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16 August 2004

16AUG 笑うエディンバラ

夏!太陽!高く青い空そよぐ風!なにもかもがきらきら輝く英国の夏です。この国の夏はとても短いので、人々はやや悲愴な覚悟で一生懸命夏を謳歌しています。夏と英人とは、桜と日本人の感じに少し似ていると思います。

そんな夏なので、わたしもまた明るい陽ざしの中に座り、風を感じながら、窓際の席で、ずうっと隠々滅々労働に追われていました。夏は超繁忙期なのですワレワレ。まるでタクアン桶の中のタクアンになったような気分で、ぎゅうぎゅうはたらきました。重圧にひいこらあえぐうち、ふとある予感にとらわれ、顔をあげるとそこには、夏の陽光のなか、ひとりかろやかに解放されて「あああああ」と落下しゆく同僚ウィルキンズ氏の姿が。次はパーキンソンかジョンソンか。カモンパーキー。男だろパーキー。うひ。うひひ。ひひひひひひ。とウヒウヒつぶやくようになったら英企業労働病もかなりヤバイ重症なんであって、鉄格子のはまった救急車を呼ばれても仕方がないというものです。

でもいいのです。だってわたくし、繁忙期を立派に生きのびて、明日からむしりとるようにして夏休みなんだもの。ああ魔法が解けてタクアンから人間に戻ってゆく。だからいそいそとカバンにぱんつ3枚歯ブラシ4本詰めこんで、ちょいと400マイルほど足をのばし、地元の人は完全に「エンブラ」と発音するあの北の街エディンバラの、コメディの祭典フリンジまで出かけてまいります。あの街には日本語の書けるネットカフェがあるはずなので、当頁はそこから適宜更新していく予定です。

それにしてもフリンジと聞くたびに。
63年夏のケンブリッジ・サーカスは、ケンブリッジ公演後エディンバラフリンジに来る予定でしたが、いろいろあってロンドン行きを選択しました。そのロンドン公演がBBCの人の目に止まり、またニューヨーク方面への足がかりにもなって、すなわちブロードウェイ舞台およびBBCメジャーへの道につながることになったわけです。だからサーカス連の履歴書には「エディンバラ」という文字はないのであって、そこは先輩ビヨンド・ザ・フリンジ連と違うところです。

もしサーカスが先輩の道をたどってエディンバラに行っていたら、おそらくその後のブロードウェイやBBCデビューは起こらなかったでしょう。もっともあの才能豊かなワコウド達のことだから、それでも何らかの方法で最終的に世に出てきただろうとは思いますが、でもその場合、おそらくパイソンなんて妙なもんは発生しなかったでしょう。それは英音楽界にビートルズが出現しなかったようなもんであって、その後の世界のありようが今とは少し違ったものになります。そのパイソンレスのパラレル世界では、たとえばおそらく英コメディの祭典エンブラフリンジも、今のような規模と人気では存在し得なかったのであって、英国とわたしの夏は少し退屈だったと思います。

ああそれにしても。パイソンズさんたちは、思えば誰も会社づとめというものをしたことがないのだなあ。パイソンスケッチの端々に垣間見える、勤め人的世界に対する純粋な悪意。それは痛いくらい純粋です。パイソンにおけるシティの株屋や公認会計士や、あるいは同僚ウィルキンズ氏の扱われ方を見るたびに、かれらの「ところで自分たちはそんな不浄なとこには属してない人間なんでそこんとこよろしく」という若い宣言をつきつけられているような気分になります。わたしはパイソンが好きで、かれらがパイソンとして存在してくれたことに感謝の舞いを舞って悔いはないものの、しかしそれでも時々、新卒の生意気そうなジョン青年をつかまえて、薄暗い小部屋に押しこみ窓際の机にしばりつけ、パンと水とものすごく嫌な上司と取引先とをあてがって、残業代なしで1日17時間ほど働かせてみたいもんだと思ったりもしなくはなかったりします。

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Comments

akkoさ~ん!まだバカンス中でしょうか?そしてオリンピックもご覧になっているのかしら??
深夜に某民放局で「UK JACK!」と言うイギリス情報番組が放送されているのですが、その中で「Little Britain」と言うBBCのコメディ番組が毎回放送されています。
ところでakkoさんは「Little Britain」をご覧になった事はありますか?BBCでは人気番組なのでしょうか?結構下ネタが多いですが、私は嫌いじゃないですよ。

Posted by: ひとちゃん | 27 August 2004 at 13:34

おお、リトル・ブリテンが放映されているのですか。日本てすごい。吹替えでしょうか字幕でしょうか?
これは衛星BBC3で実験的に放映されたところ、カルト的な人気を博し、BBC2の地上波に移動してきた番組です。知名度は高く、そのインパクトゆえ、見る人により好き嫌いがはっきり別れたようです。個人的には、ちまたで21世紀のパイソンと言われていたリーグ・オブ・ジェントルメンよりも、より純粋にスケッチ的で好きでした。車椅子の弟が凶悪でサイコウです。

ちなみにパイソン好きにおすすめの最近(つってもここ数年)のスケッチ番組は、

The Fast Show (BBC)
Goodness Gracious Me (BBC)
Smack The Pony (CH4)

日本で放映されたときには、何をさしおいても見てみてくださいな。

Posted by: akko | 02 September 2004 at 20:57

akkoさん、ひとちゃんさん、こんにちは。

「UK JACK!」。番組の存在は知っていたのですが、何しろ深夜なので二の足を踏んでいましたが、見ました。
「Little Britain」は、1スケッチのみ抜粋で放送されているみたいですね。全部見てみたいものだ。ちなみに、字幕です。
前にBBCラジオの番組表でもタイトルを見かけたことがあります。TVのコメディ番組ってラジオでも放送されているんですね。音だけでも成り立つのだろうか?

ところで話は変わりますが、これって"あの"コニー・ブースさんですよね!?
http://www.bbc.co.uk/bbc7/drama/crimethrillers.shtml
(1週間以内に見ないと、内容が変わってしまうと思います…。トップが"Secret Agent X9"なら、当たり。)
近影!(いや、ちょっと前の可能性も。)まだ英国にて活躍されているのですね。
…と、imdbで調べてみたら、なんと、海外版「幽遊白書」にちょっとした声の出演をしているみたい。
http://uk.imdb.com/title/tt0329947/

Posted by: まいまい | 05 September 2004 at 07:06

あのリトル・ブリテンからいちスケッチだけ抜粋してリトル・ブリテンとして放映するとは、まるで週刊誌の連載小説の頭にある「前回までのあらすじ」を読んで前回までのあらすじを理解しろと言われるようなものですね。うーんだめじゃん。フレンズもいいけど誰か英コメディをまじめに放映してくれ。面白いんだから。ほんと。

それから、おお、エマ・トンプソンかと一瞬思ったらコニーさん。おひさしぶりです。ロンドンのカムデン地区在住だという話をどこかで小耳にはさみました。最近のコニーはあまり表に出てこないので、この番組は大切に聞こうと思います。でも幽遊白書にはどういう態度でのぞめばいいのかちょっと困ります。

Posted by: akko | 06 September 2004 at 08:39

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