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21 September 2007

笑うエディンバラ2007その3 : フットライターは荒野をめざす

2000年のNHK「地球に乾杯 夢は爆笑コメディアン~英国・ケンブリッジ大学~」というケンブリッジ・フットライツ特集をご覧になった方ならばおそらく、番組中明るく目立っていて「セイシュン真っただ中ー!」とか言われていた、トム・ベルという学生フットライターをご記憶ではないでしょうか。だから2004年のエディンバラ・フリンジで彼の名前を見かけたときには感動し思わずここに書きとめたりしました。

そして今年2007年、フリンジ登竜門ヴェニューである「プレザンス」の一角で、彼はエド・ウィークスとTommy and the Weeks というユニットを組んで舞台に立っていました。しかし名門ヴェニューとはいえごく片隅の小さなハコで、キャパは40人程度だったでしょうか。

ところでエド・ウィークスもまたフットライツファンには聞き覚えのある名前、と思ったら、2003年度のフットライツ会長さんの人でした。その年夏のエディンバラを含むフットライツ公演では、学生には見えないふてぶてしさをどっしり放ち、それでいて壊れるときはそのこわもて下げて「ヤングマン」を歌い踊るなど異様な存在感を放っていました。
(以前「まき・とうこ」名義で連載していた「Quick嘘屋」のある回でちらりと言及した「路上でチラシを配るフットライツ会員」とは実はウィークス氏のことです。確かこの年のフットライツは午後3時ごろの開演だったのですが、ぎりぎり2時45分くらいまでチラシを会長みずから懸命に撒いている姿が印象的でした。

ベルとウィークスは学年で2年違いか。いずれにしても双方とも卒業後は本気で舞台コメディアンを目指してそれぞれ行動していたようですが、最近この才能ある若人ふたりはどうやら手を組んだらしい。

その結果のトミー&ザ・ウィークスの舞台とは、スタンダップが主流であるいまどきのコメディの波にあえて逆らうかの如き、スケッチ集の1時間でした。けれどもそのスケッチの流れがとても考えられ練りこまれている。独立したスケッチが続きかれらがそのキャラクターを次々に演じるその一方で、内容に「やや軽いお気楽青年トム(赤スカーフにシマシャツ姿)」と「場を支配したがるふてぶてしいヤッピーエド(ピンストライプのがっちりスーツ)」というもうひとつ外側にある本人たちの「素」(に見せている性格)がだんだん干渉し始める。やがて1時間のスケッチ集はさまざまな伏線でひとつにうねってまとまり始め、最後にはトムとエドとの「素」が場を乗っ取ってしまう、という、いわば古典的ケンブリッジ風スケッチをきちっと書いて演っている。

ので、
わたくしは公演後、着替えて化粧を落としてプレザンスの庭に下りてきたトム・ベル氏に思わず話しかけてしまった。
「あのー、すみません。今舞台見てました。感動しました」
「はあ、それはどうも」
「あのーそれでトムさん、以前TVで見ました。じゃぱんのTVです。数年前ケンブリッジ・フットライツにいたころの」
「え?TV?おれTVに出たっ… あーーーーーあああれかー!じゃぱんのあれかー!うわーなんてこった、すごい前の話だよねあれ。うわーうわー」
「すごい前の話つか7年前になりますか。で、あの番組ではトムさんがかなり目立ってたので、あのとき『きゃあトム君すてきー』とか言っていたじゃぱんの女の子はけっこういました。今でもファンはいるでしょう、現にわたしがそのひとり」
「えー、おれ、じゃぱんにファンがいるの?ひやあどうしよう、嬉しいなあ、おれすっかり国際的人気もんかな」

じゃぱんのファンの皆さんによろしく、とトムさんです。ご本人のサイトはこちら


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20 September 2007

マイケル東欧へ:番外いろいろ

マイケル東欧へその1
マイケル東欧へその2

◇ 上記「その1」に、マイケルサイン会等イベントについて若干の追加をしました。
わたしは来週26日のロンドン大 Institute of Education トークに行く予定です。今年はジョンは出現するのだろうか。どきどき。

◇ 去年チェルトナム文学フェスティヴァルにともに訪れた相棒との会話。
わたし 「去年は先生が来たけど、今年のチェルトナムはマイケルが来るよ」
(注: われわれはテリJの大いなる歴史情熱に敬意を表し、彼を常に『先生』と呼んでいる)
相棒 「なに。会場は先生と同じか」
わ 「いや、先生の会場も相当立派な数百席の劇場だったが、マイケルはルパ様が出た2000席のあのレースコースだ。しかもチケットがおそらくほとんど売り切れている」
相 「ううむやはりマイケルはたいしたものである」
わ 「ルパ様もチケットは余っていたようだしな」
相 「ルパの前にはボブ・ゲルドフが自伝の宣伝がてらやはりあそこに出ていたが、噂では相当空いていたらしいじゃないか」
わ 「やばいなあサー・ボブ。それに比べてマイケルの愛されることといったら。またマイケルが全力で努力することといったら。実は以前のあるときロンドンで、これこれシカジカあり彼は過酷な状況下で大行列を相手に2時間以上ひたすらサインをし続けたのだ。明らかに疲れていたがそれでもとてもいい人だった」
相 「そういえば、われわれ去年チェルトナムで社会派ドキュメンタリー作家XXXX氏(←特に名を秘す)のトークも聞きに行ったが、会場はまあまあ埋まっていたもののその直後のロビーでのサイン会が閑散としてたよな」
わ 「あれは気の毒だった」
相 「本人呆然としていた」
わ 「テーマはともかく作家本人には誰も魅力を感じていなかったってことが容赦なく暴露されたな」
相 「3人くらいいたこたいたが、3人が去った後は誰も付近によりつかず、人々もそれに気づいていて気まずく遠巻きにして眺めていたよな」
わ 「本人『おれの取材と出版の苦労とこれまでの人生っていったい』とか思っていただろうな」
相 「パブリック・フィギュアとして愛されるってなんなんだろう」
わ 「去年そこにマイケルがいたらよかったのにと思う」
相 「何故」
わ 「いやマイケルならいい人全開だから、他人のそういう様子を目にしたら純粋に心を痛めて、自分のとこに来るファン女子たちにそっと『ねえ、ぼくんとこよりあの人のところに並んであげるといいと思うよ』とかささやいたりするに違いない」
相 「それより本人がまず、『気の毒だ、では行ってあげよう』と」
わ 「それ驚くだろうな作家XXXX氏。誰も来ず絶望にうちひちがれてがっくりしている、あっでも誰かが、と思って顔を上げたら立っているのがマイケル・ペイリンだったというのは」
相 「マイケルのことだから『以前から拝読して尊敬していました。サインを頂けたら幸いです』とか腰低く礼儀正しく頼むんだろうな」
わ 「後光が射してそうだな」
相 「大天使ミカエルだな」
わ 「作家一撃のもとにやられるな。マイケルいい人電撃」
相 「いいなあそんな目にあってみたいものだなあ」
わ 「うらやましい話だなあ」

◇ ところでその相棒から指摘がひとつ。
「あんたなんかいろいろ書いてるけど、マイケルが今行ってるスロヴェニアとかクロアチアって『東欧』じゃないよ。あれは英人から見たら『南欧』だよ」
「え、『南欧』ってイタリアとか南仏海岸のことじゃないのか」
「緯度で言ったらイタリアおよび南仏と、スロヴェニアとかクロアチアは同じあたりだ」
「うーむ…」

不勉強をお詫びします。とりあえずその点は理解しつつ、今後はチェコやポーランドなどいわゆる本当の「東欧」に行くということで、New Europe に関する記事は「マイケル東欧へ」で統一することにしようと思います。

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19 September 2007

マイケル東欧へ:その2

17日にマイケル旅新シリーズNew Europeの第一回目が放映されました。BBC1での日9という手堅い家族団欒安心枠です。

出発点のスロヴェニア・アルプス山中。


「鉄のカーテンが閉ざされ東西が分けられていたころ、それを越えることは非常に難しく、だからわたしの目的地は常にその国々を飛び越えた先にありました。カーテンが開かれた今、わたしは失われた時を取り戻すべく、ここ東欧に来ているのです」。


第一回の旅路。

東欧、特にクロアチアのスプリットやドブロブニクあたりは今、上記の口上のごとく、「戦争も一段落したしではそろそろ」という感じで、(これまで未開拓でありしかも海外旅行に関しては貪欲な)英人たちのの休暇旅行目的地として急上昇しています。ここに例の「ペイリンズ・エフェクト」が拍車をかけることは必至。


ところで以前「サハラ」の初出時、真性マイケラーのパンの木さんの第一声が「おお、カバンが違う!」だったことをいまだ新鮮に記憶しています。だからこのたびはマイケルのカバンに注目していました。しかしなんか今回の東欧マイケルは妙に「手ぶら」です。


手ぶら1。


手ぶら2。



手ぶら3。

唯一カバンがはっきりと確認できたのが、ドブロブニク街中での路上ミュージシャンさんとの場面。どうでしょう真性マイケラーの皆様。

実はこの方はただの路上奏楽者ではなく、アルバム「ラビリンス」でスティングと共演したこともあるその筋では有名なリュート奏者のエディン・カラマゾーフさんです。有名なかたわらいまだ路上で演奏し街中フラットでつましい生活を続けているそうです。


ちなみに上記てぶら3の前方の羊さんは、後にアルバニア的正教方式にのっとり屠られる運命にあり、


正視できない。


ところで東欧の国々をわたる以上、現在復興しつつある街並みをめぐりつつもやはり戦争に言及せずにはおれず。

ボスニア・ヘルツェゴヴィナのモスターで。

「わたしの背後にあの美しい橋が見えます、今は復旧されていて観光客が集っていますが、あれはかつて1993年の内戦で瞬時かつ無残に破壊されたのです」






一番の衝撃はサラエヴォの地雷地帯の様子。


右端がマイケル。


「ヒマラヤ」はアフガニスタンの銃市場の、カラシニコフを手にした「マイケル・ペイリンと機関銃」の図よりも心ゆさぶられました。それから思わず故ダイアナさんがやはり武装してサラエヴォの地雷地帯を歩いていたという有名な写真を思い出しました。


それにしても…
メガネ初老マイケルにはどうしてもなごんでしまう。

クロアチア・ハーヴァール島の古くこじんまりとしたレストランの厨房です。左のシェフおやじイゴーさんが強い東欧訛りの英語で、スローフードの哲学および「メシはまだかと急がせる観光客に『ハンバーガーでも食ってろ』と言い放ったことがあるよ」と語るのを受け、マイケル「まるでスローフード界のバジル・フォルティですねー」と笑っているところです。

ふと気づいてみれば、この17日は敬老の日でもあったのでした。いい感じに枯れたマイケルを案内に、今後しばらく夢は東欧をかけめぐることになりそうです。




(ところで、マイケルにはどの一人称がふさわしいかいまだわたしは若干迷います。とりあえず当ブログ中では「わたし」でいくことにします。)

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18 September 2007

笑うエディンバラ2007その2 : 客対コメディアンつづき

笑うエディンバラ2007その1: 客対コメディアン

上記のつづきです。
何故エディンバラ・フリンジで「コメディとはサービス業である」というサトリに達したか。
それはひとえに、8月23日午前中に行われた、フリンジ実行委員主要人員の人々による”How to do a show at Fringe” というパネルディスカッションに参加したことによります。

このディスカッションのパネラーは委員会を総括するイベントマネージャーさん(非常に有能そうな若い女性)、プロモーターさん(百戦錬磨の業界ぽいおじさん)、広報担当さん(この仕事が大変好きそうでしゃべり始めたらとまらないお兄さん)、実際に舞台に立っている中堅パフォーマーさん2名(英男性と米女性)、どこかの小さなヴェニューの支配人さん(手ごわそうなおばさま)という顔ぶれでした。

まず両パフォーマーが強い口調で断言していたのは、「エディンバラ・フリンジとは世界最大のコメディのプラットフォームである。競争は非常に厳しいし金を儲けることを期待してはまったくいかん。したがって、もし参加するのならば、自分が何故フリンジの舞台に立ちたいのか、どの舞台に何時から何時まで立ちたいのか、そこで何をどうしたいのか、そしてそれによって次に何を目指すのかということまでくっきりと明確にしてからのぞむべし」。そこにプロモーターさんが「世界一のプラットフォームであると同時に、世界一のコメディのショウウィンドウである。だからフリンジの客は世界一正直で世界一怖い。チケットは安価だし場所は近所だから客は興味を持てば足を運んでくるかもしれない、しかしそのかわりかれらは退屈したらすぐに出て行く。しかもごく少数の例外を除き金は儲からない!」。米パフォーマー♀「わたしは最初にエディンバラに来る前に、自分にふさわしいヴェニューと時間帯とについて、予算とすりあわせつつ物凄く研究しました。申し込みどおりの時間と場所の許可が出ましたが、それでも海を越えてくるのは捨て身の賭けみたいなもので。幸い賭けはなんとかなり、プロモーターの人と縁ができてその後英国内ツアーが決まったし、翌年からもそれなりにうまくいっています。英人のみなさんは英人であるというだけで大変有利な立場にいると思います。わたし今年はどこどこのヴェニューで何時からやってますので皆さん来てね」(笑)。英パフォーマー♂「えー、ぼくの場合は彼女とちょっと事情は違いまして、何年かの間に波があり、いいときもあればあまりよくないときも。よくないときなど一度、どこかの地下の、天井がこのくらい(と頭上10センチあたりに手をかざし)だったわけのわからないヴェニューに押し込まれたことがありますね。あ、ぼくも今年はしかじかの場所に出てますのでどうぞよろしく」(笑)。

この後マネージャーさんと広報さんにより、パフォーマーさんたちがどのような手続きを踏んでフリンジ舞台に立つかという説明がありました。要約すると、①大志抱くパフォーマーさんがフリンジ事務所に参加を申し込む ②「参加の手引き」的な分厚いマニュアルが4冊送られてくる ③演者人員数、内容、時間、装置、機材などを明確にし ④「手引き」に詳しく掲載されているすべてのヴェニュー(市内200箇所以上)の大きさ、傾向、料金などを把握して、⑤このヴェニューでこういうふうに何時から何時までどういう段取りで何人でこういうふうにやる、ということを決定し ⑥まずそういうことをすべて書類に記入して申し込み ⑦事務所からの割り振り決定通知を待ち ⑧決定通知がめでたく来たら、さてそれにふさわしい広告媒体の詳細を決定して申請し(無料のパンフレットのみにするか、それともフライヤーやポスターや新聞広告も打つか。いずれもコピーや図版など詳しい案件も添え)、⑨ロイヤル・マイル路上で実演客引きをやりたい場合はその内容も企画し ⑩締め切り厳守で事務所に提出 ⑪もちろんおのおのの手続きにかかる料金も払い ⑫それと同時にフリンジ期間中3週間のエディンバラの宿も、これは事務所は関与しないので自分で確保。という感じであるらしい。

気になる費用の方はというと。手続き関係のみでは、マニュアル請求料はそれほど高くなく10ポンド程度、パンフレット掲載(50語程度の解説つき。パフォーマーさんが自分で書く)は無料です。しかしパンフレットに写真つきの広告を載せると大きさによって300から1000ポンド程度(パンフレットはへたな電話帳ほどあるので実際として写真広告は必須である)、ヴェニュー使用料が大きさと時間帯によりピンキリ、フライヤーやポスターは自腹、機材使用料と舞台装置があり、そしてなによりエディンバラ3週間の滞在費がバカにならない。なにしろフリンジ関係者だけで数千人、プラス他の映画とか音楽とか文芸フェスティバル関係者がそれぞれ同数かそれ以上、そこにウンカ観光客がエディンバラに十万単位で押し寄せる。マネージャーさんいわく「現在の段階で、2010年の夏の住居が埋まりつつあります。いや冗談ではないですよ」。なるほど、これでは上記の「フリンジで儲けようとするなかれ」発言が出るわけです。

もちろんどこの国のどこの街での舞台興行でも楽なものなんてないわけで、フリンジ参加パフォーマーだけが苦行を強いられているわけでは決してないでしょう。しかし、フリンジをにぎわす数千人のパフォーマーの皆さんの中で「そこに出れば客は必ず来る」という幸運な人はごくごくごく少数、その他有象無象のみなさんは一発「大志」または「賭け」で来ているはずです。

なにしろ世界一のウィンドウショッピングなものだから、客も評者もぜんぜん遠慮がない。客はつまらなければすぐに席を立つ。それからフリンジ期間中にはスコットランドローカルの「ザ・スコッツマン」紙や「メトロ」紙のエディンバラ版が、あるいは期間中限定で発行されるフェスティバル特化の「スリー・ウィークス」紙が、フリンジのレビューを片っ端から組みます。その新聞づきの評者が「これは面白くない。見に行くな時間と金の無駄だ」と感じたら、かれらは本当にそう書いてしまう。あるパフォーマーが上記紙のうちいずれかでもし「無駄」と判断を下されてそう紙面に書かれたならばそこで客はばたりと途絶えてしまう。フリンジ評者に「無駄」と判断されたり、あるいは客に席をごっそり席を立たれたりしたら、それはおそらくパフォーマーさんの経歴に非常な影響をおよぼし、おそらくその後の彼・彼女の人生をも左右してしまうことになるでしょう。

で、
これまでにもいち観客としてそういうフリンジ水面下での手間ひまや、パフォーマーさんの丁々発止の状況はなんとなく気づいてはいました。
が、
このパネルディスカッションに参加して、数千のパフォーマーさんおよびかれらをとりまく状況をかなりはっきりと知らされ、わたしはしみじみ思ったのです。

そりゃ客は客だ。チケットを買い予定を繰り合わせて足を運んで会場に来るお客様だ。ただ、客のやることとは言ってみれば、「コレってなんか面白いかもー」とか言いながら、自分の意思で金出してチケットを買って当日会場に来るだけである。舞台の上のパフォーマーさんとは、特にフリンジの場合、歴史が違うし背景が違うし気合いが違う。たとえばしけたエディンバラのパブに暗幕が引かれて片隅に丸椅子が並べられその前にスタンドマイクが1本立っている、そこに若いスタンダップのお兄ちゃんが出てきて今目の前でひとりでしゃべっているが、それが面白いとか面白くないとかいうことは別にして、なんつか今、わたしはこのおにいちゃんの人生的賭けと相対しているのだ。わたしはこのお兄ちゃんの人生的賭けを前にして、「さあ客なんだから笑わせろ」と言っていいのだろうか。そこまでこのお兄ちゃん、及びお兄ちゃんに照明を当てたり音声を後ろでいじっていたり、あるいはこのギャグを考えたであろう作家の人々の人生の左右的責任を持っていいのだろうか。

ここでわたしはかんがえました。
とりあえずここフリンジではそれでいいらしいのだ、と。
客はそういう小難しいことは考えず、たとえばこのお兄ちゃんがしゃべっているのをビールとか飲みながら15分間聞いていて、「あ、つまんね」と思ったら即出て行っていい。そして「あいつはつまらねーぞ」と名指しで批判していい。そういうことになっている。
いいのかこういうことで。
いやいいことになっているのだ。
これがここのシステムなのだ。
こういうコメディ資源をそれほど持ち合わせない国の人間にとり、このシステムはめくるめくほど贅沢な状況に感じるが、
これはコメディ資源が異様に豊かな国ゆえの大いなる消費活動なのだ。
ここはコメディ経済活動が贅沢に花開いている国なのだ。
それはおそらくわたしの想像と理解を超えている。
フリンジというすさまじく巨大な催しを支えて運営していけるだけのコメディ経済基盤がここには存在するのだ。
フリンジのコメディ客とは、自分たちが個人的に満足させられなければ絶対に満足しようとしない非常に贅沢で貪欲で口がおごったやっかいな数十万の生き物なのだ。

いやなんか物凄く当たり前のことをもっともらしく書いているだけなのかもしれないという気がするのですが、わたしにとってはけっこうな衝撃ではありました。

こういう日々を北のエディンバラで経た結果、わたくしはしみじみと「コメディのいきつく先はサービス業である」とサトるにいたったのです。

そしてだからこそ、アンドリュー・ローレンスの前述「コメディをやるなんて所詮売春みたいなもんです」という発言が衝撃だった次第。この細く神経質そうな若いスタンダップのおにいちゃんは完全に何かを越えていた。そして今年のイフ・コメディ大賞を受賞したブレンダン・バーンズのスタンダップもまた、そういうコメディサービス業界化状況を完全に越えてとらえていた舞台でしたが、これはまた改めて。

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16 September 2007

マイケル東欧へ:その1

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9月20日付記:青字部分を追加しました。
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9月16日(日)からマイケルのBBC新シリーズ Michael Palin's New Europe が始まります。このたびはバルカン半島から東ヨーロッパをまわるそうです。
http://www.bbc.co.uk/palin/
↑BBCウェブに「palin」という階層ができているのがすごい。

うむ。なんとなく「毎年恒例マイケル旅シリーズ」という印象があるが、よく考えたら2004年の「ヒマラヤ」から3年というけっこうな時が経っているのである。その間に「もう年だし旅番組はやらないよ」みたいな発言が報道され、うーんマイケル・ペイリンの水先案内なしでは英国民は行き先を見失い流浪の民となるばかりではないか、と思ったが(マイケルの旅番組は英国旅行業界に"Palin's Effect"なる多大なる影響をもたらす)、やはり戻ってきてくれたか。それとも地球ごとかろやかに手玉にとってきたマイケルにとっては、ヨーロッパ大陸内程度ではすでに「旅」ではなく庭とか散歩みたいなもんなのか。

とかつらつら考えながら先日ロンドンを歩いていたら、

ピカディリーのハチャーズ店先でサイン会告知をぴかりと発見。

もう、なんつか、この笑顔。これは何かを越えている。ほとんど後光がさしている。還暦過ぎの殿方の笑顔にしてはこれは反則というか犯罪だと思う。マイケル女子一撃のもとに。ちくそうマイケル相変わらずすてきさ全開じゃん!

と嬉しくやしがりながら、Palin's Travels から見つけだしたサイン会日程を以下に転載します。まとめてくれた英マイケラーの方々に感謝。


9月19日(水) 12.30-1.30pm 
HATCHARD'S 
187 Piccadilly, London, W1J 9LE
T 020 7439 9921


9月23日(日) 12:30pm
GARDENERS TRADE SHOW
Oxford City Football Club
* オリオン出版のサイトに載っていたものの詳細不明。 オックスフォード・シティ・サッカーチームのクラブハウスで行われるイベントだと思います。もしそうだとしたら、
所在地: Court Place Farm Stadium, Marsh Lane, Marston, Oxford OX3 0NQ
T 01865 744493


9月26日(水) 7pm
INSTITUTE OF EDUCATION
20 Bedford Way, London, WC1H 0AL
* 去年ジョンが出現した「日記」イベントと同じ場所ですが、Palin's Travels フォーラムの書きこみ以上に詳しい情報がどうも見つかりません。直接確認してから再掲します。
↑Palin's Travels に載っていました。
チケットは7ポンド、Tel 0845 456 9876 または Blackwell書店 (100 Charing Cross Road, London WC2H 0JG)で購入可能。


10月1日(月) 12pm
THE SAVOY
Strand, London, WC2R 0EU
問合先 : Daily Mail Newspaper 020 7738 6000
* かの名門サヴォイ・ホテルでの昼食つきトークイベント(オリオン出版サイトいわく "Literary Lunch" )のようです。しかしサヴォイに電話したら主催のデイリー・メイルに訊けと言われ、デイリー・メイルに電話したら出た人に詳細はよくわからないと言われてしまいました。何かわかったら掲載します。


10月6日(土) 1.30pm
CHELTNHAM LITERATURE FESTIVAL
Centaur, Cheltenham Racecourse
* トーク付イベント。チケット12ポンド、しかしオンラインでは既に売り切れ。去年テリJ目当てにこのチェルトナム文学フェスティバルに行きました。そのとき、上記チェルトナム・レースコースで、自伝を出版したルパート・エヴェレットのトークイベントがあったのでそっちも思わず聞きに行きました。なのでたまたま知っているのですが、このレースコースはたいへん巨大な会場です。この記事によると着席キャパ2000人だそうですが、実感としてもうちょっとありそうな気がします。その大きな会場がしかも有料なのに9月半ば現在の時点で売り切れているというのはかなりすごいことです。


10月12日(金) 1.00pm
WATERSTONE'S OXFORD ST (WEST)
19-23 Oxford Street, London W1D 2DL
T 020 7495 8507


10月15日(月) 12.30pm
WATERSTONE'S
128 Princes Street, Edinburgh EH2 4AD
T 0131 226 2666


10月15日(月) 5.00pm
WATERSTONE'S
38a The Plaza, East Kilbride, Glasgow G74 1LW
T 01355 271835


10月16日(火) 12.30pm
WATERSTONE'S
66-68 Scotch Street, Carlisle CA3 8PN
T 0122 854 2300


10月18日(木) 12:30PM
WATERSTONE'S
14-16 Bold Street, Liverpool L1 4DS
T 0151 708 6861


10月19日(金)12.30pm
WATERSTONE'S
The Shires, Churchgate, Leicester LE1 4AJ
T 0116 251 6838


10月22日(月) 5.00pm
WATERSTONE'S
West Quay Shopping Centre, Western Esplanad, Southampton SO15 1QE
T 023 8023 2118


10月25日(木) 12.30pm
WATERSTONE'S
36 Butter Market, Bury St Edmunds IP33 1DW
T 01284 750877


10月25日(木) 5.00pm
HEFFER'S CAMBRIDGE
20 Trinity Street, Cambridge, CB2 1TY
T 01223 568532


平日ばかりですが会社には正直に「すいませんマイケルの季節だから休みますんでそこんとこよろしく後はなんとかしてください」と告げ有休とってかけつけましょうぞいずれかの地に。


また、New Europe 関連とは別に以下のような催しがあります。

11月28日(水) 8pm

AN EVENING WITH MICHAEL
Criterion Theatre, 2 Jermyn Street, London, SW1Y 4XA, UK
劇場 T: 020 7839 8811
問合先: Leukaemia Research T 020 7269 9066 / F 020 7405 3139
* 白血病等難病患者さんのためのチャリティ団体関連イベント。チケット50-250ポンド。詳細は上記リンク先参照下さい。

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