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14 November 2005

14NOV : グリム兄弟、東京大学、そしてしぶとく正伝

地球をぐるっと半周して帰英したら、真冬でした。今はただ、実家の猫とこたつのことを夢見るように思い出すばかりです。

●11月6日日曜日の新宿グリムオフは参加者8人(含わたくし)という盛況でした。いや一時パイソンオフというと40人くらい集まって2次会は飲み屋の広い座敷を借り切ってやってたんだが、とふと遠い目で思い出したことも事実です。しかし、人数にかかわらず結局やることは同じでして、つまり大量の酒類を摂取しつつ「いややはり第2シリーズの意識の流れが…」などと、一見非常に知的な話をどんどんやり、しかもそれが非常に愉快だという。7人の皆様どうもありがとうございました。まいまいさん木下さん、テリG映像をありがとうございました。テリGはハリウッド大監督なのに、上戸とかいう小娘にヤニ下がっていてはいけないと思いました。でも太田に「こいつは本当にあの映画を撮ったのか」と突っこまれるのは面白いのでいいです。

●その翌々日の8日火曜日には、白夜書房のenoさんの手引きで東京大学駒場キャンパスは教養学部表象文化論にテンプラ学生としてもぐりこみ、宮沢章夫さんの講義を拝聴しました。まともなお勉強のために東京大学さまとお近づきになるのはおそらくこれが最初で最後だと思ったので、門にたどり着いた時点で感動して思わず写真を撮りました。


東大さましょうめん

宮沢さんのブログ富士日記2にあがっていた講義予定では、この日のテーマは「モンティ・パイソンとラジカル・ガジベリビンバ・システム」ということだったので、ひそかに楽しみにしていました。しかし11月1日付同日記でも触れられているように予定は次第に変更されつつあるようで、実際の8日の講義にはパイソンの話はまったくありませんでした。そのかわりの内容は、六本木ヒルズそして原宿ラフォーレという時代の象徴の建築物の話から入り、そしていかに80年代に「クリエイター」や「コピーライター」など、それまでには存在しなかったカタカナ肩書き人種が発生してきたか、そのカタカナ肩書き幻想がどのように資本主義社会の手段として利用されてきた(あるいは利用されている)か、という、80年代にまさにその手の幻想のどまんなかで翻弄されてきた人間にとっては、じたばたするくらい面白いものでした。しかも宮沢さんは、安易に批判されがちなその手の幻想を、芸術への原動力としてポジティブな視点でとらえていらっしゃるところがすばらしい。

聞きながら、こういう環境で勉強ができる東大生のみなさんは、東大生であるというだけでかなり幸せなのに、その上にさらに幸せなみなさんだと思いました。しかし、あそこに居並ぶ現役学生さんにとっては、80年代なんてのは江戸時代とか安土桃山時代とかアウストラロピテクスとかと同じレベルで「過去」なのでしょうなあ。うむ。

宮沢さんには是非、以前の富士日記2にあった「『正伝』の解説で書こうとしていた50年代の演劇とパイソン」のこと、あるいは「イギリスではわりと最近まで、演劇の脚本に検閲があったらしい」などということにつきいろいろおうかがいしたかったのですが、その時間がなくて残念無念。「演劇」という切り口でパイソンが論じられることはあまりないようですが、よく考えたらオックスフォード組(特にテリJ)とエリックが最初にやっていたのはコメディではなくばりばりの前衛演劇ですし、フットライツだってコメディという前にそもそも由緒正しい演劇団体であるわけですし、そっちの方から攻めてみるのも面白そうです。

●担当編集者のenoさん色々とお世話になりました。
enoさんの「正伝」の次のお仕事は「金子ナンペイのフキダシたいの。」というご本だそうでして→★★★
現物を拝見した瞬間わたしは「わあついに日本に『プライヴェート・アイ』があ!」とフルエがきました。これは素晴らしい。こういうの大好きです。ご一読強力にお勧めします。ちなみに、成田空港第一ターミナル26番ゲート付近の本屋さんに、この本の在庫が2冊あったのが妙に印象的でした。正伝はありませんでしたが。

●正伝と在庫といえば。
実家に帰っておそるおそる付近の本屋をめぐったところ、本八幡駅のKまざわ書店の棚に正伝が1冊ささっているのを発見。決して白夜書房付近の高田馬場の路上にムシロしいて叩き売られているわけではなく、一応本物の本屋で扱われているのをこの目で初めて確かめて、言いようもないほど安堵しました。そのままものかげに隠れて30分ほどじーとその棚を見守りつつ、通行中の人々に向け「かえ」という電波をゆんゆん発していたのですが、あいにく本八幡の老若善男善女のみなさんはぴくりとも反応せず、わたしは何かに負けたような気分になってすごすごと引き上げました。
しかし。
翌日通りがかりついでにふたたびその棚を確認したところ、
そこにささっていたはずの正伝が消えていました。
負け気分を色濃く引きずり続けていたわたくしは思わず
「厚くて場所ふさぎだからKまざわの人に下げられてしまったのだろうか」
とまず考えましたが、
冷静かつ常識的に考えて、これはやはり、昨日最後に見てから今までの間にどなたかがお買い上げになったのでありましょう。万引きされたという可能性も捨てきれませんが、あの本は万引きするにはちと不便です。いや、万引きに便利なように作られる本があるとはあまり思えませんが。
どこのどなたかは存じ上げませんが、どうもありがとうございます、本八幡付近の見知らぬ方。駅前のツタヤで「ベスト・オブ・モンティ・パイソン」が借りられていた件とあわせ(10月23日コメント欄参照)、魔界都市本八幡には不穏な空気というかパイソン的瘴気が漂っていてなんだか楽しいことになっているようです。

●書評がアマゾンとbk1にあがっています。bk1では「今週のオススメ書評」にもとりあげられています。
アマゾンさん→★★★
bk1さん→★★★
bk1さんの「今週のオススメ書評」(今週木曜日まで)→★★★

どうもありがとうございます。モンティ・パイソンで「感動」できるなんて、21世紀とはなかなか面白いことをするものです。

●それにしてもアマゾンさんには「著者からのコメント」をつけられるようですが、こういう場合いったいどうしたらいいのだろうか。自画自賛しろというのか、それとも厳しい自己批判をせまっているのだろうかと、わたしは小半時ばかりなやみました。

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