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31 March 2006

31MAR : 空飛ぶ温故知新

ちょいと間が空いてしまいました。ジョン専の皆様におかれましては管理人のことなどよもや完全忘却などなさるわけもなくお元気でお過ごしでいらっしゃいましたと存じます(フォルティ氏的目が笑っていない笑顔)。わたしはあちこちぱたぱた駆け回っておりましたが、その間ちと野暮用で、『フライング・サーカス』を久しぶりにじっくり見直す機会がありました。

すみません、
これからすごく当たり前のこと言っていいですか。
これ面白い。
異様に面白いよ。
なんだこの面白さはあ!
もう暗記というより刷りこみ、というか脳イレズミ状態まで見ているはずなのに、何故またうへへへへへとか笑っているのだ自分!しっかりしろ正気を保て!やつらの手に乗ってはいかん乗ったら死ぬぞ!ウリャー!どか!ばき!
とあまりにもたやすく手玉に取られているので笑いながら悔しがりつつ自分をどついてみたりしましたが、だめでしたなにしろ面白すぎて。

それにしても春はあけぼの、夏はよる、パイソンは第1シリーズ。わたしは、初期の衝動のまんまに「何でもいいからやっちまえ」な若気の至りにみちみちた空気が好きです。特に好きなのは8話で、サルのように見てもぜんぜん飽きませんわ。「オウム」というマスターピースを別にしても、全部面白いしぴかぴかしててとてもイイ。第2シリーズ以降の技を仕掛けて作りこんである感じもいいのですがやはりこのエナジーが。それに、第2の後半になるとジョンがだんだんやになって引けてきているのがわかるので、ジョン専としてはつらいというか、他の5人に「ほんとにうちのジョンが皆様にご迷惑ばかりおかけして申し訳ありません」と謝ってまわりたくなるというか。

そういえば今、8話が好きな理由をもうひとつ思い出しました。
これ映像見た方が早いんで、ちょっとDVD取ってきます。

(127秒くらい経過)

取ってきました。
で、なにがどうしたかというと。
このスケッチです。

冒頭、グレアム大佐のとこにエリックがやってきて、「すみません、軍隊危ないんで除隊させて下さい」と頼み。
その後一旦出番の終わったエリックは、退場せずに後ろに座り。
そこにジョンがやってきて(このジョンはとてもカッコイイ)ヴェルコッティ兄弟なる人々が面会希望であることを告げて去る。
でヴェルコッティ兄弟が現れて、大佐最近どうよ、世間っていろいろ物騒だよねえ、とかせこい脅しをかけるわけです。

このとき、グレアムが机についていて、テリJがその向こう側に立ち、マイケルが手前と向こう側とをまわりながらしゃべりますが。
この動きが、なにげですごく考え計算されているようだと気がついた。

どうやらこのスケッチには、出番を終えたエリックが何故か用もないのに後ろに座っている、だからヴェルコッティの話の最中には可能な限り、徹底的に、エリックを画面から隠さねばならないという原則があるらしいのです。





まず兄弟が入ってきてジョンがかっこよく去り、続いて大佐と兄弟の会話の最初、「なかなかいい基地を持ってんねえ大佐さん」。
奥のテリJが、手前のグレアムと隙間を空けないように、しかし観客の目には重ならない位置に立っている。だからこの後ろにエリックがいるけれどここからは見えない。




その後しばらく兄弟と大佐の切り返しで話が進み、





次に引いたときには、




「気ぃつけた方がいいよ、モノって壊れるもんだからさあ、おっとっと」
とか言いつつ、マイケルがエリックを隠している。




で、
「いやあ不器用なんだよねえ弟、それから気に入らないことがあったら暴れたりするんだよね」
とテリJが大佐に説明しているときに、



マイケルがぐるっと机を回って手前に移動する。






まだエリックが見えない。





見えそう、と思ったらすかさずカメラがマイケルを追っていきエリックが切れる。




手前に回ってきたマイケルが、「戦車って何台くらいあんの大佐さん?」 




このとき、手前で机に座るマイケル、間の着席のグレアム、奥の立っているテリJが、やはり隙間をあけずにしかし互いに重なっていない微妙な位置にいるので、その後ろにエリックが隠れる。高・中・低の三角形の構図もたいへん美しい。

「だれかが火ぃつけちゃったら困るよねえー」「燃えちゃうからねえー」と兄弟にねちねちつつかれて、大佐が「一体どういうことだ!」と叫ぶ。すると、





マイケル立ち上がって、




ふたたび机を回って奥に戻ろうとして、





右に切れると一瞬エリックが見える、





その瞬間、テリJがタイミングよく左に1歩だけ何気なく移動する、





するとエリックが隠れる。




マイケルが戻ってきて、兄弟ふたりで「だからさあ、ちょっとした提案があるんだよ大佐さん」「面倒は避けたいよねえ大佐さん」。




しかしマイケルは、さっきの切り返しのときと違い、テリJの横に並ぶのではなくその斜め後ろにぴたりと立つ。これは実際にやってみればわかりますが、人と話すときの位置としてはかなり不自然です。って、実際にやってみるなよな自分。しかしこれでエリックが隠れるのはもちろん、マイケルがテリJの横ではなく後ろにいるおかげで、兄弟2対大佐1の視線が三角ではなくぴんと一直線になり、大佐絶体絶命!という手に汗にぎる緊張感が倍増。




大佐の「脅してるのかあんた方?」をきっかけにマイケルがみたび動き始める。テリJはこのとき静止したまま、後ろのエリックを隠している。





机を回って右手前からマイケルが入ってきて、





そのままエリック・テリJ・カメラを結ぶ線上の一番手前に入りそこで机に座ろうとする瞬間、





テリJがまた何気なく右に1歩だけ移動して、





ふたたび奥・中・手前の三角形構図になる。このときエリックをさえぎっているのはテリJではなくマイケル。




ここで画面が引いたときに大佐がスケッチを強制終了し、エリックが戻ってくるわけです。


でもカメラワークに気をつかっていたスケッチだったからか、このとき大佐はエリックにただ退場を命ずるのではなく、「画面から出て行け!」と言いますね。

まあこういうことは芝居の世界ではよくあるのだとも思います。でもそれにしてもうーん、いいなあ、このなにげないマイケルとテリJの息の合い方。グレアムもちゃんとわかってやってるし、何度見ても飽きないですこの数十秒間。

それにしてもこの常軌を逸した人たちに対しては、
そんなえらい手間ひまかけるのなら何故エリックを普通にひっこめておかないんだ、
というツッコミはしてはいけないのでしょうな、たぶん。

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Comments

初めまして。リタと申します。
今年の2月からMontyPythonにはまって、
それからずーっとDVDやらビデオ観る毎日です。
akkoさんのブログ、楽しませています!

akkoさんのご指摘、なるほどと納得しました。
そんなふうに考えたことは
全然ありませんでしたよ……。
やっぱり、彼らは普通じゃないですね!
私ももう一回見直して、確認します!

Posted by: リタ | 01 April 2006 at 01:12

 いえいえ、こういう細かいところにまで突っ込み甲斐があるところが、パイソンの真骨頂ですね。見れば見るほど、突っ込み甲斐がある・・・

Posted by: 木下(にょろにょろ)靖 | 01 April 2006 at 14:15

★リタさん
いらっしゃいませ。
かれらは普通じゃない人たちなので、いまだにこのように普通を逸した、なんだか細かいところにこだわる観客を引き寄せているようです。
管理人はいいかげんパイソンにはまりながら生きているので、また新鮮な視点をもたらしにいらしてください。

★木下さん
第1シリーズが好きなのは、金も時間も名声もなかったかれらゆえ、こういう細かい細工というか、ツッコミどころが多いということもあります(「職業カウンセラー」で、"Her"と"Him"を一瞬言い間違えてでもそのまま冷静に続けるジョンなんかほんと素敵)。まあ、こういう35年前のことにこだわるファンを産んだのも、「悪いのは、この人たちです…」(←谷山浩子口調)ということでごかんべんくださいな>本人のみなさん。

Posted by: akko | 02 April 2006 at 21:58

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