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23 November 2005

23NOV : パイソン仕掛けのオレンジ(または映画スパマロット)

ミュージカル「ザ・プロデューサーズ」をもとにした映画がもうすぐ公開されます。「シカゴ」でメインストリームに戻ってきたこの手の映画を「ムービー」兼「ミュージカル」、すなわち「ムーヴィカル」と呼ぶそうですがそれはともかく、ちょっと待て。それでいいのかハリウッド。もともと映画だった「ザ・プロデューサーズ」をまたわざわざ映画に戻してどうするのだ。もっとも今回の映画は、ブロードウェイオリジナルキャストのネイサン・レインとマシュー・ブロデリックに加え、ユマ・サーマンとウィル・フェレルが出ていてかなり面白そうですが。

そして次にムーヴィカルになるのは「スパマロット」なんだそうです。エンパイア誌にそう書いてありました。でもスパマロットは、エリックがヤケクソのように、これでもかというくらいホリグレと違う話にしてしまっているのにどう映画に収まるのか。(なにしろアーサー王の騎士たちが「雨に唄えば」ばりに傘持ってタップしたり、ボウラーハットかぶって「シカゴ」をやったりする。)最近のハリウッドの考えることはよくわかりませんが、とりあえずどうなるのか定点から観測していこうと思います。

もし実現するのなら、とりあえずハーバート王子はクリスチャン・“無駄美”・ボールを死守ということで。


ハーバートを演るには無駄なまでに美形なボールさん

さて、
携帯電話会社が林立しシノギをけずる今日この頃、オレンジ社のCMは他社と一線を画し捨て身のユーモアで勝負しています。特に、全国の映画館で映画が始まる直前のスロットに入る、映画館だけで見られるCMがすごい。これはパターンが決まっていて、オレンジ社の役員がずらりと並ぶ前に俳優さんが実名で登場し、次の自分の映画のアイディアのプレゼンを行う、しかしそのアイディアがSFだろうがロマンスだろうがオレンジ社役員たちがどんどん話をねじまげていき、むりやり携帯電話の宣伝ということにしてしまう、というスケッチになっています。で、最後に「観客のみなさま、どうか携帯電話で映画を台無しにしないように手元の携帯のスイッチをお切り下さい」というメッセージが映る。つまりオレンジ社の自虐ユーモアCMであると同時に、さりげない映画館からお知らせでもあるわけで、これはかなり賢い。

これまでの出演者は、パトリック・スウェイジ、ヴァーン・トロイヤー(ミニ・ミーの人)、ショーン・アスティン(指輪物語のサムの人)、キャリー・フィッシャー、アラン・カミング、あと未見ですがどうやらロイ・シュナイダーも出ていたらしい。個人的にはショーン・アスティンのものが好きでした。次の自作のアイディアとして都会的なロマコメのストーリーを一生懸命説明するアスティンに、「ところで君、それはもちろんニュージーランドで撮影するんだね?」「ニュージーランド?いえこれはロマコメなんですが」「ははは冗談だろ、、君の次の映画は決まっている、例のトリロジーの第4作だよ第4作!」「あのー、トリロジーとは3部作のことだと思いますが」「タイトルはこれだ、『ロード・オブ・ザ・リングトーンズ、リターン・オブ・ザ・フォーンコール』!!(リングトーン=着信メロディ)」ほかの役員「うわははははそりゃいい」「あのー」「どははははは」 相手にされず怒って立ち去ろうとするアスティンの背中に誰かが「『マーイ・プレシャス』!がはははは」。ひ、ヒドイ。いくら賢くとも。他の人のも似たような展開で、ミニ・ミーの人は当然オースティン・パワーズねたでボコボコにされていたし、キャリー・フィッシャーはスター・ウォーズでヤラレていました。

で、
最近このCMにジョンが出てます。こないだブラザーズ・グリムを見に行ったときに出くわし、「わあ」とさけびました。あまりにもびっくりしたので細かいセリフを聞き逃してしまいましたが、確かジョンが出すのは大河戦争歴史ドラマのアイディアでした。で、「その戦艦の船長を演るのが自分で」と言ったら、オレンジの人たちがげらげら笑い出し「うあはははミスタ・クリーズ、あんたが船長だなんてわははははは」「で、ファニー・ウォークは出るのか?」とかあしらわれて終わる。ああなんてかわいそうなジョン。いいぞもっとあしらわれてください。

ところで、先日ロンドン・フィルム・フェスティバルの「グリム」プレミア上映のとき、マイケルとテリJも来ていて会場で聞いているというのにテリGがえらい勢いで他のパイソンズを批判した、ということがちょっと話題になりました。全員をもう「終わっている」と断定し、ことにジョンが俎上にあげられていて、いわく「くだらないCMに出るな、なんだあのオレンジのCMは、あれに出てるのはジョン・クリーズではない、ただの救いのない男だ」。映画館でわたしは、ああこれのことかと思い出し、そしてつぶやきました。「ごもっとも」。

いやわたしはジョンの味方なのでごもっともと平気のヘイザであるわけですが、しかしテリGの批判ぶりはやはりたいへん手厳しい。パイソびととしてはちょっとうろたえてしまいます。でも実際のところはどうなのでしょう。

わたしは、マイケルとテリJもそれを聞いていた、というところがミソだと思います。要するに、こういうことをテリGは、マイケルとテリJが聞いている前で大っぴらに言うことができるわけです。話題のひとつというか。で、つまり、それがどういう人間関係かというと、とはいええーと、うーん、ただの町人には30年以上ショウビズの真っ只中で生きてきた人々のことはわかりません。わかるわけもない。こないだテイク・ザットが再結集したときにも、ロビー・ウィリアムズは来なかったし。関係ないか。少なくとも、「それでクイーンと言えるのか」と世界中からツッコまれつつ堂々とツアーをやっているクイーンよりはアレなのではないかと。(と、またダシにしてしまいまして申し訳ありませんクイーンファンの皆様。)

ちなみに「グリム」を見るのは2回目でした。いや先日の新宿オフですでに見ているのですが、金券ショップで900円だった「東急株主優待券」で入場したら「そのようなチケットでギリアム先生の生活費の足しになると思っているのですか」と批判されたので、深く反省したうえで、今回正式にチケットを買って見たわけです。シネコンにはハリポ目当てのジャリども、いえお子様がたがウンカのようにわいており、そこをジャリジャリかきわけていったら、グリムの客は4人。平日昼間の寄席でよく落語家さんが言うところの、「えー、本日は、おいでの方ひとりひとりに声が届きやすい状態で」になってました。

そしてオレンジCMにでくわしたりしてわたしはいろいろなことに思いをはせつつ、しみじみとグリムの2回目を見ました。でも2回見ても、やっぱりネコはひどいと思いました。

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18 November 2005

18NOV : 唐沢俊一さんと正伝・オン・ジ・エア

●たずねラジオ●

光デパートさんから教えて頂いたところによりますと、
TBSラジオの「ストリーム」という番組で、16日に出演された唐沢俊一さんが「正伝」のことを話題に取り上げて下さったらしいのですが、どなたか目撃、もとい耳撃された方はいらっしゃいますでしょうか。

唐沢さんありがとうございます。面識などございませんしここをお読みのわけもないのですが、翻訳人は地球の裏側で平蜘蛛と化して平伏しております。


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17 November 2005

17NOV : スパマロットの行く人来る人

なんでもスパマロット看板俳優のティム・カリー(アーサー王)と、トニー賞授賞の看板女優サラ・ラミレズ(というか女優さんはひとりしかいない。役は新キャラクター湖の淑女)が、ともに12月18日を最後にブロードウェイの舞台を去るそうで、わたしは「ええええええええ」とさけびました。
ティム・カリーについて → 
サラ・ラミレズについて → 

交代する俳優さんがそれぞれの頁に載っておりますが、どうでしょう。特に、湖の淑女はとてもひっかかってくる、上品と下品の振れ幅が大きい役まわりなので、いわゆる普通にブロンド美女の女優さん(ローレン・ケネディさんというらしい)が演るのはどうでしょうか。

わたしはブロードウェイ事情にはあまり詳しくはなく、何故主役級の俳優さんたちが交代せねばならないのかその理由がよくわかりません。ティム・カリーはひそかに「ビール腹」とか言われつつ、実は声が物凄くよくて、グレアムが順調に年を取って歌を歌ったらきっとこんなんだったんだろうなあ、と思わせてくれて大好きだったのに。来年及びさ来年の英・米での拡大公演で復帰してくれることを希望します。

よいニュースは、映画の撮影でしばらく舞台を留守にしていたハンク・アザリア氏が、12月からふたたびランスロットに戻ってきてくれることです。→ 
この人ががんばってイギリス発音でしゃべるランスロットのセリフはすてきです。ことに、アメリカ人でありながら、「イギリス人がフランス人のフリをしてフランス語ナマリのイギリス英語でわけのわからない罵倒をしている」というすてきな演技、わたしは思い出すにつけ軽く気絶しそうになります。すばらしい。

なぜこのようにスパマロットの動向を気にしているかというと、実はわたくし、来年頭にまた見に行っちゃうからでありまして。今度はしかも3回も。チケットもすでに買いました。
いいのかこれで、とも思いますが、筒井康隆先生も「あることを徹底的にやればそれは正しいのだ」と言っているし、あるいは「石の上にも三年」というか、「三つ子の魂百まで」というか、というより「毒を食らわば皿まで」というか、率直に「バカは死ななきゃ治らない」というか。バカにつける薬はまだないようですし、だからわたしは当分バカにとどまることになりそうです。

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14 November 2005

14NOV : グリム兄弟、東京大学、そしてしぶとく正伝

地球をぐるっと半周して帰英したら、真冬でした。今はただ、実家の猫とこたつのことを夢見るように思い出すばかりです。

●11月6日日曜日の新宿グリムオフは参加者8人(含わたくし)という盛況でした。いや一時パイソンオフというと40人くらい集まって2次会は飲み屋の広い座敷を借り切ってやってたんだが、とふと遠い目で思い出したことも事実です。しかし、人数にかかわらず結局やることは同じでして、つまり大量の酒類を摂取しつつ「いややはり第2シリーズの意識の流れが…」などと、一見非常に知的な話をどんどんやり、しかもそれが非常に愉快だという。7人の皆様どうもありがとうございました。まいまいさん木下さん、テリG映像をありがとうございました。テリGはハリウッド大監督なのに、上戸とかいう小娘にヤニ下がっていてはいけないと思いました。でも太田に「こいつは本当にあの映画を撮ったのか」と突っこまれるのは面白いのでいいです。

●その翌々日の8日火曜日には、白夜書房のenoさんの手引きで東京大学駒場キャンパスは教養学部表象文化論にテンプラ学生としてもぐりこみ、宮沢章夫さんの講義を拝聴しました。まともなお勉強のために東京大学さまとお近づきになるのはおそらくこれが最初で最後だと思ったので、門にたどり着いた時点で感動して思わず写真を撮りました。


東大さましょうめん

宮沢さんのブログ富士日記2にあがっていた講義予定では、この日のテーマは「モンティ・パイソンとラジカル・ガジベリビンバ・システム」ということだったので、ひそかに楽しみにしていました。しかし11月1日付同日記でも触れられているように予定は次第に変更されつつあるようで、実際の8日の講義にはパイソンの話はまったくありませんでした。そのかわりの内容は、六本木ヒルズそして原宿ラフォーレという時代の象徴の建築物の話から入り、そしていかに80年代に「クリエイター」や「コピーライター」など、それまでには存在しなかったカタカナ肩書き人種が発生してきたか、そのカタカナ肩書き幻想がどのように資本主義社会の手段として利用されてきた(あるいは利用されている)か、という、80年代にまさにその手の幻想のどまんなかで翻弄されてきた人間にとっては、じたばたするくらい面白いものでした。しかも宮沢さんは、安易に批判されがちなその手の幻想を、芸術への原動力としてポジティブな視点でとらえていらっしゃるところがすばらしい。

聞きながら、こういう環境で勉強ができる東大生のみなさんは、東大生であるというだけでかなり幸せなのに、その上にさらに幸せなみなさんだと思いました。しかし、あそこに居並ぶ現役学生さんにとっては、80年代なんてのは江戸時代とか安土桃山時代とかアウストラロピテクスとかと同じレベルで「過去」なのでしょうなあ。うむ。

宮沢さんには是非、以前の富士日記2にあった「『正伝』の解説で書こうとしていた50年代の演劇とパイソン」のこと、あるいは「イギリスではわりと最近まで、演劇の脚本に検閲があったらしい」などということにつきいろいろおうかがいしたかったのですが、その時間がなくて残念無念。「演劇」という切り口でパイソンが論じられることはあまりないようですが、よく考えたらオックスフォード組(特にテリJ)とエリックが最初にやっていたのはコメディではなくばりばりの前衛演劇ですし、フットライツだってコメディという前にそもそも由緒正しい演劇団体であるわけですし、そっちの方から攻めてみるのも面白そうです。

●担当編集者のenoさん色々とお世話になりました。
enoさんの「正伝」の次のお仕事は「金子ナンペイのフキダシたいの。」というご本だそうでして→★★★
現物を拝見した瞬間わたしは「わあついに日本に『プライヴェート・アイ』があ!」とフルエがきました。これは素晴らしい。こういうの大好きです。ご一読強力にお勧めします。ちなみに、成田空港第一ターミナル26番ゲート付近の本屋さんに、この本の在庫が2冊あったのが妙に印象的でした。正伝はありませんでしたが。

●正伝と在庫といえば。
実家に帰っておそるおそる付近の本屋をめぐったところ、本八幡駅のKまざわ書店の棚に正伝が1冊ささっているのを発見。決して白夜書房付近の高田馬場の路上にムシロしいて叩き売られているわけではなく、一応本物の本屋で扱われているのをこの目で初めて確かめて、言いようもないほど安堵しました。そのままものかげに隠れて30分ほどじーとその棚を見守りつつ、通行中の人々に向け「かえ」という電波をゆんゆん発していたのですが、あいにく本八幡の老若善男善女のみなさんはぴくりとも反応せず、わたしは何かに負けたような気分になってすごすごと引き上げました。
しかし。
翌日通りがかりついでにふたたびその棚を確認したところ、
そこにささっていたはずの正伝が消えていました。
負け気分を色濃く引きずり続けていたわたくしは思わず
「厚くて場所ふさぎだからKまざわの人に下げられてしまったのだろうか」
とまず考えましたが、
冷静かつ常識的に考えて、これはやはり、昨日最後に見てから今までの間にどなたかがお買い上げになったのでありましょう。万引きされたという可能性も捨てきれませんが、あの本は万引きするにはちと不便です。いや、万引きに便利なように作られる本があるとはあまり思えませんが。
どこのどなたかは存じ上げませんが、どうもありがとうございます、本八幡付近の見知らぬ方。駅前のツタヤで「ベスト・オブ・モンティ・パイソン」が借りられていた件とあわせ(10月23日コメント欄参照)、魔界都市本八幡には不穏な空気というかパイソン的瘴気が漂っていてなんだか楽しいことになっているようです。

●書評がアマゾンとbk1にあがっています。bk1では「今週のオススメ書評」にもとりあげられています。
アマゾンさん→★★★
bk1さん→★★★
bk1さんの「今週のオススメ書評」(今週木曜日まで)→★★★

どうもありがとうございます。モンティ・パイソンで「感動」できるなんて、21世紀とはなかなか面白いことをするものです。

●それにしてもアマゾンさんには「著者からのコメント」をつけられるようですが、こういう場合いったいどうしたらいいのだろうか。自画自賛しろというのか、それとも厳しい自己批判をせまっているのだろうかと、わたしは小半時ばかりなやみました。

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03 November 2005

03NOV : グリム兄弟の夕べ

来たる11月6日(日)、午後1時近辺より、ギリアム監督の感動の大作(まだ見てはいないが無事に完成した段階ですでに感動だ)、『ブラザーズ・グリム』を見よう、その後は茶とか酒とかいろいろ飲みつつしゃべろう、というたのしそうなオフが新宿方面で行われます。
急な話ですが、ご参加希望の方はお問い合わせ下さい。折り返し詳細をお知らせ申し上げます。

そういえば以前に一度、やはり日曜日夕方のオフの際、「ではみなさん明日はお仕事ですし、今日はほどほどに、ということで」という前置きつきではじめてみたら、じぇーんじぇんほどほどで終わらなかったことがあった、と今ふと思い出しました。いやだからどうだというわけではないですが、どうしてこういう話を始めるといつもこうなってしまうのだろう、と自分のことを力いっぱい棚の上に放り投げて思ったことは事実です。

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