07MAY : テリJ、大いに語る
昨日5月6日付の大衆紙ザ・サンに、「パイソン」とか「スパマロット」などの文字を発見。読んでみたら、「テリー・ジョーンズは実はスパマロットにはあまり心おだやかではないんだよ」という囲み記事でした。短いものなので全文を訳してみます。
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現在ブロードウェイで映画「ホーリー・グレイル」を元にしたミュージカル「スパマロット」が大ヒットしているが、モンティ・パイソンのひとりテリー・ジョーンズは、その芝居が大嫌いだそうだ。かの映画を1975年に監督したテリーは、「スパマロットはまったく意味も価値も何もないシロモノだ」という。
「スパマロット」はやはり元パイソンのエリック・アイドルが書いた芝居である。チケットは数か月先までほぼ売り切れており、ブローカー取引価格は200ポンドを超える。その看板には「あの映画をステキに使いまわしたミュージカル」とうたわれている。
テリーいわく:「確かにわれわれはこれに同意した。しかしもしこれがこのように売れるとわかっていれば、もうちょっとましな契約をとりつけていたはずだ。かつてわれわれがすべてのパイソン仕事で生み出した以上の金を、エリックは今稼ぎだしている」。
しかし、テリーにはパイソン再結成の気持ちはないそうだ。「今はより興味のある仕事がある。パイソンとしてふたたび集まってみるという予定はないし今後そうするつもりもない」。
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ゴシップ命のサン紙の記事なので、このトーンはややさっぴいて読まねばならないでしょう。しかし、テリJさんとわたくしのような市井のいちヲタとは視線が違います。わたしはスパマロットがスキでしょーがありません。あれはすごいよ。それこそ椿姫を見た北島マヤのようにいまだに日々呆け続けていて、「あははははココナッツだよ人生は」などとつぶやいています。だから、スパマロットがホリグレを名乗りつつも実は全然ホリグレではないことや、(どのようにホリグレでないのか、は後日改めて詳しくご報告致します)、あるいはそれが予想外の大ヒットになっているなどという現象にも、「わあそれはそれで面白いぞ」と無邪気に面白がっていられます。
しかしテリJさんはなにしろ汗と雨と泥にまみれつつ体張ってあの映画を撮った本人です。おまけに頑固なことで有名だ。実はホリグレでないスパマロットが受けていて、しかも金銭なんかもからんでくれば、テリJさんの心中は相当複雑であろうと思われます。
が、
わたしがこの記事を読んで思ったことがあります。
スパマロットで一番おいしい場面と歌をかっさらっているのは、実はサー・ロビンです。ロビン役のデイヴィッド・ハイド・ピアースは、「フレイジャー」でのクールで皮肉な態度とうってかわって大はじけ、舞台いっぱい歌うわ踊るわ走りまわるわ、客は圧倒もう大喜び。いやロビンの歌「ブロードウェイで成功しない方法」はパイソン文脈を超える傑作です。もう面白いのなんの。観客は椅子から落ちて笑い転げてました。
で、
実はそれにひきかえ、
サー・ベデヴィアの出番が、ほとんどないのです。いやいることはいます。大ウサギを城門前に置いたりもします。が、それ以外に印象がない。魔女裁判の場面がまるごと落ちているし、だいいちソロ歌がない。アーサー王はもちろんとして、ランスロットもガラハッドもパッツィも、それどころか台車の上の死体群にさえも景と持ち歌があるのに、ベデヴィアにはそれがまったくない。
パイソン内の意見の相違は今に始まったことではないです。だから、テリJがスパマロットにイカっているという理由もあくまでもプロフェッショナルなものであり、決して単に「ベデヴィアが冷遇されてて目立たないから」ではないと信じたいのですが。どうでしょうか。
ところでそれはそれとして事実として。
エリックはロビンにすごーく花を持たせてます。それは思わず、「先生!アイドル君がロビン君をヒイキしてまーす!」とパイソンの神様にちくりたくなるほどです。
それに比べて。あるいはガラハッドに比べても。
ランスロットがたいへんかわいそうな扱いを受けています。日が経つにつれ、「あれはあんまりだよエリック」な思いがつのってきます。
何故エリックはランスロットをあんなにあんまりな目にあわせるのか。それはやはりプロフェッショナルな理由にもとづいているのであって、決して単に個人的な理由ではないと信じたいのですが。どうでしょうか。
(どうあんまりな目なのか、は後日改めて詳しくご報告致します。まったく、こうして「ランスロットの扱いがあんまりな」と書くだけですでに、わたくしはあふれ出る涙をおさえることができません。ああランスロットよ。)
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