきたランスロットが門番を刺し殺した後になだれこみ、楽隊や女の子たちを大量殺戮するあの血まみれの空間です。ほのぼの。ちなみに上にリンクをつけたヒストリック・スコットランドの頁ではこのイベントはちょっとオサレに「パイソンフェスト」と称されていますが、とりあえず当頁ではこれを「こころのヲタク祭り」と呼ぶことに今決定しました。ヒストリック・スコットランドの中の人たちにはないしょです。

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18 June 2006

18JUN : ザ・マネー・プログラム

経済誌「フォーブス」が収入や知名度などをベースとして毎年発表している有名人のパワー番付、「セレブリティ100」が今年も発表されました。
で、
エリックとマイク・ニコルズのスパマロット仕掛人組が98位にランクインしています。→★★★

ふたり専門の頁もあります。この写真はとてもすてきだ。→★★★


しかしえーと9ミリオン(900万)ドルの出来高ということは。
とりあえず今新聞を見たら1ドルは115.190円なので

いち、
じゅう、
ひゃく、
せん、
まん、
じゅうまん、ひゃくまん、せんまん、いちおく…




1,036,710,000円(じゅうおくさんぜんろっぴゃくななじゅういちまんえん)。




1位はトム・クルーズの6700万ドルであり、その差は一見大きいようですが、今年のトムさんはよくも悪くも大量に映画などのメディアに露出しています。それを考えると、ぎりぎり98位とはいえこのペアはスパマロットのみでこの位置につけているわけで(だからふたりは「監督/プロデューサー」のカテゴリに入れられている)、すなわちスパマロットひとつはトム・クルーズ総合活動値の7.44分の1に相当することになります。これはけっこうすごいのではないかと思います。


ちなみにフォーブスに関しては、実はジョンの方が先に到達しています。記事につけられたプロフィールによると「ジョン・マーウッド・クリーズ、俳優、脚本家、ビデオ・アーツ社代表取締役」であるところのジョンがまじめなビジネス論を語る特集が、1989年のある号に収録されています。当時のフォーブスもこのような有名人パワー番付をやっていたのかどうか、仮にあったとしてワンダとビデオ・アーツでぶいぶい言わせていたころのジョンは含まれていたのかどうか。そのへんは不勉強にしてあいにく知りませんが、いずれにせよ、なにしろエリックとジョンは「パイソンズの良く言って経済的観念が発達している方、悪く言えば営利主義の方、というかはっきり言って金の亡者である方」、だから今回このエリック&ニコルズ98位の件を小耳にはさんだときわたしがまっさきに考えたことは


「さぞジョンがくやしがってるだろうなあ」


だったんですが、それはエリックとジョンには内緒にしておいてください。


でもよかったねエリック(&ニコルズさん)。有名人稼ぎ高番付なんていつも「けっ」という気分で聞き流していたのに、なんか妙に嬉しい。これからもぜひ、ブルックリン橋をぽんと買っちゃえるほどドル札束を荒稼ぎしてください。

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07 May 2006

07MAY : スパマ役者、007、英国テレビのそこぢから

● ブロードウェイのスパマロットでは、4月頭にランスロット役のハンク・アザリアとロビン役のデイヴィッド・ハイド・ピアースが契約を終了して舞台を去ったそうで、これで開始時の主役連はほぼ全員入れ替わったことになります。かつて「ザ・プロデューサーズ」では、オリジナルキャストのネイサン・レインとマシュー・ブロデリックが降りたとたんにチケットの売上が減ったらしく、その事実を示しながら「だからこれからが勝負だよスパマロット」とちくちくつついているレビューをどこかで読みました。もっとも、スモークの川の小船で堂々とアンドリュー・ロイド・ウェーバー的歌い上げを聞かせるガラハッドのクリストファー・シーバー(美形)、パッツィのマイケル・マグラース(非常にテリGに似ている)と、そしてわたしがしつこくよいしょしている著名な歴史家/まだ死んでない死体/ハーバート王子のクリスチャン・ボール(役のわりには無駄なまでに美形)は続投しています。しつこいようですが、ボールさんのハーバート王子の何かを超えたはじけぶりは本当にすばらしい。パイソン的クォリティのひとつに「外見と、きわめてバカバカしいその行動とが激しく食い違うショック」というのがあるのではないかと思いますが、その意味ではこの人が一番パイソンゴコロを汲んでいるかもしれません。


クリスチャン・「無駄美」・ボールさん御近影。この写真掲載3回目。


● 最新007映画カジノ・ロワイヤルは、いろいろありましたが撮影は進んでいるようです。先週予告編の第一弾ができてきたということが話題になり、ずっと普通のニュースでとりあげられ続けていました。ブロンド・ボンドことダニエル・クレイグがかなりシブいボンドになりまじめにスパイ的アクションに徹しているようでけっこうなことですが、しかしわたしはそれを横目で眺めつつ、「いいのもう関係ないの、わたしとジェームズとはすでに終わったのよ」とつぶやき続けています。どうしてMが出てQが出ないんだ!今さらボンドにリアリティを求めようとしてどうするのだあ!その判断により、本来数えられたはずであった観客動員数から、わたしが通ったであろう10とか20とかいう数が減ったと思いねえブロッコリ。もっとも、ブロスナンボンドに比べクレイグボンドはあまり冗談が通じなさそうな雰囲気がするので、ジョンQを横に置いてはたして似合っていたかという疑問は残ります。もう関係ないけど。しく。


● 英国アカデミー協会(BAFTA)のTVアウォーズが今晩発表されます。ノミニーはこんなん出ていますが、ここには確かにひきつけられるようにして見てしまったものばかりが並んでいます。くだらないものも相当多いけれどもそれはそれとしてやはり英国のテレビは力強く面白い。
勝者予想、というよりは個人的な願望をいくつか申し上げますと。

ENTERTAINMENT PERFORMANCE
★ JEREMY CLARKSON - Top Gear (BBC2)
JACK DEE - Jack Dee Live At The Apollo (BBC1)
NOEL EDMONDS - Deal or No Deal (Channel 4)
JONATHAN ROSS - Friday Night With Jonathan Ross (BBC1)

不機嫌なコメディアンジャック・ディーとしたいところ、やはり、単なるくるま番組をかろやかに越えてすごく面白いトップギアに一票。なにしろ、「トリノのスキージャンプ台からミニを飛ばして飛距離を計ろう」とか「『まるでリビングルームのように快適』というウリのスマートの車内で、一歩も車外に出ずに24時間過ごしてみよう」とか、真剣にバカを追求する態度がすばらしい。もっともこの番組を支えているのは、ジェレミー・クラークソンだけではなく司会3人組の残りのふたりジェームズ・メイとリチャード・ハモンドだと思います。


COMEDY PERFORMANCE
★PETER CAPALDI - The Thick Of It (BBC4)
ASHLEY JENSEN - Extras (BBC2)
CHRIS LANGHAM - The Thick Of It (BBC4)
CATHERINE TATE - The Catherine Tate Show (BBC2)

最後のサタイアリスト、アーマンド・イアヌッチの新作ということで今年は The Thick of It がかなり強い予感。しかし、Extras をノミネートしておきながら、ジ・オフィスでもてはやされているリッキー・ジャヴェイスをわざと避けているかのような印象が少し。


DRAMA SERIES
BODIES - Mark Redhead, Sue De Beauvoir, Jed Mecurio (Hat Trick Productions/BBC3)
★DOCTOR WHO - Phil Collinson, Russell T Davies, Julie Gardner (BBC Wales/BBC1)
SHAMELESS - The Production Team (Company Pictures/Channel 4)
SPOOKS - The Production Team (Kudos Film & TV Ltd/BBC1)

デイヴィッド・「普通にしてても目がキレている」・テナントの三白眼ドクターがとてもすてき。子供番組とはいえあなどれない。というか、あまりにリアルなSF描写が子供には怖すぎるというもっぱらの評判。


FACTUAL SERIES
★49UP - Bill Jones, Claire Lewis, Michael Apted (Granada Television/ITV1)
COCAINE - Guillermo Galdos, David Notman-Watt, Angus Macqueen (October Films/Channel 4)
COAST - The Production Team (BBC/BBC2)
JAMIE'S SCHOOL DINNERS - Andrew Conrad, Robert Thirkell, Dominique Walker (Fresh One Productions/Channel 4)

教育庁をも動かしたほどインパクトのあったジェイミー・オリバー学校給食摘発番組もすてがたいのですが、ごく普通の英国の市井の人々を49年間淡々と追い続けた49UP。49年ですよ。普通の人の人生がこんなに感情にせまるとは。英国のテレビはときどきすごいことをします。


FLAHERTY AWARD FOR SINGLE DOCUMENTARY
★CHILDREN OF BESLAN - The Production Team (BBC Current Affairs/BBC2)
MAKE ME NORMAL - Brian Hill, Zac Beattie, Jonathan Smith (Century Films/Channel 4)
THE REAL SEX TRAFFIC - Simcha Jacobovici, Brian Woods, Ric Bienstock (Associated Producers/True Vision Productions/CBC/Canal D/Channel 4)
TAXIDERMY: STUFF THE WORLD - Brian Hill, Elodie Gornall, Morgan Matthew (Century Films/BBC2)

ベスラン事件を生き延びた子供たちが、現在はボロボロの廃墟と化した学校に戻り、カメラの前で「ここでぼくの友達が死んだんです」とか語るChildren of Beslan。英国のテレビはときどき本当にすごいことをします。


FEATURES
THE APPRENTICE - Dan Adamson, Tanya Shaw, Peter Moore (Mark Burnett Productions/Talkback/BBC2)
DRAGON'S DEN - The Production Team (BBC/BBC2)
★RAMSAY'S KITCHEN NIGHTMARES - The Production Team (Optomen Television/Channel 4)
TOP GEAR - The Production Team (BBC/BBC2)

すまないジェレミー・クラークソン、実はわたしは元サッカー選手、現在超一流シェフ、グラスゴー訛りで1分に3回悪態をつくという、非常に個性的な不良おじさんゴードン・ラムジーにとても弱い。この人にファックとかシットとか吐き捨てられつつキッチンでパイを焼かれたりすると、それはあまりにもスェクスィでわたしは見てると気絶しそうになります。


SITUATION COMEDY
EXTRAS - Charlie Hanson, Ricky Gervais, Stephen Merchant (BBC Comedy/BBC2)
PEEP SHOW - Robert Popper, Tristram Shapeero, Sam Bain, Jesse Armstrong (Objective Productions/Channel 4)
★THE THICK OF IT - The Production Team (BBC Comedy/BBC4)
THE WORST WEEK OF MY LIFE - Mario Stylianides, Mark Bussell, Justin Sbresni (Hat Trick Productions/BBC1)

COMEDY PERFORMANCE と同じ理由です。ただ、わたしは現在やっている(そしてここ数年間のうちの)コメディの中では、チャンネル4のGreen Wing が一番面白いと思うんですが。どうしてカゲも形も見えないのか。あれはジ・オフィスよりも民放的にオルタナでいいと思うんですが。


COMEDY PROGRAMME OR SERIES
THE CATHERINE TATE SHOW - The Production Team (Tiger Aspect Productions/BBC2)
CREATURE COMFORTS - Julie Lockhart, Gareth Owen, Richard Goleszowski (Aardman Animation/ITV1)
★ HELP - Paul Whitehouse, Chris Langham, Jane Berthoud, Declan Lowney (BBC Comedy/BBC2)
LITTLE BRITAIN - Matt Lucas, David Walliams, Geoff Posner, Declan Lowney (BBC Comedy/BBC1/BBC3)

というより、リトル・ブリテンはひとつ山を越えた感じがあるし、消去法でいったらこれしか残らない。もっともHELPのポール・ホワイトハウスは、90年代の1、2を争うBBC大ヒット The Fast Show を生んだ天才です。でもここにグリーン・ウィングがあればなあ。



BBCジャパンが終了した今、こういうことを書いてどうなるのかよくわからないままとりあえず。それにしても、グリーン・ウィングは面白いです。なんとかして見てください。

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28 April 2006

28APR : パイソンアルバム

突然引越しをすることになりました。ヲタの引越しはカタギの人々よりもかさばるモノが多くてストレス倍増である、という事実をかみしめながら、凄惨な状態になった居住環境でこれを書いています。だからわたしはもし生まれ変われるのならば、この次は樽の中に住む古代ギリシャの哲学者になろうと固く決意しているのですが、それはさておき。今、「研究入門」のうしろに書いたことを補強すべく、今(ようやく)スパマロット文を、段ボールの山をかきわけながらまとめています。で、スパマ文の文脈上にはおさまらなさそうな、しかしニューヨーク関係の写真を、引越しにつきもののアルバムの整理ということであげちゃいます。


1976年のツアー会場、ニューヨークシティセンターその1。
Nycenter1_2


ニューヨークシティセンターその2。確かキャロルだかエリックだかがこの入口に立っている写真を見たことがあるなあ、と思い出しつつ。


これはなんでしょう。

答え。
「正伝」の中盤、「研究入門」では最初に述べられている、パイソン対ABCの裁判の会場(会場つーか)の裁判所です。この後わたしは、たいへんキビシイ態度の警備の人に「こるぁこんなとこで写真を撮ってはいかん」とすごく怒られました。


これはなんでしょう。

答え。
1964年のケンブリッジ・サーカスが、ブロードウェイのプリマス・シアターからダウンタウン落ちした会場「スクエア・イースト」、があったはずなんですがその跡形もない場所。ニューヨーク市立図書館でコピーを入手した新聞広告(右掲)に記載されている、15 West 4th Street という所在地からいうとここの角なんだけどなあ、と思いながら撮りました。今はこのあたり一帯ニューヨーク大学の学部が並んでいますが、エリアの感じそのものは当時とおそらく変わっていないだろう、という気がします。ブロードウェイのど真ん中のプリマス・シアターに比べると、落ち着いて人々の生活の香りがする場所です。ジョンが「正伝」で確かそんなことを言っていました。

マンハッタンをこんなものが走り回っていました。

これは長距離バスですが、のちに同じくスパマロット仕様の普通のバス発見、用もないのに乗ってしまいました。中は普通でした。


これからスパマロットを見るぞー、と思いつつ撮った夜のタイムズスクエア。


それから、これはぜんぜん別の機会に撮った、しかもロンドンの写真ですが、勢いでついでに。

テムズ川のほとりに建つシェイクスピアゆかりのグローブ座の一角に、スポンサーの名前が刻まれている敷石が一面を埋めているテラスがあるのですが、そこにそうそうたる名前に囲まれて。ISIRTA時代から「シェイクスピアは、もし自分が監督だったら、突っ返して書き直しを命じるであろうコメディの脚本を書く」なんて言っておきながら、さりげなく貢献していらっしゃるようです。


ジョンの隣の敷石。

グローブ座の案内のおばさまいわく、「ジョン・クリーズから後で電話がかかってきて、『マイケル・ペイリンの名前のスペリングをわざと間違えろ』と依頼されたんです」。相変わらず、思わず「子供かいあんたら」と突っこみたくなるジョン&マイケルですが、それに従うグローブ座の人たちもどうかしていると思います。

とりあえず今日はこのへんで荷物整理方面に去ります。ああ、古代ギリシャはよかったなあ(遠い目)。いや生まれてなんかいないですけど。いくらなんでも。ええ。

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03 March 2006

03MAR : オスカー、ワンダ、ロンドンスパマロット

時期がらここで、まずオスカー話題をひとつ。
ワンダがいろいろノミネートされていた1988年度、すなわち1989年の3月に行なわれたオスカー授賞式をご覧になったことはおありでしょうか。
わたしは一度だけ見たことがあります。
客席にはケビン・クラインがフィービー・ケイツと座っていて、その斜め後ろにジョンがいるんですが
(このころは2番目の奥さんとの離婚でごたごたしていて、だからジョンは上のお嬢さんと一緒に来ている)、
助演男優賞でケビンの名前が呼ばれた瞬間、ジョンが本っ当に嬉しそうな顔で大喜びしているのが見えるのです。「イエーイ」と叫ばんばかりの表情で、いや、あれは本当に叫んでいるに違いない。わたしは一応ヲタクなのでいろいろあさっていますが、あれほど感情を表に出しているジョンはほかに見たことがありません。ケビンが授賞したこととともにかなり感動的な一瞬であり、ジョン専ならその一瞬だけでドンブリメシ3杯はいけると思われます。

ちなみに助演男優賞のプレゼンターはマイケル・ケインとロジャー・ムーアでした。ケイン先生、あーた、自分がノミネートされててもなかなかオスカーに来ないことで有名なのに何をやってるんですか一体。しかし要するに、「この助演男優賞は英国勢が勝つよ」ということがふたりが現れた瞬間にわかってしまう仕掛けになっていて、ケビンもオスカー像をにぎりしめて、「なんでこの会場に今晩は妙にイギリス人がいっぱいいるんだ。怖いなあ」とスピーチの冒頭にまず言っています。


さてロンドンスパマロットのチケット発売日2月21日について。
事前に数本の電話をかけた結果、どうやら当日は発売現場でそういうことがあるらしいということを感知していたわたくしは、キリギリス現場主義にのっとり、会社を半休することにしていました。当ブログ初期のキリギリス三原則「キリギリスはそこに行かねばならない」は、いまだにきびしくジョン専の行動を縛っているのです。

ところが、
その前日の夜にアクマ、もとい上司から電話が。
「あのさー、ちょっと急ぎの確認事項があるんだけどさー、日本人ほかにいないんだよね、あんた明日の朝ちょっと来てくんない?きゃきゃきゃ」
わたしは受話器を握りしめ、会社に忠誠を誓ってしまう古いサムライ日本人体質を呪いつつ、「ひゃい、まいりましゅ」と泣きながら答えました。

その次の朝光の速さで仕事を終えて、終わると同時に後も見ずに駅に走り、電車に飛び乗り「ちくそう早く走りやがれこのイギリスの芋電車あ」と叫びながら座席で足踏みしつつ、キングスクロス駅では三歩で地下鉄に乗り換え、レスター・スクエア駅では見上げるように長いエスカレーターを五秒で駆けあがり、氷雨の地上を疾風のように駆け抜けてパレスシアター前にたどり着いたら、





すべてが終わってました(泣)。時刻は午後1時半。





装飾会社のおじさんたちが、「やれやれ終わったよこのクソ寒いのによう」という表情で、まるで個人的恨みをはらしているかのように、スパマロット関係のタテカンやプラカードなどの販促用品を、横付けにしたトラックに「どりゃーうおりゃー」とばさばさ投げこんでいました。

そのわきで灰色のロンドンの空に響き渡る日本語慟哭、





エリックうううぐうああああ

(泣)(泣)(泣)(泣)

(泣)(泣)(号泣)






エリックというつかまえにくい人をつかまえそこなったこれでいまだに夢に見てうなされるコンサート・フォー・ジョージのパイソンズ@尻見逃し事件についで悪夢が更新されてしまったもうだめだわたしの人生はお先真っ暗だ絶望だ夢も希望も消えた今ここで首吊って死のう。と思いましたが、とりあえず生きることにしました、チケット買ったから。いいんですそれだけで。それに、2月26日にリンクを張ったBBC記事でのエリックの言によると、スパマロットの収益はどうやらパイソンズのみなさんに還元されているらしいではないですか(もちろん一番儲けているのはエリックなんでしょうが)。ということはつまり、チケットを買う→収益はパイソンズのみなさんに分配される→そして彼らの生活費の足しになる→てことはチケットを買うことによりわたしが彼らを養っていると言っていい→つまりわたしはパイソンズを囲っているようなもんだ。いやあ、パイソンズのみなさんを囲うとはなんて局地的にゴージャスなんだ。まるで電波なお花畑に遊んでいるかのようにうれしい。だから見逃したって口惜しくなんかないのです。そのような事実はありません。存在しないのです。ないったらない!(泣)(泣)(泣)

しかしまじめな話。
実は、
もし一回だけスパマロットを見に行くとしたら、
わたしはロンドンではなくニューヨークかラスベガスを選ぶでしょう。
その理由はまた次回に。
ともっと無駄に引っぱってみる。

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03 February 2006

03FEB : When Terry’s 64; グリムとヒース・レジャー; そして21世紀のパイソン裁判

★おととい2月1日はテリJさんの64回目のお誕生日でした。おめでとうおじいちゃん。ぜひ達者で頑固なウェールズ人のじじいでいてください。

●ブラザーズ・グリム以来かなーり気になっていた女子も多いと思われる、ヒース・レジャー主演の「ブロークバック・マウンテン」をひとあしお先に見ました。わかりやすく盛り上げておいてどうだ禁断の悲恋だ素晴らしいだろうさあ泣け感動しろ!な展開ではぜんぜんない、アン・リー監督調に淡々と静かな話はこびのこういう映画が、アメリカでヒットしたということにまず驚きました。テーマが社会的にも論議を呼んでいますが、とりあえずこれは、ホモセクシュアリティがどうこうというより、苦悩するアメリカの家族の姿の映画ではないかと。そして、ヒース・レジャーが、良い。良いったらよい。その朴訥な大人のカウボーイ態度と口調、その葛藤と苦悩の感情、グリム弟と同一人物だとはとても思えません。(なんでも『グリム』撮影中は、あえてハイパーアクティヴになるためにチョコレートばかり食べていたんだそうです。)わたしは、ふたりが4年ぶりに再会するところがとても好きです。うーんそうか思わず物影にひっぱりこんじゃうのか、でももうちょっと注意深く行動しろよ、というツッコミも若干しつつ。やっぱりアン・リーはこうでなくては、と思ったものの、確かこの人は「ハルク2」の契約書にうっかりサインをしてしまっていたのではなかっただろうか。(ちなみにエリック・バナもしているはずでして。どうなるのだろう緑色の人)

●BBCで見かけたスパマロット関連のニュース。→★★

あるモデルさんが、スパマロットの宣伝材料に自分の写真を許可なしかつ望まない方向で使われたという理由で、プロデューサーを相手どり裁判を起こしているのだそうです。

問題の写真は、スパマロットの劇場であるシューバート・シアターの外壁に掲示されているもので、上記サイトにその画像があります。なんでも、モデルさんの2年前のケープ・タウンでの仕事のときに撮影された、私的なものであるよし。カメラマン相手にジョークで投げキスをしている姿ですが、原告側いわく「身体的にある種の虚偽の強調がほどこされている」。(つまり「おっぱいがでかく加工されている」ですな。)モデルさんにとりこれは「公衆の面前での侮辱と恥辱」であり、その結果「非常な不安、屈辱、苦痛を感じている」のだそうです。

1月25日の記事ですが、以来続報はなく、ちょっと行方が気になるニュースです。もし訴えどおり、出演者でもないプロのモデルさんの写真を無断で加工して使っていたのなら、それは弁解の余地なしにかなりまずい話なんじゃないか。と思います。

しかし個人的な話で恐縮ですが。
わたくしは一応現場のシューバート・シアター近辺を非常な熱意を持ってじろじろ眺めてきた者ですが、去年も今年もこの写真にはまったく気がつきませんでした。記事を見て「こんな写真あったっけ」としばし考え、結局思い出せませんでした。記事の写真がやや仰角で撮影されているところをみると、おそらく建物の2階以上の部分なのだと思われますが、どうも目に入りにくい部分であるようです。

なので、この記事を読んだとき、それは軽率だ、だめじゃんプロデューサーの中の人たち、と思うと同時に、

(1) 言わなきゃ意外と気づかれないのに、訴え出ることによりかえって人目を集めて、モデルさんは侮辱と屈辱と苦痛とを増幅させているのではないか。

および

(2) なぜ、開演後1年経った今になって訴えていらっしゃるのか。

というそこはかとない疑問が。
もちろん個人の権利は正義によって公正に裁かれるべきですが、それにしてもやはり若干の疑問。
乞う続報。
それにしてもパイソンとは、いつでも今でもどうしても裁判にまきこまれる運命の人たちのようです。

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24 January 2006

24JAN : アーサー王の帰還

スパマロットの今年秋からのロンドンウェストエンド上演が正式決定したそうです。→★★★

10月2日からパレスシアターにて、そしてチケット発売は2月21日。
キャストは不明だけれどもこれはもう、
死んでも行く。
いや死んだら行けないから死なない。
なのでせいぜいそれまでなるべく
死なないように、殺されないように、殺さないように
気をつけていようと思います。

いや、死んだり殺されたりしたら行けないのはもちろん、
人を殺しておいて牢屋のなかから
「すみませんチケット持ってるんでパイソン行かせて下さい」
と頼んでみてもあまり行かせてはもらえないだろうなあという
気がするわけで。

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20 January 2006

20JAN : ニューヨークとスパマロットな夜

昨夜シューバート・シアターでスパマロットを観ました。これで3回目です。
(終了後出待ちで出会ったサー・ロビンのデイヴィッド・ハイド・ピアースさんにそう言ったら、『なに?きみ、それは少し多すぎるんじゃないのか』とツッコまれました。)

タイムズスクウェアの真ん中(と、あとダウンタウンにもひとつ)に『TKTS』というブロードウェイ当日残席券半額さばき所がありまして、今はオフシーズンであるせいか、現在かかっている芝居はどれでも選び放題状態になっています。もちろんよりごのみのできない半額券なので、与えられるのはしょーもない席である可能性もありますが、ときに大当たりが出ることもあるわけで、おかげでわたくしは、こないだスパマロットを蹴落として主要トニー賞をごっそり取っていった『ザ・ライト・イン・ザ・ピアッツァ』を、半額しかしリンカーン・センターのたいへんよい席で見てしまいました。いや『素晴らしい』という言葉が陳腐に聞こえるほど素晴らしい芝居でした。場内に足を踏み入れた瞬間から、そこに据えられているフィレンツェの街を模した美術があまりに美しいのでヤラレました。役者さんも美男美女で鍛えられてるのなんの、音楽一流のなんの、また音響が良いのなんのリンカーンセンター。こういう人材や設備の厚みではロンドンはかなわん。ココロに染み入るような数時間でした。

で、
この『ピアッツァ』の優雅に完成している高みに比べると、スパマロット(というか、他の芝居もほぼすべて)は『若い』という感じがするのは否めないのであって、ピアッツァが審査員の票を集めてトニーを取ったのがよーくわかる。凄くよくわかるんだが、しかし、スパマロットは楽しいのです。ベストミュージカル賞がスパマロットに行った理由は、見ればわかる。ピアッツアに来ていたのはほぼ全員身なりのよいおじ(い)さまおば(あ)さまでしたが、スパマロットはそういう層のほかにもジーンズはいたワコウド、昔はロックンロールだったんだけど今は家族と家のローンが、というような大人たち、今でもばりばりロックンロールだぜイエイ、な大人たち、そういう両親に連れられてきたコドモたち、それから分別不可能な老若男女、とにかくそういう人間たちがひとかたまりになってパイソンの芝居を見にきている。そして空飛ぶウシに笑いころげている。合唱が起こったりもする(♪オールウェイズ)。気分はほとんどロッキー・ホラー・ショウ。そうか、だからティム・カリーだったのか。もう楽しいのなんの、これだけで冬の北大西洋を抜き手で泳いで来た甲斐があるというものです。

改めて見るとハンク・アザリアがすごくうまい。あとやっぱり、『先生!アイドル君がサー・ロビン君をヒイキしてまーす!』と思わずちくりたくなるロビン寄りの展開。アーサー王はティム・カリーのほうが良かったし湖の淑女はサラ・ラミレズでいてほしかった。でも、クリスチャン・『無駄美』・ボールのハーバート王子がオリジナルを越えて爆発していて最高で、この方を見逃したトニー賞の中の人たちの目はフシアナに違いないと思いました。

それから他にも『ペテン師とサギ師』舞台のジョナサン・プライスのはじけぶりがすごかったとか(こないだまではジョン・リスゴーが演っていたはず)、テレビ・ラジオ博物館でまた発見物件があったとか色々あるのですが、それはまた後日改めます。

なお、スパマロットはブロードウェイのウルトラプラチナチケットと化しているせいか、券がTKTSにまったくまわってきていません。お出かけの際は必ず前売りを、しかも数か月前のご購入をお勧めもうしあげます。時間がないときには信用できるブローカー(というか、洗練されたダフ屋)を使うのも手ですが、券面額の3倍は覚悟したほうがよいようです。

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17 November 2005

17NOV : スパマロットの行く人来る人

なんでもスパマロット看板俳優のティム・カリー(アーサー王)と、トニー賞授賞の看板女優サラ・ラミレズ(というか女優さんはひとりしかいない。役は新キャラクター湖の淑女)が、ともに12月18日を最後にブロードウェイの舞台を去るそうで、わたしは「ええええええええ」とさけびました。
ティム・カリーについて → 
サラ・ラミレズについて → 

交代する俳優さんがそれぞれの頁に載っておりますが、どうでしょう。特に、湖の淑女はとてもひっかかってくる、上品と下品の振れ幅が大きい役まわりなので、いわゆる普通にブロンド美女の女優さん(ローレン・ケネディさんというらしい)が演るのはどうでしょうか。

わたしはブロードウェイ事情にはあまり詳しくはなく、何故主役級の俳優さんたちが交代せねばならないのかその理由がよくわかりません。ティム・カリーはひそかに「ビール腹」とか言われつつ、実は声が物凄くよくて、グレアムが順調に年を取って歌を歌ったらきっとこんなんだったんだろうなあ、と思わせてくれて大好きだったのに。来年及びさ来年の英・米での拡大公演で復帰してくれることを希望します。

よいニュースは、映画の撮影でしばらく舞台を留守にしていたハンク・アザリア氏が、12月からふたたびランスロットに戻ってきてくれることです。→ 
この人ががんばってイギリス発音でしゃべるランスロットのセリフはすてきです。ことに、アメリカ人でありながら、「イギリス人がフランス人のフリをしてフランス語ナマリのイギリス英語でわけのわからない罵倒をしている」というすてきな演技、わたしは思い出すにつけ軽く気絶しそうになります。すばらしい。

なぜこのようにスパマロットの動向を気にしているかというと、実はわたくし、来年頭にまた見に行っちゃうからでありまして。今度はしかも3回も。チケットもすでに買いました。
いいのかこれで、とも思いますが、筒井康隆先生も「あることを徹底的にやればそれは正しいのだ」と言っているし、あるいは「石の上にも三年」というか、「三つ子の魂百まで」というか、というより「毒を食らわば皿まで」というか、率直に「バカは死ななきゃ治らない」というか。バカにつける薬はまだないようですし、だからわたしは当分バカにとどまることになりそうです。

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02 October 2005

02OCT : 社会階級と米国政治と人生の苦悩について

ポール・マートンというコメディアンがおります。この人はルックスもけっこういけている上、すごく頭の回転が速く、ピーター・クックやジョンあたりからの伝統の「にこりともせず辛辣なことをぴしぴし言う」というスタイルを継承しているのでわたくしはひそかにひいきにしているのですが、
(その他にこのスタイルでやっているのは、おそらくジャック・ディーとアンガス・ディートンです。カッコイイ。)
こないだBBC2がポール祭りをやっていました。BBCさんが、ソロ番組に加え、「ポール君、ついでに自分のお気に入りコメディ番組および映画を選んで放映していいよ」と気前よく3時間ぽんとあげた大盤振舞。

で、お気に入りで選ばれたのは、テレビの方が超古典の「ステップトー・アンド・サン」(大変面白い)、そして映画が「ザ・マジック・クリスチャン」でした。すてきだ。ポール偉い。ますます好きだ。
もっともこれが選ばれた理由はポールがピーセラさん好きだったからのようです。しかしそれはそれ、便乗してわたしは久しぶりにこの映画を見ました。オックスフォードボート部員が最初は正義を気取っておきながらあっさり買収されてしまうあたり、グレアムに率いられるチームらしくてよいと思いました。サザビーズ社員のジョンに関しては、神様ピーター・セラーズ氏を前にしたジョンががちがちにあがってしまってNGを連発し、しまいに神様が「あの使えないバカをなんとかしろ」とイカっていた、と生前のグレアムが言っていたのをどっかで聞いたことがあります。神様の怒りはともかくジョンがあがっているのは本当のようで、ぎくしゃく来てる感じが見ていてなかなかよいものです。

それにしても最初にポール・マートンも言ってましたが、これはナンセンスを装いながらずいぶん当時の社会にとっては過激な内容です。要するに社会階級の抑圧の問題です。なんだか英人の文化を見渡すと、この国の文化の進化てのはつまりなんでもかんでも「社会階級の抑圧」をエナジーとして動いているような印象を受けます。とはいえそれは、社会に難癖つけてフリーメイソンやゴルゴムの仕業にしてしまうよりはまだまともで健全ではあります。

さて最近一番笑った話。
コンドリーザ・ライス博士が「スパマロット」を見に来たんだそうです。→ ★★★

ポピュラー文化面にはとても疎そうな藪大統領とその一派ですが、コメディ観劇ときましたかライス博士。博士の立場上、同じ路線の大ヒットミュージカルでもザ・プロデューサーズを見に行くわけにはたぶんいかないと思うのでこっちにしたのかもしれませんが、こっちだって「ブロードウェイで成功したけりゃユダヤ人を味方につけろ」とかヒドイこと言ってます。(←相変わらずエリックがこういう歌を書いている。)どうでしょう博士。それにしても、藪パパは湾岸戦争をやってるかたわら、寝る前にホワイトハウスでフォルティ・タワーズを見ていたという伝説の持ち主ですし、なんだかこのへんの人々の行動はバランスが悪い。

フォルティさんといえば、
また旧聞ですが、9月19日はかのフォルティ・タワーズの30周年記念日だったそうで、BBCがフォルティさん祭りをやってました。BBCサイトトップに小さなフォルティさんアイコンがついていたりして大変愉快でした。とりあえずアイコンはなくなってしまいましたが、そのときに並んでいた記事を。

◎フォルティ30周年についての記事→  ★★★ 

◎フォルティ・タワーズとは何かという記事→ ★BBCコメディガイド版  ★銀河ヒッチハイクガイドエントリー (BBCサイト上に構築されているオンラインh2g2。こっちの方が面白い)

◎結婚生活に危機を感じる人たちのための記事(フォルティまつりの一環として、番組とはまったく関係ないまじめな社会派の頁にリンクがついていた。)→  ★★★


ときどき現れる「朝鮮戦争に行っていた」という台詞から判断するに、1975年に40代前半であったのであろうフォルティさんは、生きてたら70すぎです。いや生きてるんだかなんだかよくわかりませんが。
しかし、てことは、最初のフォルティ第1シリーズのときに約35歳だったジョンは、フォルティ氏の設定の年齢よりかなり若かったわけです。なのに、なんでしょうあの堂々と40越えててしかもまだ惑っているみたいな立派な悩める中年ぶりは。実生活の苦労が背中ににじみ出ているような。第2シリーズでは実年齢がフォルティ氏に追いついているせいか、そういう苦悩ぶりが少し和らいでいるように見えます。もっともジョン専とは、苦悩するジョンにも渋い味わいを見出して愛でることをよしとするものであり、だからわたしは第1シリーズの方が好きなのですが、そんな風流などジョンにとってはただの迷惑に違いありません。でも好き。

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26 June 2005

26JUN : トニー賞国際実況の夜

以前確か某ライオンズマンションさんが、自社高級マンションは「電話でおフロがわかせる」ということを売りにしていたと記憶しています。すなわち、家に帰る前に自宅に電話をかけて、あるパスワードを入力すると、なんかうまいこと工夫された仕掛けが「ぴ」とか入って自動的に浴槽にお湯が張られて、帰宅と同時に温かいフロにありつけるよ、というものだったはずです。

わたしの市川の実家はもっとすごい。
なにしろ電話でビデオ録画ができるのだ。
いや、電話をかけて出た老母に「あと2時間後にNHKBSで始まるトニー賞録画しといて。じゃね」と頼むだけなんですが。
老母は「ボタンを押し間違えたらテレビが爆発するんじゃなかろうか」とテクノロジーを極度におそれる世代の人間ゆえ、ムスメに頼まれた後かなりのパニックに陥り、ニトロを輸送するイブ・モンタンよりも緊張を強いられつつ大汗をかいて走り回ったようです。

そんなことともつゆ知らず、先の6月18日日本時間の夜7時半すぎ、確認がてら「やほー老母よ、うまくやってるかーい」と気楽にふたたび国際電話を入れたムスメに対し、ハハは「あに言ってんのよいーかげんにしなさいよあんたってばまったくヒトの都合もなんにも考えずにわけのわかんないことを突然、でもねへへんよくお聞き、ちゃんとできてるもんね録画、最初はわけわかんなかったけどいろいろいじってたらできるようになったんだもんね、すごいでしょうアタシふふんふふん」とおっしゃる。「それは素晴らしい、なんたる孤軍奮闘のたまもの、だてに未亡人やってはいらっしゃらないですね」「お父さんもきっと喜んでくれるわねえ」「いや、父が生きてたらビデオ録画ひとつできんのかウリャー!とかさぞかし大暴れされていたと思いますが、それはともかくでは最後までよろしく」「ああ待ちなさいあんた、出たわよあれが」「あれって何が」「最初にいきなりぱいそんが出てきたわよぱいそん」「えっ」「まいけるとかじょんとかもいたわよ」「おおおお、ついに覚えたのですね母。なんたる感動だ。素晴らしい。ああ苦労が報われた、まったく腹を痛めた甲斐があったというものだ」「痛んだのはあんたのじゃなくてわたしの腹です」「初期には『あんたが最近好きなジョン・グリースさんって何よ、歌手?』とか言ってたのに。しかもマイケルまで識別できるとは。ああ感無量、まるで我が子の成長を見守っているかのようだ」「我が子はあたしじゃなくてあんたです」「ジョンとマイケルの他には?」「うーん、他にもなんかいたみたいだけど」「あ、その他は『なんか』扱いされてしまうのか。でも少なくともジョンとマイケルが出たってえことは、きっとスパマロットの初日の全員集合んとこの映像ですね」「すぱま?」「いや、じつはかくかくしかじかでパイソンのミュージカルがそのトニー賞にノミネートされているという…」「あっ。すぱまって言ってるよっ。すぱまろっとがえーと、衣装がどうのこうのって賞に入ってるよっ」「あ、それ、ノミネートされたけど落ちたんです」「あ、ほんとだ、落ちた」「いや、ノミネートは景気よく14部門にわたったんですがなかなか賞まではたどり着けなかったようで、男優さんもひとりくらいは取ってもよかったんじゃないかと思うんですが、まあ主演と助演とに2人ずつノミネートされたってのがかえって票割れを招いてしまったのかもしれないし、それにもともとホリグレという映画には『この人が主人公でこれが準主役だ』とすっきりと傍目にもわかりやすい区別がないんですよね、パイソンのみなさんはひとかたまりだから、アーサー王が主役と言えばそうなんでしょうがやはり今回もアーサー王とランスロットが同時に主演でノミネートされてるってことがやはりその区別のしにくさを示唆しているのでしょうし、でもまあ、そもそも21世紀のアメリカのショウビズ最前線でこんだけパイソンが売れるってえことがまず驚愕に値するのであって、しかし英国のサブカルチャーがアメリカのマーケットに受け入れられる際にはある種のフィルターがかかり本来の下から上のオーソリティブな権力に対するサブバーシブな表現という意図で作られたセンス・オブ・ヒューマーがただ単に英というクラス的に一段上の国の方から米の方へ下りてきたコメディということになりそのパンクな真意のほどがどこまで伝わるかは議論の余地があるものの米から英への伝達の際にも似たような現象が…」「ちょっとうるさいよあんた、聞こえないよ。あっ。今、またすぱまろっとが。すぱまろっとが女優さんの賞で」「女優さんなら、あ、それ、取ったやつです。サラ・ラミレズさんという面白い姐御です」「ほんとだサラさんだ。面白いってどう面白いの?」「いや実はそれはですね、」

と言いかけて気がついた。ハハには、こないだのニューヨーク旅行の目的は「休暇と観光とショッピングだよ」としか告げていないことに。いや、ある旅行の目的が「観光とショッピング」と言って世間様に通用するのならば、「わたくしはパイソンミュージカルを見にニューヨークに行くのです。そこんとこよろしく」と堂々と宣言しても何ら支障はないはずなのですが、そこはそれ、最後の一線というか、えーとほらそういうもんがあって、なんか理由は伏せておいた方がいいんじゃないかという気が非常にしたわけです。
だからわたしは、

「いや、面白いっていう噂を聞いたんだよあはははははは」

と古典的に笑ってごまかしました。ハハは「ふうん」と申しておりました。

すまぬハハ。このつぐないは必ず致します、肩叩き券とかで。って小学生かこのムスメは。ちなみにそのビデオは今ごろどこかの空の上をわがラットランドのアバラ家めざして飛んできているはずです。まだかなまだかなと、1日に5回ポストを除いて待ちかまえています。

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06 June 2005

06JUN : トニー賞!

今はグリニッジ時で真夜中、というか明け方に近いのですが、わたくしは夜どおし黙々とぱそに向かい、海の向こうで行なわれているトニー賞のゆくえをひたすら見守っておりました。

スパマロット軍団の結果は。

祝!!
最優秀助演女優賞(湖の姫兼グウィネヴィア役、とても歌のうまい豪快なおねえさん)のサラ・ラミレズ!!!

祝!!
最優秀舞台監督賞のマイク・ニコルズ!!

しかし残念!各男優賞にノミネートされていた男優群!!いちカテゴリに2名ずついたにもかかわらず、結局ひとりも取れなかったぞ!まったくなんてこった!パイソン的で面白いと言えば面白いが!!

しかししかし!!
祝!!
スパマロットベストミュージカル授賞!!

すんげー!!
まさかと思ったがベストを授賞しちまうとは!!!
わたくしは今ある種のバカのように喜び浮かれています。
よい現象だなあ。
エリックはさぞかし誇らしいことでしょう。


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上記から数時間後の追記
+++++++++++++++++++++
今朝のBBCニュースでとりあげられていたのでちょいとその報告を。
マイク・ニコルズが壇上で授賞時のスピーチをしているとき、それを席で聞いているエリックが、もう大得意なんだけどそれを一生懸命かみ殺し「いやどうってことないんだよこんなこと」と装おうとしているということがありありとわかる顔をしていました。エリックらしくてよいと思いました。

もっともBBCの中の人は、「ノミネート部門数(14部門)のわりに授賞数が少ない」ということをきっちり指摘していました。「ミュージカルとしての完成度は6部門取った The Light in the Piazza の方が上であろう」ということも。そのとき流れた Piazza の抜粋を見ると、確かにむこうは古典にのっとったとてもミュージカルらしいミュージカルであるようで、おそらくBBCの人が言うことは正しいのだろうと感じます。

しかし同時に、このニュースを報じたときのBBCの人の第一声は「BBCから生まれたTVシリーズが、昨晩ブロードウェイを制しました!」であり、Piazzaの方が上かもしれないけど「やはり知名度と話題性と観客動員数に関してはモンティ・パイソンの方が上なのです」というコメントもあったような。この露骨なまでの得意感はなかなかよいです。いいぞいいぞ得意がれBBC。

それから式が始まる前、会場のラジオシティミュージックホールの外のギャラリーに、「スパマロットにトニー賞を!」みたいな手書きのプラカードをかかげて「スパマロット!スーパーマロットー!パイソンパイソンイエイイエイイエイ」と大騒ぎしている一団がいました。まったくいずこもパイソノタは。その大人気ないふるまいを目にしてわたしは、その場にいたらなんのためらいもなく一団に加わり一番騒いでいたに違いないと思いました。

で、ふと思ったのですが、湖の姫兼グウィネヴィア(映画には出てこない新しいキャラクター)役であるサラ・ラミレズ姐。見せ場の中に「♪わたしにはトニー賞もなんにもないのにこんな役はもういやよー!」みたいなたいへんエリックらしい歌詞の持ち歌があるのですが。今回トニー賞をうっかり授賞してしまいましたが、では今後どんな顔でその歌を歌うのでありましょうか。興味があります。

それにしても、BBCの人もちらりと言っていましたが、どうやらこの芝居は来年あたりロンドンに来るようです。それに関してはいろいろ思うことがあるのでまた改めて。それから肝心のニューヨークレポートも近いうちに必ず必ず。そういえば前回のNYコーネル大学レポは、あげるまでにほぼ1年かかりましたが。えーと必ず。

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25 May 2005

25MAY : ランスロット交替と会社日常日記

ランスロット@スパマロットのハンク・アザリア氏が、映画を撮影するってんで6月から半年ほど舞台を去るそうです。11月に帰ってくるまでの代わりのランス役は Alan Tudyk 氏(読めん)という、こんな人です。 →★★

最近個人的にアザリア氏ビイキなので、ちょっと「えー」なニュースでした。でもTudyk氏(読めん)に期待。上記リンクの下の方に芝居のキャリアが見えますが、それはそれとして、はたしてこの人はフランス語はうまいのだろうか。

ところで話は変わりまして。
先日仕事場の隣の部に、ヒナにはまれなる美青年が入社してきました。かれがラクダのようなマツゲ目で物憂げなまなざしを送りつつ髪をはらりとかきあげたりしたらもう、まわりの女(と何人かのそっちの方の男)たちは目をガビーン!と古典的な表現で飛び出させ、ハアハア言ってアタシがアタシがいやボクがとつかみあいをしている有様です。わたしもやはり女の一環として気にはなっていたのですが、話すきっかけが特にあるわけでもなく、ひそかに「ヴィスコンティ君」と命名して遠くから眺めているだけでした。

そしたらある日。
ヴィスコンティ君が人探し顔でこちらの部に入ってきた、と思ったらわたしの方に目をとめて、そしてとことこと歩いてきました。
わたしは美しいものがいきなり近づいてきたのでどきどきしました。
そしてかれいわく。

「あの実は、ぼくは隣の部の者なんですが、突然すみませんでも、同僚が君ならできるっていうから来たんです。本当かどうか。いや申し訳ないですが」

なんだかしきりに美しい顔で恐縮している。

「えー?あらいやーん何かしらー、あたしに何がお手伝いできるのかしらー?なんでも言ってみて。うふうふ」

わたしが必要以上にくにゃくにゃしていると、

「えーと。あの実は質問があるんです。あー。いいのかな言って。えー、そのー、あのー、あー、も、モンティ・パイソンの、ハンカチかぶって長靴をはいてる人って、なんて名前なんですか?

わたくしは切り倒される木のように椅子ごと真横にゆっくりとたおれました。

倒れたまま床から、

「ガンビーだよ」

と返事をすると、

「えっ、知ってるんだやっぱり。スペリングは?」

「G-U-M-B-Y」

「うわあありがとう。助かった。やっぱりみんなの言ってたことは正しかったんだなあー。(去りながら)おーい、わかったようー!」

後に残される倒れたままのわたくし。頬に感じる絨毯にゆっくりと涙の粒がしみこんでいく。
パイソンヲタと女の人生とを両立させるのにはなかなかむずかしいものがあります。こう感じるのはこれが始めてではありませんがとにかく。

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17 May 2005

17MAY : 歌とランスロット (と、元気のいい死体)

スパマロットに関し、前言をちょびっと訂正申し上げます。
確かにアーサー王と主役陣はもちろん、台車の死体山および担がれてきた「まだ死んでない」の老人にまで景と持ち歌があるのですが、実はランスロット役のハンク・アザリアには、見せ場はあるのですが「歌」がほとんどありません。セリフは大いにあります。がしかし、ガラハッドやロビンのソロっぷりにひきかえ、ランスロットはひとりでは歌を歌わないのです。というか実は、この方の歌を聞いていると、ちょっとだけ「音痴?」の3文字が脳裏によぎったりなんかもします。(ランスロットの景で歌を歌うのは、無駄に美形なハーバート王子です。)

何故だろうと思いました。ミュージカルの主役なのに。いや主役です、トニー賞の中の人たちのお墨付きです。

そうしたら、ある日TVの方からアザリア氏が
「ぼくがあの芝居に抜擢されたのは、歌が歌えるからでは決してなくて、いろんな声のしゃべりを使い分ける能力を買われたからだ」
と言っているのが聞こえてきました。

あ、
と思った瞬間、
それを聞いていた人いわく。

「そいえばあんた、Along Came Polly って見た?」

あいにく「ポリーという名の女の子」とか「フェレット」とかいうキーワードでその映画がかなり気になっていたにもかかわらず、見逃していたわたしが「うんにゃ」と首を振ると、

「あそー、あれにさ、この人出てるんだよハンク・アザリア。変なフランス語の入った英語をしゃべるんだけどさ。面白いよー。もうげらげら笑ったさ」

ソレダ変なフランス語能力だ!
とわたしはとびあがりました。
アザリア氏は城壁の上のあのフランス人をやります。そのひいでた能力により細部まで再現された生罵倒ゼリフを耳にしたとき、わたくしはかなり幸せでした。あれは七色ボイスのアザリア氏にしかできないワザだと思われます。「お前の父ちゃんニワトコ臭い!」のくだりのとき、観客席の暗闇で、笑うより泣けている客というのは他にはあまり多くはいなかったことでしょう。

かれがランスロットに抜擢されたのは本当にフランス語ができるから、もとい、音楽にはよわいが変なフランス語をしゃべる能力があるからなのだろうか。もしそうだとしたら、なんだか非常に好感が持てる特徴を備えた人であるという気がします。即ファンとなって悔いはないですアザリア氏。

追記1
肝心のスパマロット詳細レポートに関して、ちくちくと優しい催促を下さった皆様、ありがとうございます&申し訳ございません。現在鋭意作成中につき、いましばらくお待ち下さい。

追記2
なんだか本末がちと転倒しておりますが明るいニュースをここで。ウォレス&グルーミットやチキン・ランで一斉を風靡したアードマン・アニメーション組の次の次の作品の脚本をジョンが書くということが、先日始まったカンヌ映画祭で正式に発表されました。もう作られる前からブロックバスター確約の映画の話だってんで、結構ニュースになってたりしました。と書こうと思ったら、ABC振興会御大様にこのような素敵な記事が。リンゼイとかパリスとかブリトニーとか、若鮎のようにぴちぴちな若い娘たちいっぱいのかのサイトにうちまじり、この記事はあたかも一服の抹茶のようにシブく薫っております。すてきだ。

でも、
どうか思い出す方は思い出して下さい、拙サイトがかかげているスローガンを。

「あれはクリーズと読むのだ!」

なかなか理想の追求はむずかしいのであります。


追記3
ところで「まだ死んでない!気分がよくて仕方がない!ああああなんてハッピーなんだあああ!」とかさけんで変な裏声で歌って踊りだす愉快な死にかけの老人(どうやらフレッドという名前がついているらしい)も、先日触れた、クリスチャン・"無駄美"・ボールさんでした。まじめに歌っているときの声の感じからしてクラシックの正式なトレーニングを受けていると思われるのですが、なんでしょう、美しい人のこの炸裂ぶり。どこでどうかれはこういう道に来たのでしょう。写真は今年のドラマデスク賞ノミネート時のものです。何故何度も美しい写真を入れるかというと、ただ単に入れたいからでございます。よいしょよいしょ。

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12 May 2005

12MAY : 裏声で歌へスパマロット

米アマゾンさんから、「あんた前にうちでパイソンもん買ったでしょちゃんとわかってんだからえへへへへへ、んでもって今回はこんなブツがあんだけどどうよ」と、スパマロットサントラCDの案内メールが送られてきました。いやもうちょっとましな文章でですが。現地ですでに入手してきているので、「もうあたしひとつ持ってるもーん」とフランス人ジョンの口調でつぶやきつつ、発売を祝してリンクをひとつ。→★★★

しかし。
顰蹙とゴムチキン殴打を覚悟しつつ申し上げると。
もしスパマロットを実際にご覧になるのならば、このCDはその前には聞かない方がいいと思います。

理由その1。ねたばれになるから。スパマロットは途中から、アーサー王伝説でもホリグレでもなんでもなくなり話がどんどんそれていき、最後は「うひゃー」なことになります。あれは知らない方が面白いんじゃないかと単純に思うわけです。特にランスロットファンの皆様には是非とも、あのひどいオチを純粋に味わって頂きたいのです、わたくしが完璧にヤラレたように。

理由その2。これはちと個人的な感情になりますが。わたくしは当初、Always Look On The Bright Side Of Life がスパマロット劇中で歌われるということを知ったとき、非常ーーに抵抗を感じました。わたしは映画ホリグレのあの金のあまりかかっていなさそうな、シンプルなありようが好きなんです。それをアメリカブロードウェイ式に、オーケストラとか歌とかをつけてヒット曲をひっぱってきても、それは全然ホリグレではないのではないか。ココナツとは金がないからこそやむにやまれず生まれてきたギャグなのであって、ブロードウェイのミュージカルでココナツをやってそれは成立するのか。それに何よりAlways、あれはただの明るい歌ってわけじゃなくって、あのブライアンのあの場面で、あのエリックが、あのグレアムに語る言葉だってことに意味があるんじゃないのか、それにエリックはこの歌をグレアムの葬式で歌って泣いたんじゃないのか、そういう大切なもんをパイソンミュージカルだからといって、本来の意味と文脈とを簡単に放り出したりしてほしくないんだよなあ、それもエリック本人の手で。いや本人だからこそそうしていいんだという理屈もあるのかもしれないし、それにスパマロットを見に来るであろう一般客の皆さんはこんなややこしいこと考えないだろうし、知ってる曲を生で聴かせればそれは大いに受けるだろうし、エリック・クラプトンだっていまだに「レイラ」をやらないと金返せとか言われるらしいから仕方がないのか。関係ないか。とかいろいろ考えていたのです。

もっとも、実際に見たら全部一発で解決しました。もうあそこまで素晴らしく派手かつ徹底的に違うならば、もう全然オッケーです。そのくらいすごいのだあれは。

しかし、今CDを聞いていると、Always のブロードウェイ版を含むその映画との違いに「これを見る前に聞いていたら、相当混乱しただろうなあ、自分」と思うのも事実です。だからわたしの場合は、偶然とはいえ、音楽を知ることなく舞台を見ることになってよかった。パイソンの神様のお導きです。ありがたや。

それからスパマロット音楽のジョン・デュ・プレさんは、人生狂騒曲とかワンダの音楽の人ですね。オーケストラ楽曲の技術的な詳しいことはよくわからんのですが、土台はかっちりきっちりツボをおさえてまとまりつつ、その上にかろやかにはねまわる音が乗っていて、胸のすくような気持ちよい音楽がぎっちしです。特に「キャメロット」の後半がゴージャスで良くて良くて、あれがこんなふうになるなんてすごい。って、聞くなとか偉そうに言いつつやや矛盾した言動をとっておりますが、なにしろスパマ帰りです。なにとぞご勘弁ください。

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10 May 2005

10MAY : 騎士たちはトニーの杯をめざす

トニー賞のノミニーが発表されました。スパマロットが14部門で挙がったってんで、ちょっとしたニュース種になっています。もうほとんどタイタニック状態です。たいしたもんです。もっともタイタニックだと、ノミネートされただけで賞は取り逃すのでこのたとえはやめた方がいいと思います。

しかーし。
スパマ俳優群では、ミュージカル主演賞にティム・カリーとハンク・アザリア(おお主演だったのかランスロット)、助演賞にクリストファー・シーバー(デニス、ガラハッド、黒騎士、ハーバート王子の父ちゃん)とマイケル・マグラース(パッツィ、ハーバート王子の部屋の護衛2)の名前があるのに、デイヴィッド・ハイド・ピアースが落ちています。うわあなんてこった。いったいどういうことなんだもう大人なんて信じるもんか、と悲しみました。それからトニー賞の中の人には、ひとつのカテゴリにいち芝居から2人ノミネートするのはやめてもらいたいと思います。スパマ勢にはぜひとも勝ってほしいのですが、もし勝ってどっちかが取ったら、もう片方が落ちる。アメリカまたは英人である俳優さんが坂田明の名言「勝負は勝ち負けではない」を知っている可能性は低いですし、見るものにとってもキャッチ22よりも苦しいです。どうなることやら。発表は6月5日の由。いろいろと考えつつ待つことに致します。

ところで今回は選にもれてしまったけど、俳優群のひとりクリスチャン・ボールさんをここでちょっとよいしょ。左の黒髪の人です。ハーバート王子(と有名な歴史学者)役なのですが、率直に言って、ハーバートをやるには無駄なまでに美形です。こんなに美形なのに、ハーバートの白装束で「ぼくは歌いたいんだ〜♪」とか裏声でやるのを見るにつけ、アメリカも捨てたものではないと思いました。それから右の金髪の人は、ガラハッドおよび黒騎士等のシーバーさんです。これまた妙にカッコいい。大変声の良い人で、俳優群の中で一番歌がうまい。しかしこのカッコよくて歌のうまい人が、オーケストラとともに朗々と歌うガラハッドの持ち歌 The Song That Goes Like This (「こんなふうになりがちな歌」)は、ブロードウェイミュージカル史上で、おそらく一番意味のない歌です。その堂々たる金と手間と時間をかけた無意味ぶり。まったくアメリカもまだまだ捨てたものではないようです。

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07 May 2005

07MAY : テリJ、大いに語る

昨日5月6日付の大衆紙ザ・サンに、「パイソン」とか「スパマロット」などの文字を発見。読んでみたら、「テリー・ジョーンズは実はスパマロットにはあまり心おだやかではないんだよ」という囲み記事でした。短いものなので全文を訳してみます。

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 現在ブロードウェイで映画「ホーリー・グレイル」を元にしたミュージカル「スパマロット」が大ヒットしているが、モンティ・パイソンのひとりテリー・ジョーンズは、その芝居が大嫌いだそうだ。かの映画を1975年に監督したテリーは、「スパマロットはまったく意味も価値も何もないシロモノだ」という。
 「スパマロット」はやはり元パイソンのエリック・アイドルが書いた芝居である。チケットは数か月先までほぼ売り切れており、ブローカー取引価格は200ポンドを超える。その看板には「あの映画をステキに使いまわしたミュージカル」とうたわれている。
 テリーいわく:「確かにわれわれはこれに同意した。しかしもしこれがこのように売れるとわかっていれば、もうちょっとましな契約をとりつけていたはずだ。かつてわれわれがすべてのパイソン仕事で生み出した以上の金を、エリックは今稼ぎだしている」。
 しかし、テリーにはパイソン再結成の気持ちはないそうだ。「今はより興味のある仕事がある。パイソンとしてふたたび集まってみるという予定はないし今後そうするつもりもない」。
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ゴシップ命のサン紙の記事なので、このトーンはややさっぴいて読まねばならないでしょう。しかし、テリJさんとわたくしのような市井のいちヲタとは視線が違います。わたしはスパマロットがスキでしょーがありません。あれはすごいよ。それこそ椿姫を見た北島マヤのようにいまだに日々呆け続けていて、「あははははココナッツだよ人生は」などとつぶやいています。だから、スパマロットがホリグレを名乗りつつも実は全然ホリグレではないことや、(どのようにホリグレでないのか、は後日改めて詳しくご報告致します)、あるいはそれが予想外の大ヒットになっているなどという現象にも、「わあそれはそれで面白いぞ」と無邪気に面白がっていられます。

しかしテリJさんはなにしろ汗と雨と泥にまみれつつ体張ってあの映画を撮った本人です。おまけに頑固なことで有名だ。実はホリグレでないスパマロットが受けていて、しかも金銭なんかもからんでくれば、テリJさんの心中は相当複雑であろうと思われます。

が、
わたしがこの記事を読んで思ったことがあります。
スパマロットで一番おいしい場面と歌をかっさらっているのは、実はサー・ロビンです。ロビン役のデイヴィッド・ハイド・ピアースは、「フレイジャー」でのクールで皮肉な態度とうってかわって大はじけ、舞台いっぱい歌うわ踊るわ走りまわるわ、客は圧倒もう大喜び。いやロビンの歌「ブロードウェイで成功しない方法」はパイソン文脈を超える傑作です。もう面白いのなんの。観客は椅子から落ちて笑い転げてました。

で、
実はそれにひきかえ、
サー・ベデヴィアの出番が、ほとんどないのです。いやいることはいます。大ウサギを城門前に置いたりもします。が、それ以外に印象がない。魔女裁判の場面がまるごと落ちているし、だいいちソロ歌がない。アーサー王はもちろんとして、ランスロットもガラハッドもパッツィも、それどころか台車の上の死体群にさえも景と持ち歌があるのに、ベデヴィアにはそれがまったくない。

パイソン内の意見の相違は今に始まったことではないです。だから、テリJがスパマロットにイカっているという理由もあくまでもプロフェッショナルなものであり、決して単に「ベデヴィアが冷遇されてて目立たないから」ではないと信じたいのですが。どうでしょうか。

ところでそれはそれとして事実として。
エリックはロビンにすごーく花を持たせてます。それは思わず、「先生!アイドル君がロビン君をヒイキしてまーす!」とパイソンの神様にちくりたくなるほどです。
それに比べて。あるいはガラハッドに比べても。
ランスロットがたいへんかわいそうな扱いを受けています。日が経つにつれ、「あれはあんまりだよエリック」な思いがつのってきます。
何故エリックはランスロットをあんなにあんまりな目にあわせるのか。それはやはりプロフェッショナルな理由にもとづいているのであって、決して単に個人的な理由ではないと信じたいのですが。どうでしょうか。

(どうあんまりな目なのか、は後日改めて詳しくご報告致します。まったく、こうして「ランスロットの扱いがあんまりな」と書くだけですでに、わたくしはあふれ出る涙をおさえることができません。ああランスロットよ。)

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05 May 2005

05MAY : ♪われら円卓の騎士、いざ闘わん、サスペンダーとブラつけて♪(え?)

ニューヨークから帰ってきました。スパマロットを見たということは何度も下↓の方でうわごとのようにくり返しているとおりですが、その他の日に関してもさまざまな理由によりパイソン度がたいへん高いできごとに恵まれ続けました。2年前のこともあわせわたしにとってのニューヨークとは、このままでは「パイソンな街」というひとことで終わってしまいそうです。いいのですかそんなふうにわたしに理解されてニューヨークの中の人たち。

とりあえずスパマロットに関してまとまったご報告をさせて頂くべく、いろいろ書きちらしてみて、ついで消し、書いてはまた消し、思い直して改めてぽつぽつ書いてみるも、やはり全部一気に削除した後、36ポイントの太大ゴシックでばちばちばちと「とにかく見に行け、責任はわたしが取る(ただし常識の範囲内で)」と打ち、そして頭を抱えるばかりです。あのスゴ晴らしい現象を誰かに伝えるには、わたくしは完全にヤラレてしまっておりもう文章も言葉も文法なんかもどうでもよくなりあれこれそれましてエペペペペペペ。それから音楽が良いのなんの。現地で買ったCDは、すでに聞きすぎで擦りきれて薄くなり向こう側が透けて見えてきました。エリック、すごい、よくやった。


とりあえずトレイラーがわりに写真をひとつ。


拡大。

「あの映画『ホーリー・グレイル』のステキな使いまわし新作ミュージカル」てな感じでしょうか。
ちなみにサントラCDのジャケットには同じロゴの下に「あの新作ミュージカルのステキな使いまわしCD」と書かれています。

そこで買ったものをひとつ。


ちゃんと左右がある。取説つき。


劇場のお店のお兄ちゃんが言ったことをひとつ。
「みんな好きだよね本当に、でも時々参るんだよね。いや仮装して来る人がいるんだよこの芝居見に来る客。騎士とかウサギとか、羊の角つけてたりとか」


第一幕の最後のとこのアーサー王の歌をひとつ。
「♪我々は窮地に陥った、観客たちよ休憩だ、一服してきてその後にふたたびここに集うのだ、第三幕の始まりにー♪」 パッツィ「二幕です、陛下」


見ている最中のわたくしのたましいのさけび。
うわー!ランス(とサー・ランスロットは呼ばれている)がまったくひどいことにー!エリックも一体何を考えてランスロットにこういう役をー!!


そしてスパマロット以外のパイソン体験のひとつ、TV&ラジオ博物館のあるマンハッタン52丁目に並びひるがえるパイソン旗。


詳しくはまた。
それから本日のタイトルもスパマロット歌の一部です。

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30 April 2005

30APR : スパマロットはこんなんだった。

こんなものを見つけました。今年3月のスパマロットのオープニング日の様子だそうです。キャストや関係者の人のインタビューとともに、舞台の様子もあります。最後の方で本人パイソンズさんたちも出てきます。いやあのにぎやかな芝居の後に本人さんたちが出てきたら、そらもう劇場まとめてむちゃくちゃ盛り上がったことでありましょう。楽しそうだなあ。→

舞台の様子では、映画のあそこだな、とわかるところと、なんだこれは、というところがあると思います。女の人が多いですね。詳しくはまた帰ってから改めます。それからランスロットに関するある非常に重用な場面があるのですが、それはここには出てきません。ねたばれになるのでわたしも黙っていることにします。ただ、ハンク・アザリアの何かを超えたはじけっぷりが素敵、と記すだけに今日のところはとりあえずとどめておきます。もう思い出すと汗がにじんでくるくらいの素敵さ。ああランスロットってば。

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29 April 2005

29APR : スパマロットを見に行った。

わたくしは今ニューヨークにおります。
そしてたった今スパマロットを見たところです。

感想:

いやもう面白いのなんの。

確かにわれわれの知っているホリグレではないです。
だけど2005年のブロードウェイのスパマロットなのであります。
いやはや会場中がこんなに盛り上がった芝居というは初めてです。大ヒットするべくしてしている芝居です。これはすばらしいよ。
ああこんな現象がわたしの生きてるうちに起きるなんてまったく愉快だ。

詳しくはまた改めますがしかしこれだけは。
21世紀のランスロットは、
歌を歌っていて、
というか歌を歌って踊っていました。
ああ愉快だ愉快だ。

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25 April 2005

25APR : スパマロットを見に行く

というのは実は、こないだたまたまある仕事ツテ方面から、良さげなスパマロットのプレミアムチケット(というか、つまり、ダフ券)が現れて、「お姉さん、買って。今しかないよ。うふ」と言ったのです。
(すみません下↓の April 20 からの続きです。)
誘惑に身を持ち崩してはいかんとぐっと一度は耐えました。しかしわたくしにとってのスパマロットとは「見に行くか見に行かないか」ではなく、すでに「いつ見に行くか」レベルの問題です。(初期の当頁で定義したキリギリス三原則:「1及び2に反しないかぎり、キリギリスはそこに行かなければならない」。)それは自己の意思でコントロールできる衝動ではもはやありません。だからどうせごはんが1日2回のイモと水との「ああ無情」状態になっても、あるいは芝居を見るために年越しソバの配達をひとりで100軒やりたおす北島マヤ状態に陥っても、わたしのことだからいずれは見に行くんだろうし、ここにダフ券さんが現れたのも何かの縁、というよりはほとんど運命、パイソンの神様の思し召しであり、善は急げと言うし、欲しけりゃ今すぐしがみつけという格言もあることだし、ではうかうかと乗せられてしまおうと思ったのです。いや善だとしての話ですが。それと格言かどうかも別にして。

でも舞台がどのようなものでそれが面白いのかどうかはよくわかっていません。どうやら映画とは相当違ったものになっているらしい、という噂を小耳にはさむばかりです。
でも。
パイソンズが低予算と悪天候と悪段取にヤラレつつ、ブリテン島の片隅で一生懸命撮った映画が、30年後に華やかなブロードウェイで不意によみがえり、するとパイソン好きの人間が、どこからともなくウンカのように、笑うために集いきている。わたしは実は、スパマロットの出来がどうこうというより、この事実そのものに大変好感を持ちます。まるで「フィールド・オブ・ドリームズ」です。パイソンを作れば、ヲタは来る。

ところでついでに、スパマロットに合わせ、テレビ&ラジオ博物館にて上映されているらしいこのようなパイソン祭りを見に行く予定です。→ 以前コメント欄でこれを教えてくださったトコツカさんどうもありがとうございます。

しかしこれをよく見ると。
どうやら今週には、ケンブリッジ・サーカスがエド・サリバン・ショウに出演したときのフィルムが出てくるらしい。
ええええ え え え  え   え    え    え  ーーー
なんてこった。わたくしはたおれました。思わず中島みゆきと化し、道に倒れてジョンの名を呼びつづけちゃいました。
20代のサーカス連@エド・サリバン・ショウ。1964年のその映像を、わたしはどんなに探していたことか。日本のBSでしばらく放映されてたその番組を、「いつかサーカス出演回が放映されるかもしれないから」と、人に土下座してメシをおごって無理矢理録画してもらってたくらいです。でもそんなもんは全然放映されません。もうこれはどこにもないのか。写真すら見つからないし。このケンブリッジ・サーカスのエド・サリバン・ショウとはすでに消滅したのか。故出演フィルムなのか。デイジー摘んで幕を引いてお空で聖歌をさえずり存在を停止した元出演作なのか。と思っていたのです。
しかし、
パイソンの神はヲタを見捨てておらぬ。いいぞニューヨーク!やるじゃん!メリケ万歳!

どうやらまた2年前と同様こんなんばっかで、通常のニューヨーク観光客的行動は全然せずに終わりそうですが、キリギリスにとってこっちの水の方が甘露であることも困ったことに事実です。

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20 April 2005

20APR : Pythons and How to Survive Them

当頁が今週月曜日更新分の週刊ココログガイドに載りました。このうわごとのような拙ブログにあたたかい手をさしのべてくださり、誠にありがとうございましたニフティ様。

えー。どうもありがとうございます。物凄くありがたいです。でも。でもあの。そのー、申し訳ありませんしかし、「生き残りの」では、あたかも生きている方が少数のように聞こえなくもないような気がしたりなんかするのは気のせいでしょうか。念のためにここで再確認申し上げますと、今生きている5人が生き残りというよりはむしろ1人だけが先に死んだのであり、他5名のパイソンの皆さんは立派にぴんぴん生存しています。それぞれに枝分かれした人生を地球のあちこちで送っているということを、ときどき風のたよりに耳にします。

たとえばマイケルは今週17日の日曜日、奥さま(美人)と2人でBAFTAのTVアウォーズに現れました。場所はあのロンドンのドゥルーリー・レイン劇場です。ドキュメンタリー部門にノミネートされていた「ヒマラヤ」はあいにく賞を逃してしまいましたが、そのかわり「とてもTVに貢献したで賞」みたいな名誉賞を、サー・デイヴィッド・フロストと一緒にもらっていました。確か数年前にグラミーの方で、音楽貢献賞授賞のスピーチのとき「こんな貢献賞なんてジジイがもらうもんだ。けっ」と言い放ったのは、ジジイ最前線のミック・ジャガーではなかったか。でも礼儀正しいマイケルはもちろんそんなことを言ったりはしないのです。フロスト卿の方ならともかくとして。

えー、
ところでわたくしは、
どうやら来週スパマロットを見に行くことにしたようです。

詳しいご報告はまた次回。

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24 July 2004

24JUL スパマロットは遠くにありて

先週デイリー・メイル紙をめくっていたら、SPAMALOTについての記事があり、そこでエリックがひとこと。

「SPAMALOTの展望? そうだなあ、この時期ブロードウェイにかかる他の殺人ウサギや足無し黒騎士が出るたぐいの芝居の中ではわりといけるんじゃないか」

"(Spamalot will be) as good as or quite likely better than any other show with killer rabbits and a legless knight opening on Broadway this season."

エリック流にケムに巻かれた感じでぱっと見では意味がよくわからず、「えーと」と何度も読み返してしまいました。仕掛け人エリックはこの芝居に一体期待しているのかいないのか。

デイリーリャマによると、シカゴのワールドプレミアは12月21日から05年1月16日、会場はシューバート・シアター、そしてニューヨーク本公演は05年2月7日から3月10日、会場は同名のシューバート・シアターです。おおマンハッタンのどまんなか。

チケットはここで買えますが、ともにまだ発売されていないようです。
シカゴ → ticketmaster
ニューヨーク → Telecharge


わたくしはつらつら考えた。
見たいけどねえ。アメリカかあ。さすがにアメリカは遠いので、ロンドンに来るまで待つことにしよう。と思いつつ、この芝居がアメリカを生きのびてロンドンまで来るという保証はどこにもないな。と思いあたり、でもこっちは一応パイソン本国なんだから来ないと立場ないじゃん。と希望的観測をしようと思うものの、しかし大ヒットした『ザ・プロデューサーズ』ですらブロードウェイからロンドンに来るまで2年くらいかかったぞ。という事実を思い出し、ちくしょーアメリカベースで仕事をしてる最近のジョンとエリックなんか大嫌い!一体どうしろと言うのだ、と悩むうちに、ふと「真の愛とは何かわかるか?犠牲だよ。犠牲。」というジョン・リスゴーの言葉をふと思い出したりして(@映画『クリフハンガー』)、そうか愛は犠牲か。やっぱ犠牲だよな。って違いますわたくしは犠牲になどならないなりたくもないしなる予定もない!とじたばた叫ぶもはっと気づくと右手が左手に知られないようにチケットマスターでチケットを10枚買おうとしてたりして、どうも当分心おだやかではいられなくなりそうで、やっぱりわたしはアメリカベースで仕事をしている最近のジョンとエリックなんて大嫌いです。でも好き。

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12 July 2004

12JUL 裏声で歌へ円卓騎士

エリックが音頭を取ってホリグレをミュージカルにしてブロードウェイにかけようとしている、というのはなんとなく聞き知っておりましたが、このたび一部配役が次のように決定したそうです。

アーサー王 … ティム・カリー(「ロッキー・ホラー・ショウ」の人)
ランスロット … ハンク・アザリア(「ザ・シンプソンズ」のモーの声の人)
ロビン … デイヴィッド・ハイド・ピアース(「フレイジャー」の弟ナイルズの人)

ついでに、

舞台監督 … マイク・ニコルズ(「卒業」「キャッチ22」「シルクウッド」「プライマリー・カラーズ」の人)


しかしこの名前群をにらんでみても、

・ティム・カリーはもうかなりトシなのではなかろうか。
・モーの声の人と言われると実はモーの顔しか思い浮かばない。ううんあの顔のランスロット。ううん。うなされる。
・わあっナイルズが。「フレイジャー」で主役フレイジャーより明らかに人気があったナイルズがこんなところに。フレイジャーを見ながら常々「なんか、イギリス人みたいなアメリカ人だ」と思っていたがやっぱり。それにしてもロビンが妙にいい役者さんなのはエリックが陰で糸を引いてるからか。後でジョンがオレにも選ばせろとか、「ランスロットはジョニー・デップにやらせろ」とか言ってきたらどうするのかエリック。

と、思いは千々に乱れるばかりで、何がどう起こる芝居なのかあいにくひとつも見当がつきません。

ちなみに、ティム・カリーは1946年生まれ、ハンク・アザリアはシンプソンズだけではなくいろんな映画にちょこちょこ出ていて、ヘレン・ハントの旦那さんの、こんな人→★★★でした。この人があの凶悪顔のモーをやっているのか。ほー。

この「映画ホーリー・グレイルの素敵な二番煎じ」であるというミュージカルSPAMALOT! は、今年暮からシカゴで上演、来年2月にはNYブロードウェイに来るのだそうです。

ううこれは見に行きたいと思いました。
しかしその一方、
「歌を歌うランスロット」というなんだか強烈に矛盾するキャラクターを目にした場合どう対処すべきか、と考え始めると、脳の回線がショートして耳からケムリが出てきます。このおそるべき「歌うランスロット問題」を解決するまで、わたしはおそろしくてアメリカには近寄ることすらできそうにありません。


ソース:BBC Comedy News & imdb.com news


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