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29 August 2005

29AUG : 男の生きがいは公衆の面前に臓物をさらすことである。

ちょっと旧聞に属しますが、ジョンが入院して手術してたというBBC話題。→  ★★★

とりあえずおおごとではないようです。
本文中のdiverticulitisがどうしてもよくわからないのですが
(手元の英々辞典には載っているのですが、英文で説明されても「なんか内臓っぽい」とアバウトにしか理解できません。この調子ではおそらく日本語に訳されても何なのかわからないのでしょう)
要するに消化器にちょっとした問題があって腸を切った、ということのようです。
達者でいてくださいジョン爺。

それにしても、
数年前にテリJがやはり病気をして手術を受けたとき、手術中の内臓写真を公開して、パイソンヲタクうちわにかなりの衝撃を引き起こしたことをご記憶でしょうか皆様。のちにわたしは、ご本人が「いやさすがに撮られているときは意識はなかったけど、後で写真見たらレバーなんかつやつやしてて結構おいしそうだと思った」と、捨て身のフォローをしているのを耳にしましたが。

テリJと常に対立することで有名なジョンは今回、
「切った腸を売りに出す」
とおっしゃってます。
さすがのわたくしもどう反応していいのかよくわかりません。

もっともそっとツッコミを入れるならば、「手術して切ったもんを売る」とおっしゃるのはこれが初めてではないはずですジョン。世界の注目を集めるべきダイ・アナザー・デイのNYプレミアの席上で、なみいるプレスの人々に向かい、
「こないだヒップ・リプレイスメント(日本語では何と言うのでしょうかこの手術)を受けたんだよ、そのシリの切れ端を今度イーベイに3ドルで出そうかと思っている」
と楽しそうに語っていたと記憶しています。
プレスの人がどういう返事をしていたのかはよく覚えていませんが、とりあえず、達者でいてくださいジョン爺。

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19 August 2005

19AUG : ウィル&グレイスまでの長く曲がりくねっていた道

また間があきました。くれぐれもパイソン時に仕事を持ちこみたくはないと願ってはいるのですが、なにしろ最近いろいろと、手から光線が出るほど忙しいのでございます。商売繁盛笹持ってこいと景気がいいのは今のご時世まことにありがたいお話ではあるものの、パイソンがお留守になってはいけませぬ。もっとも書くねたそのものには事欠いているわけではなく、例えばこないだ届いたAt Last The 1948 Show とDo Not Adjust Your SetのDVDを見たら全員激若なので涙が出てきたとか、マイケルなんて子供じゃん!とか、とはいえ確かこのころ既に結婚していてお子さんまでいたんだよな、とか。とはいえこういうことを詳しく始めようとすると、ブログの全長1メートルや2メートルや1.94メートルでは足りなくなるのは火を見るよりも明らかなので、時間ができたときにゆっくり思うさま上げようと考えているうちに、結局こういうふうに間が空くのです。というか、こういうことを連ねているあいだにさっさとやればいいのであって、これではまるで清水義範の「30枚の原稿がどうしても書けず、すみません書けません実はこういう理由がありまして、と言い訳の手紙を原稿30枚ぶん書いている小説家」です。
とりあえず、10月の頭くらいまでちょいと忙しさが続くかもしれませぬゆえ、その間はこのように立て板に餅の如き更新頻度であることが予想されますが、それでも是非とも、お近くまでお越しの際は是非お立ち寄り下さいませ。

ところで上記を書きながら思い出しましたが、
「I'm Sorry I'll Read That Again」

「Do Not Adjust Your Set」
も、
当時のテレビ・ラジオ界でよくあった手違いのときの決まり文句なわけです。Do Not Adjust Your Set は直訳すると「調整はしないでください」でしょうが、でも日本語的文脈だとなんでしょう。「しばらくそのままでお待ちください」か。
いずれにせよ、ケンブリッジ組とオックスフォード組が持ち番組に同じような思いつきでタイトルをつけているというのは面白いです。エリックが橋渡しになっているのかもしれませんが。もっともケンブリッジ組が「お詫びして訂正します」と謙虚だったのもこの時代までで、お詫びした後に「責任者は解雇致しました」と続けるのがパイソンです。

ところでウィル&グレイスの第6シーズンDVDも買いました。第6シリーズをハコ買いしたわけで、今更ですが、どうにもパイソンエンゲル係数の高い生活を送っております。

でもこれは「アタリ」です。なにしろジョンが自分では絶対に書きそうもない台詞をしゃべらせられているのが大変楽しい。

たとえば初めて出会う場面。あるホテルで、自分の旦那を寝取ったロレイン・フィンスターニいう英人女に復讐すべく、その女が泊まっているはずの部屋に忍びこもうとしたカレンは、しかし高い窓に届かない。そこに通りかかった英人男、つまりジョンに、カレンは肩車を頼む。身長差約40cm。

「いいとも、ただしどこまで持ち上げてさしあげられるかはわからない、ちょっと肩を痛めていてね、ベトナム帰りなものだから」
「あああのひどい戦争、マニキュア屋も大勢失業したそうね」
「いやこれは去年の5月、買った娼婦に撃たれたのだ」

一体何をしたんだ。それからカレンの答えの意味が一瞬わかりませんでした。すごいことを言いますこの人は。

その後でジョン、すなわちライル・フィンスター氏が、ロレイン・フィンスターの父親であるとカレンが気づき。

「あの女があんたの娘?あんなビッチにも父親がいるとは驚きだわっ!」
「さよう、あんなビッチにも父親はいたというわけだ。お茶でもいかがかな?」
「お茶なんていかがじゃないわよっ!」
「スコッチでも召し上がるかな?」
「スコッチなんか召し上がるわよっ!(受け取って一気に飲む) で、どこなの?どこにいるのあの女はっ?」
「そう訊かれてすぐに教えてさしあげるとは思わないでほしい。先ほどご自分で、見つけた日にはあの女が死ぬまでセックスやり倒してやるとおっしゃっていたではないか。つまり、どんな父親が、そういう相手に娘の居場所をわざわざ教えてあげようとするだろう?」
「ふん、いいわよ、そんなら自分で探すからっ!」
「もしくは―」
「もしくはっ?」
「もしくは、ひとつ取引をしてみてもいいかもしれない。例えば、キスひとつにつき、私が情報をひとつ提供する、というのは?」
「なんて図々しい!あんた何様のつもり?あたしをそこらの売春婦かなんかと勘違いしてんじゃないのっ?… で、何、上着は着てていいのそれとも脱いでほしいの?」
「ふむ、私も紳士だ。だからそのままにしておいてほしい、後で私が破くということで」

その後この二人は「取引」にすごい勢いで突入するのですが、書き写していくと楽しくてこのまま最後まで続けてしまうのでこのへんでやめておきます。
ちなみに、画面には出てこず台詞だけで示唆されるので一度は聞き流してしまいましたが、二度目に見たときに、どうやらジョンのフィンスター氏はジャック(カレンの友達でゲイのおにいちゃん)にも、カレンの住まいを白状させるために、同じ種類の「取引」をしかけて成功したらしい、と気がつきました。うわあああ。番外編でその場面撮影希望!実現したら買う絶対買う!

UKではまだこの第6シーズンの放映途中です。DVDには当然同シリーズ全部、最終話でカレンとフィンスター氏が結婚するところ(そして、フィンスター氏の弟役でティム・カリーが出てくるところ)まで入っているわけですが、うっかり見てしまったらむこう数週間、くそ忙しい中での生きる支えが消えてなくなるので、誘惑を鋼のような意志の力で押さえつけて耐えています。もはや、このドラマはウィルとグレイスが主人公であるということなど完全に忘却しつつ。

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02 August 2005

02AUG : この国の湯水

ご警告:今日は長文です。いや普段に輪をかけて。

こないだとある英人が「あんたなんかいい音楽持ってないか」と訊ねてきたので、「勝手に選びたまえ」とわたくしのCD棚を案内しました。しばらくすると「ぶわはははははは」と笑い声が。ふり返ると、「わはははははあんたなんでこんなもんを」と指さす先にあったのは、ザ・グディーズのベスト盤でした。そして頼みもしないのに、「♪グディ〜ズ、ぐでぃぐでぃやむやむ♪」といきなりテーマを歌いだし、その歌はしばらく続きました。

「ちょっと待て英人。あんたはいつ一度も再放送されていないグディーズを見ているのだ」
と問うと、
「え?だって子供の頃は毎週やってて大好きだったよこれ。みんな見てたよ」
「ああそうか80年代まで続いていたんだあれは。パイソンよりよほど長かったのだ」
「あの子猫がBTタワーによじ登るやつ面白いよねえ」
「その『猫がBTタワーに登るやつ』は1972年のものだから、あんたの年だとそれはビデオで見たんだね」
「そうだよ。親が買ってくれた。何度も見た」
「そのエピソードはKitten Kong というタイトルなんだが、わたし的にはそれは『金髪にピンストライプスーツ姿のティム・ブルック=テイラーが、白猫に引きずられて緑の公園をすごい速さで走っていくやつ』だ。あれは実に絵的に成立した美しい光景であった」
「あああったねえそういうとこ。とにかくあの人たちはいつも走りまわっててどたばたしていて面白かった。♪グディ〜ズ、ぐでぃぐでぃやむやむ♪そいえばファンキーな手長ザルの歌とかあった。ドゥ!ドゥ!ドゥ!ザファンキーギボン!っとか」

わたしは歌を歌う英人を思わずじろじろ見てしまいました。ごく普通の人で、今までこういう話をしたことはほとんどありません。だから「そういうものを知らない」あるいは「興味がない」人だ、という理解でいたのですが、ちゃんと子供のころから知っていて、しかも歌まで歌えるのです。

その英国の人をながめるうち、異邦人の心には少し波風が立ちました。どうにも理屈にあわないことだとは承知しつつ、わたしは口に出さずにはおれませんでした。

「あのさ言っていいか」
「なんだ」
「何の因果かあたしあんたの国のコメディがすごい好きなんだよね」
「知ってるよ」
「でも例えばグディーズなんて、再放送もなくてビデオも廃盤になってるもんに興味を持って、でそれ見ようとしたときにはえらい苦労したんだよね。今は何でもDVD出てるけどその前の話よ。いろいろインターネットで探せばわりと出てくるけれど、でもやっぱりレアなもんは足で歩いて掘り起こしに行くしかないし、しかも高いし。あとわたしの性格上、そういうふうにはまってしまうと『これは当時の英社会ではどういう感じで受け入れられていたのだろう』とか知りたくなっちゃうんだよね。そうすると2時間電車乗ってロンドンまで出てって大英図書館で20年前とか30年前の本や雑誌や新聞や音源や映像をあさるとか、1日で終わらなくて往復4時間の道を何度も通っちゃうとか、まあそれは好きでやってることだからしょーがないんだけど、でも、なんというかさあ」
「なんだ」
「あんたそういうもんをやすやすと子供のころ見て子供心に刷りこまれてるなんて、うらやましい。と言うよりずるい」
「ずるいと言われても」
「ちくそう、わたしも子供のときに本能で見ていたかったぞ。日本人がいくら後づけで見ても読んで理屈を知って、本能で見るってどんな感じだっただろうと想像したところで、その感覚は絶対に永久に完全にわからないのだ。こんなに好いているのに、どんなに知りたいと願ってもだめなのだ。それをそんなにやすやすと。子供の頃に何も考えず。仕事もせず毎日ダラダラしながら。ちくそううらやましいぞ、ずるいぞそれは英人うをー!」
「で、一体どうしろと言うのだ君は」
「ちっ、せいぜいポンニチにうらやましがられていやがれ。ちくそう覚えてろよ礼は必ず」
「そんなことで礼をされてはかなわん。うーん、よくわからんが、たぶんあんたの国にもあるだろうそういうもの。ほかの国にはないけれど、あんたのとこでは空気のように満ちてる文化。そういうもんはどこにでもあるのだ、あんたは日本人としてその事実を認めて生きていけ」
「イランでは石油が安いようなもんですか」
「それとは違うかもしれないが」
「ポリタンク一杯で20ペンスくらいだそうです。水がわり。飲んでるんじゃないかと」
「コメディは石油とは違う、あれは人間の仕事の結果だし、火をつけても燃えないし、イランではグディーズは出ないだろうし」

今こう書きながら、この国にコメディが浴びるようにある感じは、日本ではマンガとかアニメーションが異様に発達している状態に似ている、かもしれない、という気が少ししています。

でも、まあ、本能で見ている人々がうらやましいのは事実ですが、後づけでしかも異邦人である人間にしかわからない面白いことってのも確かにある。

たとえばこの国の人間で、パイソンが何かも知らずジョン・クリーズという名前を知らず、つまり予備知識がまったくない白紙の頭で「フォルティ・タワーズ」をいきなり見る、という経験ができる人はほとんどいないでしょう。つまり、そういう体験が、どれだけモノスゴイ衝撃と麻薬的なまでの快感とを人に与え得るか、ということもみなさんご存知ないわけです。そうかあれを知らないのかみなさん。ふっふ、あれはすごいのだよ。ほんと。人生変わるくらい。強制横スクロール移動されるくらい。

ところで本頁右側ハシラの「おすすめサイト」にあるDonald MacさんのLankin’ A Go! Go!ブログ。いつも勉強になって仕方がないのですが、7月31日の「ウディ・アレンの面白さがわかるのか?」がすばらしいです。こういうよいものを読むと、映画以外にアレンを知らないくせにこういうブログを書いたりしている管理人は、その素性を隠すべくユライア・ヒープのように卑屈にぐにゃぐにゃするばかりです。うう。でもアニー・ホールのアンハッピーエンドはかっこいいと思います。ジュリア・ロバーツとの恋愛はアレですが。

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