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25 August 2007

笑うエディンバラ2007その1: 客対コメディアン

会社様から遅い夏休みをとり、エディンバラに来て年一のコメディ祭りエディンバラ・フリンジの舞台を見歩いています。いや一日4-5舞台くらいハシゴしているので、次の舞台めざし街の端から端まで15分で移動、など多々あり『見走り回っている』、あるいはエディンバラとは妙に起伏の多い土地で街中徒歩移動はたいてい急勾配、地の果てまで平たい東アングリアから来た人間は冬山登山も同然の厳しい戦いを強いられるがゆえ『見よじ登っている』または『見這いずり回っている』かもしれず。来週月曜の最終日までうっかり遭難して死んだりしないよう気をつけます。

しかしいろいろ面白いものとあまり面白くないものを見聞きしていて、あるときわたしは不意にサトリました。
コメディとはサービス業である。
コメディアンとは要するにクリエイティビティとかデリバリーとかセンス・オブ・ヒューマーとかそういう単語の前に、『客にサービスする』という存在なんである。と。

しかしこれでサトった気分になっていたら、アンドリュー・ローレンス(今年のフリンジで必ず見るべき人のひとり)が昨夜

『コメディをやることは所詮売春です』

とすごいことを言ったのでおもわず『すいませんでした』と謝りそうになりました。

この話題続きます。


***** 追記 ***************
私的今年必見の人々。

アンドリュー・ローレンス
アンドリュー・マクスウェル
マーク・ワトソン
ブレンダン・バーンズ

特にマーク・ワトソンの今年の化けっぷりが凄い。去年までと感じが全然違います。飛ぶ鳥を落とす勢いというかオーラが出てきたというか。たいしたものです。

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21 August 2007

ロンドン日記その6: ニールズ・ヤードで納得した

モンティ・パイソンのブルー・プラークがあることで有名なニールズ・ヤードへ行きました。いやニールズ・ヤードはその理由で有名なわけでは決してないです。ここはロンドン中心の喧騒を一歩離れた裏通りに不意に見つかる、古い建物に囲いこまれた小さくかわいらしい箱庭のような空間です。とても居心地のいい一角で、こぢんまりとしながらレストランやショップに囲まれ活気があり、訪れる人はひきもきりません。ニールズ・ヤード・レメディーズなんてメジャーな店がこの小さな空間から始まったわけです。パイソンのブルー・プラークはそんなオサレなところの建物の2階の壁にひっそりとはりついているので、


すてき空間を求めてここを訪れる一般の皆様はあまりこれに気づくことはなさそうかもしれず。でも気づく側の人間としては、上ロンするといつもここに立ち寄り上の方を拝んだりしています。

拝んではいるのですが、しかしそのたびに、「ところでモンティ・パイソンって誰のことだ、1976年から87年ってどういうことだ、ブルー・プラークのサイトには『ここでフライング・サーカスが製作された』とあるけど76年から87年なんて話が合わないじゃんどーゆーことなんだー」と頭からハテナマークを放射していました。

その謎がようやく氷解。答えはマイケル日記に書いてありました。このニールズ・ヤード14-15番地とは、1976年春にマイケル、テリG、ジュリアン・ドイル氏が共同で購入し映画制作スタジオを作ったところであるそうです。編集や録音やカメラテストができる程度の撮影機材と空間があり、ここで仕上げられたものは「ジャバーウォッキー」と「ブライアン」、その他のテリG作品、およびコマーシャルなどのよし。

(ちなみにこの当時マイケルは家も同時に建て増ししていて、かなり羽振りがよさげです。けれどもその後ブライアンからEMIが撤退したとき、いきなり資金ぐりに切羽詰まり大変そうです。)

つまり「このニールズ・ヤードでフライング・サーカスが製作された」という上記ブルー・プラークサイトの解説は間違いと言えば間違いですが、しかしもともと「モンティ・パイソン氏がここに住んでいた」というプラークの動機も冗談みたいなものなのでしょうし、あまり深く追求しないでおいた方がいいのかもしれません。

かつてかれらが根詰めて働いていたという14-15番地の上階は、今は無国籍レストランになっています。おひるどきだったのでそこに上がり、当時も風景はこういうふうに見えていたのだろうかと考えながら、不思議なカレーなどいただきつつ(うまい)見下ろしたりしていました。


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ロンドン日記その5: マイケル日記が走っていた

ロンドンから車掌つき乗降自由2階建てバス「ルートマスター」が公式に姿を消し、すべてワンマンになってしばらく経つこのごろ。ワンマンダブルデッカーと並行して、ルートマスターと入れ替わるように、長いバスが出現してきました。こういう連結式のやつです。この手の長バスは大陸の方ではよく見かけていましたが、これは奇怪に狭く細く曲がりくねる渋滞みっちりのロンドン道路にゃ無理だろうな、と思っていました。ところがそれがどんどん平気で上陸し、狭い道もラウンダバウトもばりばり走り回っています。さすが司法試験より難しそうなロンドンバス運転手試験を突破したドライバーのみなさんだけあります。

この長連結バスは車高も低く乗降が楽でよいものの、ダブルデッカーを派手に彩っていた広告のスペースがあまりありません。公衆の福利のためには連結バスを歓迎すべきなのでしょうが、それにしても広告がないバスはいくら赤くてもロンドンぽくないなとか、それからダブルデッカーに乗りこみ、狭い鋭角な階段を二階に上がる最中でぶおん!と発車、「うわあー」と手すりにすがる恐怖がないのもどうもロンドンらしくないなとよそものは思ったりしています。

で何を書こうとしているかというと、

これ。

こういうことがあるからやっぱりロンバスはダブルデック広告つきに限る。
ちなみにオックスフォード・サーカスの西で連れが「あれはあんたの好きなあのヒトではないか」と見つけてしまったものだから、「来い絶対押さえるのだ」と引きずるようにしてともに追いかけたものの見失い、仕方がないので連れもろとも同じ場所で次が来るのをじーっと待って撮ったものです。ありがとうファンでもなんでもないのに連れ。

広告のとおり、マイケル日記ペーパーバック版発売中。ロンドンでも地元でもあちこちの本屋で店頭大展開されていていい感じでした。しかし何故表紙はハードバックのあのちょっとひねた体育座りマイケル写真ではないのかと、個人的に出版社に猛省を促したい気が少しします。

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11 August 2007

ロンドン日記その4: パイソンが関与しない映画とする映画とを見た

「トランスフォーマー」とは巨大ロボットが変形して戦う妙に穴とツッコミどころの多いアニメーションであった、という程度の理解で映画を見に行きました。何故その程度の理解で見たかというと、上ロンもしたことだし(まだロンドンの話です)、たまにはオタク動機を離れ、さわやかな夏の光あふれる首都でいわゆる文化に触れんと思い、イヴニング・スタンダードをめくりながらプロムスとか欧州映画祭とかの催物情報をたどっていたわけです。すると映画欄に見えるは「トランスフォーマー」の数文字。ちらりと「そういやこの数文字エリックが昔やってたあれだなあ…」と感じた次の瞬間、わたしはレスター・スクエア・エンパイアの窓口にいて「トランスフォーマー大人いちまいください」と口走っていました。

いや今回の映画にはエリックはまったく関与していないことは百も承知です。というか、白状するとエリックが関与していた昔の映画はおろかアニメーションの方もほとんど見ていないわけで、だからトランスフォーマーに何を見出し何故自分がここにいてそう口走っているのか、もはやどういう理屈で動いているのかわけがわからず、だから真夏のロンドンで口走りながらわたしはひどくうろたえました。そのウロタエが腰と口調を引けさせたのか、窓口のおねえさんには「はぁ?大人何枚?」と詰め寄られ、わたし「…いちまい」おねえ「あんだって?」「…い、いちまいです」。やはりヲタはウロタエてはいけないと思いました。というかウロタエるだけ無駄だということがわかりました。

そのような幾多の苦難を乗り越えて見たかの映画には、しかしただもう度肝抜かれました。なんてかっこよく、人間臭くて愛らしく、そしてわたし以上に行動のつじつまが合わないロボットさんたちであることか。しかもこのバカとしか思えない湯水のような金と人的資源の浪費ぶり。すばらしい。もう夢中。目ハート。だから今、トイざラスで玩具を買ったりしたら社会人女として負けなので我慢しているとか、不用意に人に「メガトロン様が素敵で」とか話をしないように心がけていたりとかいろいろあるのですが、
えー、
それはさておき。
何を言わんとしているかと申しますと、
ずっと前にどなたかがどこかで「グレアムは死んだがエリックは生きていてくれてうれしい、さもなくばエリックの遺作が『トランスフォーマー』になってしまっていたところだった」という意味のことをお書きになっていたと記憶しています。ちょっと細部が定かでないですが。で、TFイコール妙に穴とツッコミどころの多い外国アニメ、程度の理解であった当時は実はそれにうんうんとうなずいていたりしました。しかし、映画からさかのぼってTFアニメの変な穴とツッコミだらけ世界観にどんどん移入している今のわたくしは、仮にトランスフォーマーがエリックの遺作になっていたとしても「それは素敵だなあ」と納得してしまうでしょう。ヲタとはかくも単純なものであるようです。

ところでエリックはスパマロット一本で「フォーブス」の米ショウビズ界パワーリストに載ってしまうという、転んでもただでは起きないパイソニズムを体現するような復活ぶりを見せてくれたことはご存知のとおりです。で、これもその影響なんだろうなと、今度はエリックも、そしてジョンもちゃんと全面的に関与している「シュレック3」をレスター・スクエア・オデオンで見ながら思いました。まだロンドンの話です。

ジョンのカエルのハロルド王様とエリックの鬱病の魔法使いマーリンは同一画面上には登場せず、声共演とは相成らなかったことがちと残念です。それとジョン王の出番がカエル姿のみ、場面も短く、ジャスティン・ティンバーレイク若者のアーサーを出さんがために(とジョンびいきのわたしには思える)ああいう扱いにされてしまったのが実に残念です。もっともカエル姿の王様は短くとも目の覚めるような名演だった(場内じゅう笑い転げていました)し、あと魔法使い爺が、ハリポにおける白髭ダンブルドア先生を揶揄してかかるがごとき風貌で、しかも英人ユーモア特有の「場にそぐわない気まずさ」爆発、これ大好き。エリックも実に楽しそうで。

それにしても、エリックとジョンというわりと初期から英国以外に目を向けていたペアが、いまだにこういう英人である(および、コメディ界の誰も口出しできないほどに重鎮である)というIDを逆手に取る、あるいは濫用する方向でしぶとく米ショウビズ界に関与していることがなんか嬉しい。もっと枯木に花を咲かせ焼けぼっくいを燃やしてまわるじじい達でいてください。たのみましたぜ。

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