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21 September 2007

笑うエディンバラ2007その3 : フットライターは荒野をめざす

2000年のNHK「地球に乾杯 夢は爆笑コメディアン~英国・ケンブリッジ大学~」というケンブリッジ・フットライツ特集をご覧になった方ならばおそらく、番組中明るく目立っていて「セイシュン真っただ中ー!」とか言われていた、トム・ベルという学生フットライターをご記憶ではないでしょうか。だから2004年のエディンバラ・フリンジで彼の名前を見かけたときには感動し思わずここに書きとめたりしました。

そして今年2007年、フリンジ登竜門ヴェニューである「プレザンス」の一角で、彼はエド・ウィークスとTommy and the Weeks というユニットを組んで舞台に立っていました。しかし名門ヴェニューとはいえごく片隅の小さなハコで、キャパは40人程度だったでしょうか。

ところでエド・ウィークスもまたフットライツファンには聞き覚えのある名前、と思ったら、2003年度のフットライツ会長さんの人でした。その年夏のエディンバラを含むフットライツ公演では、学生には見えないふてぶてしさをどっしり放ち、それでいて壊れるときはそのこわもて下げて「ヤングマン」を歌い踊るなど異様な存在感を放っていました。
(以前「まき・とうこ」名義で連載していた「Quick嘘屋」のある回でちらりと言及した「路上でチラシを配るフットライツ会員」とは実はウィークス氏のことです。確かこの年のフットライツは午後3時ごろの開演だったのですが、ぎりぎり2時45分くらいまでチラシを会長みずから懸命に撒いている姿が印象的でした。

ベルとウィークスは学年で2年違いか。いずれにしても双方とも卒業後は本気で舞台コメディアンを目指してそれぞれ行動していたようですが、最近この才能ある若人ふたりはどうやら手を組んだらしい。

その結果のトミー&ザ・ウィークスの舞台とは、スタンダップが主流であるいまどきのコメディの波にあえて逆らうかの如き、スケッチ集の1時間でした。けれどもそのスケッチの流れがとても考えられ練りこまれている。独立したスケッチが続きかれらがそのキャラクターを次々に演じるその一方で、内容に「やや軽いお気楽青年トム(赤スカーフにシマシャツ姿)」と「場を支配したがるふてぶてしいヤッピーエド(ピンストライプのがっちりスーツ)」というもうひとつ外側にある本人たちの「素」(に見せている性格)がだんだん干渉し始める。やがて1時間のスケッチ集はさまざまな伏線でひとつにうねってまとまり始め、最後にはトムとエドとの「素」が場を乗っ取ってしまう、という、いわば古典的ケンブリッジ風スケッチをきちっと書いて演っている。

ので、
わたくしは公演後、着替えて化粧を落としてプレザンスの庭に下りてきたトム・ベル氏に思わず話しかけてしまった。
「あのー、すみません。今舞台見てました。感動しました」
「はあ、それはどうも」
「あのーそれでトムさん、以前TVで見ました。じゃぱんのTVです。数年前ケンブリッジ・フットライツにいたころの」
「え?TV?おれTVに出たっ… あーーーーーあああれかー!じゃぱんのあれかー!うわーなんてこった、すごい前の話だよねあれ。うわーうわー」
「すごい前の話つか7年前になりますか。で、あの番組ではトムさんがかなり目立ってたので、あのとき『きゃあトム君すてきー』とか言っていたじゃぱんの女の子はけっこういました。今でもファンはいるでしょう、現にわたしがそのひとり」
「えー、おれ、じゃぱんにファンがいるの?ひやあどうしよう、嬉しいなあ、おれすっかり国際的人気もんかな」

じゃぱんのファンの皆さんによろしく、とトムさんです。ご本人のサイトはこちら


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Comments

初めまして、いつもとっても楽しく読ませて頂いてます。
エキサイティングな内容を、いつもいつもありがとうございます。

5年ほど前にモンティ・パイソンが大好きになり、今年の夏から、二度目のパイソン熱が上昇中で、今回初めて特定メンバーを好きになりました。
それはグレアム・チャップマンであり、それは揺るがざる事実です。
が…こちらのサイトさんにはまり、ほぼ毎回、随分時間を掛けてジョン・クリーズに関する文章を読み、同じ箇所でニヤニヤしたり感動したりしている理由は、管理人様の文書力は言うまでもなく、私自身が、クリーズ氏の魅力に半ノックアウトされ気味だから、という事実に他なりません。
パイソンDVDの他に、フォルティ・タワーズDVDも欲しくなりました。

おまけに、イギリスのリアルで詳しいコメディ事情もこちらで教えて頂けるし、人生即ち笑いであると固く信じている私としては、英会話なんて殆ど出来ないにも関わらず、もうイギリスに行きたくて堪りません。
「笑い=サービス」の意見にも大賛成です(人を笑わせることを本業にする方々の勇気は、本当に尊敬!)。

メールを送ることが出来ないため、こちらで失礼致しました。
これからも楽しみにしています。
『モンティ・パイソン自伝』、最高に面白かったです。
ありがとうございました!

Posted by: ミーミー | 07 October 2007 at 02:47

超亀レスになってしまいすみません。そしてどうもありがとうございます。管理人と翻訳人冥利につきます。
とはいえジョン専を名乗りつつ最近マイケルにやられ気味で、右手が「マイケル」とか書いているのを左手に知られないようにして生きています。でもそれは言ってみれば、わたしはマイケルをとらえるとき常にジョンを座標軸に据え、ジョンを原点とする座標系の中で任意に変化する値として無意識ながら常に鋭くマイケルを認識しているということです。いや要するに、マイケルのいい人ぶりを見るにつけ「これじゃあジョンがやられちゃうのもしようがないなあ」と頭がその方向に行くという。

でも、パイソンが常にある一定の人々をとらえヲタクレベルにまでひきずりこみ続けているという事実には、かれらの作品だけではなく、人間関係の面白さ(と言ったら本人のみなさんには申し訳ないか)も作用していると思います。つまり、あんな見るからに個性の強い人間が6人寄り集まってくり広げていた丁々発止切磋琢磨切歯扼腕精励恪勤生生流転のドラマに人は非常な情動を引き起こされるのではないかと。いや要するに、例のマイケルの「ぼくは君を嫌いじゃないよ(にこにこ)」とか、テリJの「なんでジョンはオレのことは許さないのにマイクのことは許すんだ」とかそういうのが面白い、という。

>フォルティ・タワーズDVDも欲しくなりました
欲しくなるだけではなく急ぎご購入のほど。善は急げ。(善です。) 

>「笑い=サービス」
細かいことを申しますと、「サービス」というより「サービス業」だと思ったというのが近いです。コメディを仕事とする人は、それを日々の仕事として動くための理論が要求されていて、ただ奉仕するだけではなく、投下した資本を回収せねばならない。とはいえ、目の前の客は笑わせねばならない存在であって、「今客としての自分は回収されている」と感じさせてはいけない。そのへんの「客が快適さを消費する」ことと「利益回収」との取引がある以上、これは「業」だなあと。もはや「業」は「ごう」と読むべきか。でも、また当たり前のことを大げさに書いているだけという気もします。

>イギリスのコメディ事情
とはいえ「自分の好きなもん」のことしか書いていないゆえジクジたるものがあります。ここは実は偏食管理人によるバランスの悪いジャンクフードブログです。

あと、右コラムのEmail to akko が動いていませんでしたか?

Posted by: akko | 21 October 2007 at 02:20

ご丁寧なコメント、本当にありがとうございます。

こちらのメールフォームには何も問題はなく、個人的な事情で現在e-mailを使用することが出来ないので…紛らわしい書き方をして申し訳ありませんでした!

我が家では「王様」(『ホーリーグレイル』での配役から)の愛称で親しまれているグレアムですが、私の心は、時々大幅に結構ジョン寄り…。
ご存知のことと思いますが、来年2月あたりに、パイソンの日本語吹替版DVD-BOXが発売されるので早速予約だけはしたんですが、その購買意欲を最もそそったのは、過去に一度だけ聞いて感動したジョン役の納谷悟朗の吹き替え(本の朗読に何度もつっかえる、というスケッチでした)を、好きな時に聞きたいから、という気持ちでした。
ルパン三世じゃ山田康雄の方が好きな癖に、パイソンだと納谷悟朗。
やっぱり、結局はジョン絡みです。
別にグレアム専って訳じゃないけど、ちょっとだけ心苦しいです(何となくグレアムは、『AT LAST THE 1948 SHOW』の時のが楽しそうな気がする…観てて安心感があるし。女装警官のスケッチとか最高)。
もちろん英語でも視聴可能だし、発売を楽しみにしています。

パイソンの魅力は、本当に人間関係も大きな要素ですね。
頭良くて自信家で負けん気強い人達ばっかりなんだから、仲悪くて当然だよな~って思うし、期待通りに大人気ない言い争いとかあるし(笑)
そんな中で特に才能があって個性の強い、大体どのメンバーとも衝突しまくっているジョンに好かれてる、というか、寧ろ或る意味愛されてるマイケルって凄過ぎます。
「人として、彼を好きになって当たり前」っていう、安心感があり過ぎな、怖いくらいの人間たらしだと思います…。

「笑い=サービス“業”」、心から賛同致します(_ _)
その分析力、素晴らしいです。
心のつかえが取れるような思いを、読後に抱きました。

フォルティ・タワーズは、チャンスが巡って来た時は、絶対に逃さないように確実に手に入れます。
何は無くとも、死ぬ前に笑えたらいいな~っていうのが夢なので、その地盤を固めるのに一役買ってくれそうな気がガンガンします。
恐るべしブリテュッシュコメディ、というかジョン・クリーズ?

あと、全然関係ないけど、『MEANING OF LIFE』の大企業の重役(?)会議のシーンでの斜め下から映されたエリックの横顔が本当に美しいと思います。
或る意味、若いパイソンの頃より。
それと同じくらい、赤頭巾のジョンが大好きで、本当に可愛く見えます(…よね?)。
メンバーのルックスの良さも、大きな魅力だなーと思います。

本当に長々と、失礼致しました。

Posted by: ミーミー | 27 October 2007 at 15:31

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