« April 2006 | Main | June 2006 »

24 May 2006

24MAY : 春のテリーびより

ヤボ用でウェールズに行くことになりました。かの地方には初めて足を踏み入れます。「ウェールズか」とわたしはつぶやき、さりげなく地図をとりあげ素知らぬフリして研究し、ふうん予定をねじこめばコーウィン・ベイにも立ち寄れるなあ、と考えました。コーウィン・ベイとはテリJさんの出身地でして、やはりもうわたしはそっちの方の連想から離れられないわけですが、でも実際あの地方には滅多に行くこともない、だからテリJさんに敬意を表しにちとコーウィン参りとしゃれこみましょう、これでテリGを除きパイソンズの生誕地は全部踏破だと考えていました。

その2日後、急にディケンズが読みたくなったのでウォーターストーンズ書店にでかけていきました。ペーパーバックの「大いなる遺産」などを抱えてレジに向かう途中、ふと見るとエンドに展開されている山に「夏だ!読書だ!みなさんここらで温故知新はいかがでしょ」という感じのコピーがつけられ、平台には英文古典本が積み上げられ、「3冊で2冊の値段」というセールになっているのに気がつきました。よく見ると、今手にしているディケンズもその「3冊」の選択肢に入っています。さすが再販制度のない国だ、それでは思う壺にはめられてあと2冊選んでみようか、と山を吟味したところ、
選択肢のひとつに、ディラン・トーマスの「ミルクウッドの下で」がある。
ウェールズ文学をディケンズと一緒に英古典にしていいのかなあ、と思いましたが、よく見るとジェームズ・ジョイスなんかも入っていたりして、ウォーターストーンズさんはそのへんにはあまりこだわってないようです。
ミルクウッドは十数年前にいきがって読んだきりだ、もうすぐコーウィン詣でもすることだし、それではこれをもっかい大人の頭で読んでみましょうと一冊抱えてレジに向かいました。

わたしはそのまま近くのパブに入り、コーヒーなどいただきつつ「ミルクウッド」を開いてみました。
読むうちにトリハダがざわざわ立ちました。
ウェールズの人間たちがこの中で生きて息づいて確かにしゃべっている。
これはすごい。
これが娯楽の少ない時代にラジオドラマになり、そんなものを10歳くらいの多感かつ文学にかぶれる素質十分の、しかも芯からウェールズ人の少年がいきなり聞かされたら、それは人生のひとつやふたつ変えられるわけだ、詩作の理想に走りたくなるわな当時のテリJ少年。と考えながら、その場に座りこんで読み続けました。

で、その数日後。
映画ダ・ヴィンチ・コードを見に行きました。原作を読んだとき、もし聖杯伝説にそういう謎が含まれているのならばパイソンのホリグレなんかいったい何を示唆しているのやらおそろしくて考えもつかない、「センプリニ」なんて単語にはどんなすさまじい秘密が隠されているのかもう想像もできないぞと思ったものですが、とりあえず映画は縁起もんだということで。
内容についてはすでに色々言われているので、とりあえず「ポール・ベタニーが異常に良かった」ということをのぞいて省略しますが。
なんか気になったのが、
妙にテリJみたいな人がいる。
というかテリJにしか見えなくて、
とくにザ・ビショップのJに似ていて、
今にも「その言葉を言ってはいけなあいー!」とかさけびだしそうな。
しかしそれはよく見たら、
アルフレッド・モリーナでした。
あらタコ博士じゃん、スパイダーマンのときにはそうは感じなかったのに、法服になるとなんだか変に似ている。
なんでだろう。
思うに、
ウェールズ人にはときどき、妙にラテンな外見の血筋があります。トム・ジョーンズとか、最近ではキャサリン・ゼタ・ジョーンズとか。これはかつて南ヨーロッパとウェールズ地方の文化が(侵略とかそーゆーことも含め)入り混じっていたことに由来するらしい。ちなみにコーンウォールの方もかなりヨーロッパに近いようです。
テリJさんの外見はキャサリンとかトム・ジョーンズほどエキゾチックではないですが、純イタリア系のアルフレッド・モリーナに似ているということをかんがみると、やっぱり髪とか体格がちょっとアングロサクソンとは異なるようだと改めて感じました。

それでなんかテリ関係が頭に残っていた今日、わたしはテレビをなにげなく眺めていました。
そうしたら、毎日午後5時から民放CH4でチャットショウをやってるポール・オグレイディが
「次のゲストはレジェンダリー・コメディアンのテリー・ジョーンズさんでーす!」
とリバプール訛りで言っているのが聞こえ、なんですってと思わずふりかえると、本当にテリJが出てきました。
うわあ録画録画!それにしてもチャットショウにしかも単体で出るテリJを見るのはこれが初めてだ!とあわてふためきつつ片耳でよく見聞きしていると、どうやら今週金曜日からBBC2でまた古代ローマの歴史番組を始める、それにともない本も新しく書いたよってんで、その宣伝に現れたようです。
いつもゲストに対してはぴしぴしきついことを言うポール・オグレイディが、本を手にしながらテリJには、なんか妙に「これ面白いですよ読んでよかったですよ素晴らしいですよ!」とホメ倒しているのが印象的でした。でも、オグレイディのホメ言葉に乗せられどんどん古代史のことを熱く語るテリJさんのわきで、同時にゲストで出ていたソープオペラの金髪女優さんは明らかにその話をぜんぜん理解できておらず、ただつくねんと会話の外でふたりを眺めていました。

今週金曜から、週一で全4回放映されるテリJ歴史番組 The Barbarians →

そしてその本→

こないだのStory of One がすごく面白かったので期待大。これDVDとか出ないんだろうか。

あんまりこの日記に名前が出てくることはなかったかもしれませんが、わたしはテリJさんがすきだ。
初老で白髪でありながら、でもポール・オグレイディにのせられて「イエーイ本が出ちゃうんだぜー」とかコブシ振り上げたりしてなんか言動としぐさがかわいい。
ウエストのあたりがなんかふかふかしてそうでいい。
なんでも今エリック・ザ・バイキングのDVD にまたややこしいオマケをつけようとしててすごく忙しいそうで、相変わらず変なところに凝るじいさんです。好きだなあ。たとえジョンといろんなああいうことやこういうことやタイプライターだの椅子だのがあったとしても。

| | Comments (2)

19 May 2006

19MAY : バフタと好みと奇なる事実

7日のBAFTAテレビアウォーズ予想(というか希望)は、3勝3敗1分けという結果でした。「1分け」はコメディ・パフォーマンスのThe Thick Of Itまでは合っていたものの、予想したピーター・カパルディではなくクリス・ランガムの方が受賞してしまいましたゆえ。いや、Not The Nine O’clock Show 出身の正しいサタイアリスト/コメディアンをこんな僻地ブログでしかも個人的な理由で「しまった」扱いにしてはいけません。


ごめんなさい実はかなり好みのランガムさん。

ところで最近引越しなどの身辺変化により、家が爆撃状態で、なかなかまとまってパソに向かう時間が取れず少し間があいてしまいました(このような僻地ブログとはいえ、書くのには一応まとまった時間をついやしています。といばってどうする自分。そもそもこのバカのような長文体質がいかんのですが)。

しかし本日、どうしてもこれだけはという大至急物件が。


仕事帰り、CDを代えるためにたまたま停まった路肩駐車場、ふと見上げると、目の前には。






ジョン・ペイリン。
パイソン女子のみなさま、
ジョン・ペイリンです。
しかも新鮮なフルーツも扱う市場の八百屋さんです。
素ん晴らしい。
もうなんというか、偶然というにはあまりにも、わたくしピンポイントで「さあ萌えろ」と言わんばかりの
CDチェンジャーのついてないカーステを積んでいてよかったと、11年もの、窓手動、地球5週目に突入したわがぼろゴルフに感謝。やはりパイソンの神様はわたしたちをおはようからおやすみまで見守って下さっているのです。というか、ジョンの声でしゃべるパイソンの神様は(「スパマロット」参照)、頼むからもう見守らないでくださいとお願いしてもたぶん「やだ、見守る。けけけけけけけけけけ」と勘弁してくれないのです。

| | Comments (0)

07 May 2006

07MAY : スパマ役者、007、英国テレビのそこぢから

● ブロードウェイのスパマロットでは、4月頭にランスロット役のハンク・アザリアとロビン役のデイヴィッド・ハイド・ピアースが契約を終了して舞台を去ったそうで、これで開始時の主役連はほぼ全員入れ替わったことになります。かつて「ザ・プロデューサーズ」では、オリジナルキャストのネイサン・レインとマシュー・ブロデリックが降りたとたんにチケットの売上が減ったらしく、その事実を示しながら「だからこれからが勝負だよスパマロット」とちくちくつついているレビューをどこかで読みました。もっとも、スモークの川の小船で堂々とアンドリュー・ロイド・ウェーバー的歌い上げを聞かせるガラハッドのクリストファー・シーバー(美形)、パッツィのマイケル・マグラース(非常にテリGに似ている)と、そしてわたしがしつこくよいしょしている著名な歴史家/まだ死んでない死体/ハーバート王子のクリスチャン・ボール(役のわりには無駄なまでに美形)は続投しています。しつこいようですが、ボールさんのハーバート王子の何かを超えたはじけぶりは本当にすばらしい。パイソン的クォリティのひとつに「外見と、きわめてバカバカしいその行動とが激しく食い違うショック」というのがあるのではないかと思いますが、その意味ではこの人が一番パイソンゴコロを汲んでいるかもしれません。


クリスチャン・「無駄美」・ボールさん御近影。この写真掲載3回目。


● 最新007映画カジノ・ロワイヤルは、いろいろありましたが撮影は進んでいるようです。先週予告編の第一弾ができてきたということが話題になり、ずっと普通のニュースでとりあげられ続けていました。ブロンド・ボンドことダニエル・クレイグがかなりシブいボンドになりまじめにスパイ的アクションに徹しているようでけっこうなことですが、しかしわたしはそれを横目で眺めつつ、「いいのもう関係ないの、わたしとジェームズとはすでに終わったのよ」とつぶやき続けています。どうしてMが出てQが出ないんだ!今さらボンドにリアリティを求めようとしてどうするのだあ!その判断により、本来数えられたはずであった観客動員数から、わたしが通ったであろう10とか20とかいう数が減ったと思いねえブロッコリ。もっとも、ブロスナンボンドに比べクレイグボンドはあまり冗談が通じなさそうな雰囲気がするので、ジョンQを横に置いてはたして似合っていたかという疑問は残ります。もう関係ないけど。しく。


● 英国アカデミー協会(BAFTA)のTVアウォーズが今晩発表されます。ノミニーはこんなん出ていますが、ここには確かにひきつけられるようにして見てしまったものばかりが並んでいます。くだらないものも相当多いけれどもそれはそれとしてやはり英国のテレビは力強く面白い。
勝者予想、というよりは個人的な願望をいくつか申し上げますと。

ENTERTAINMENT PERFORMANCE
★ JEREMY CLARKSON - Top Gear (BBC2)
JACK DEE - Jack Dee Live At The Apollo (BBC1)
NOEL EDMONDS - Deal or No Deal (Channel 4)
JONATHAN ROSS - Friday Night With Jonathan Ross (BBC1)

不機嫌なコメディアンジャック・ディーとしたいところ、やはり、単なるくるま番組をかろやかに越えてすごく面白いトップギアに一票。なにしろ、「トリノのスキージャンプ台からミニを飛ばして飛距離を計ろう」とか「『まるでリビングルームのように快適』というウリのスマートの車内で、一歩も車外に出ずに24時間過ごしてみよう」とか、真剣にバカを追求する態度がすばらしい。もっともこの番組を支えているのは、ジェレミー・クラークソンだけではなく司会3人組の残りのふたりジェームズ・メイとリチャード・ハモンドだと思います。


COMEDY PERFORMANCE
★PETER CAPALDI - The Thick Of It (BBC4)
ASHLEY JENSEN - Extras (BBC2)
CHRIS LANGHAM - The Thick Of It (BBC4)
CATHERINE TATE - The Catherine Tate Show (BBC2)

最後のサタイアリスト、アーマンド・イアヌッチの新作ということで今年は The Thick of It がかなり強い予感。しかし、Extras をノミネートしておきながら、ジ・オフィスでもてはやされているリッキー・ジャヴェイスをわざと避けているかのような印象が少し。


DRAMA SERIES
BODIES - Mark Redhead, Sue De Beauvoir, Jed Mecurio (Hat Trick Productions/BBC3)
★DOCTOR WHO - Phil Collinson, Russell T Davies, Julie Gardner (BBC Wales/BBC1)
SHAMELESS - The Production Team (Company Pictures/Channel 4)
SPOOKS - The Production Team (Kudos Film & TV Ltd/BBC1)

デイヴィッド・「普通にしてても目がキレている」・テナントの三白眼ドクターがとてもすてき。子供番組とはいえあなどれない。というか、あまりにリアルなSF描写が子供には怖すぎるというもっぱらの評判。


FACTUAL SERIES
★49UP - Bill Jones, Claire Lewis, Michael Apted (Granada Television/ITV1)
COCAINE - Guillermo Galdos, David Notman-Watt, Angus Macqueen (October Films/Channel 4)
COAST - The Production Team (BBC/BBC2)
JAMIE'S SCHOOL DINNERS - Andrew Conrad, Robert Thirkell, Dominique Walker (Fresh One Productions/Channel 4)

教育庁をも動かしたほどインパクトのあったジェイミー・オリバー学校給食摘発番組もすてがたいのですが、ごく普通の英国の市井の人々を49年間淡々と追い続けた49UP。49年ですよ。普通の人の人生がこんなに感情にせまるとは。英国のテレビはときどきすごいことをします。


FLAHERTY AWARD FOR SINGLE DOCUMENTARY
★CHILDREN OF BESLAN - The Production Team (BBC Current Affairs/BBC2)
MAKE ME NORMAL - Brian Hill, Zac Beattie, Jonathan Smith (Century Films/Channel 4)
THE REAL SEX TRAFFIC - Simcha Jacobovici, Brian Woods, Ric Bienstock (Associated Producers/True Vision Productions/CBC/Canal D/Channel 4)
TAXIDERMY: STUFF THE WORLD - Brian Hill, Elodie Gornall, Morgan Matthew (Century Films/BBC2)

ベスラン事件を生き延びた子供たちが、現在はボロボロの廃墟と化した学校に戻り、カメラの前で「ここでぼくの友達が死んだんです」とか語るChildren of Beslan。英国のテレビはときどき本当にすごいことをします。


FEATURES
THE APPRENTICE - Dan Adamson, Tanya Shaw, Peter Moore (Mark Burnett Productions/Talkback/BBC2)
DRAGON'S DEN - The Production Team (BBC/BBC2)
★RAMSAY'S KITCHEN NIGHTMARES - The Production Team (Optomen Television/Channel 4)
TOP GEAR - The Production Team (BBC/BBC2)

すまないジェレミー・クラークソン、実はわたしは元サッカー選手、現在超一流シェフ、グラスゴー訛りで1分に3回悪態をつくという、非常に個性的な不良おじさんゴードン・ラムジーにとても弱い。この人にファックとかシットとか吐き捨てられつつキッチンでパイを焼かれたりすると、それはあまりにもスェクスィでわたしは見てると気絶しそうになります。


SITUATION COMEDY
EXTRAS - Charlie Hanson, Ricky Gervais, Stephen Merchant (BBC Comedy/BBC2)
PEEP SHOW - Robert Popper, Tristram Shapeero, Sam Bain, Jesse Armstrong (Objective Productions/Channel 4)
★THE THICK OF IT - The Production Team (BBC Comedy/BBC4)
THE WORST WEEK OF MY LIFE - Mario Stylianides, Mark Bussell, Justin Sbresni (Hat Trick Productions/BBC1)

COMEDY PERFORMANCE と同じ理由です。ただ、わたしは現在やっている(そしてここ数年間のうちの)コメディの中では、チャンネル4のGreen Wing が一番面白いと思うんですが。どうしてカゲも形も見えないのか。あれはジ・オフィスよりも民放的にオルタナでいいと思うんですが。


COMEDY PROGRAMME OR SERIES
THE CATHERINE TATE SHOW - The Production Team (Tiger Aspect Productions/BBC2)
CREATURE COMFORTS - Julie Lockhart, Gareth Owen, Richard Goleszowski (Aardman Animation/ITV1)
★ HELP - Paul Whitehouse, Chris Langham, Jane Berthoud, Declan Lowney (BBC Comedy/BBC2)
LITTLE BRITAIN - Matt Lucas, David Walliams, Geoff Posner, Declan Lowney (BBC Comedy/BBC1/BBC3)

というより、リトル・ブリテンはひとつ山を越えた感じがあるし、消去法でいったらこれしか残らない。もっともHELPのポール・ホワイトハウスは、90年代の1、2を争うBBC大ヒット The Fast Show を生んだ天才です。でもここにグリーン・ウィングがあればなあ。



BBCジャパンが終了した今、こういうことを書いてどうなるのかよくわからないままとりあえず。それにしても、グリーン・ウィングは面白いです。なんとかして見てください。

| | Comments (2)

05 May 2006

05MAY : ブライト・サイドを歩け

個人的な話で恐縮ですが、いや「恐縮ですが」とさえ前につけておけば個人的な話なんかどんどんしてもいいという理解で書いてたりしてそれはともかく、ちかごろ自分の思惑だけではどうにもならず強烈にがっくりくることがありました。で、ちとばかりがっくりしています。


このような場合、
わたしはわが老母(特にコメディファン歴なし)がかつて放った言





「そういうときには、それをジョン・クリーズさんだったらどう笑いにするか考えなさい。
そして笑っていなさい」





をマントラのようにつぶやくことにしていますが、
それでもまだちょっとがっくりきてるかも。うむ。でもその一方、じゃこれってどう笑えるんだろうか、笑ったれ、と考えはじめたりもしていて。

とりあえず、
マイケルさん63歳のお誕生日おめでとうございます。
なんでも4月下旬からまた新たなBBC旅番組の撮影で地球のどっかに行っちゃってるそうです。仕事より家庭を重視する英人的価値観をかんがみるに、誕生日くらい漂泊の思いをおさめて家にいたほうがいいんじゃないかなという気もしなくはないのですが。今頃どこでどうしているのやらマイケル。
なお、また新しい旅シリーズが始まると知った瞬間、一番最初に思い浮かんだことは

「で、行き先はともかく、あのカバンは新調するんだろうか」

でした。すみません、でも本当に気になるんですマイケルカバン問題。

| | Comments (2)

« April 2006 | Main | June 2006 »